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「お医者さま」

「お医者さま」(別冊宝島編/宝島社文庫)

→板中に入院したとき、
なぜか姉に持ってきてもらった鞄に入っていて、
そういう縁で病院で読んだ本。
ひとむかしまえの医者の裏話。
ちょっと裏話をしてみよう。
お世話になっているのでイニシャルで書くが、
2年まえだったか作家で精神科医のK先生のご診察を受けたいと思って、
先生が院長をしている病院に電話したことがある。
直接、手紙やメールでお願いしろという話だが、
それってなんだかコネの悪利用みたいで、
正々堂々K先生に診察してもらいたい。
ほかの精神科医ではいやだ。電話しました。
矢のような速さでK先生からメールをいただいたが(ありがとうございます)、
このわたしが愛人かなにかとナースに勘違いされて大迷惑したそうである。

このたびの入院経験でもわかったのは、
病院でいちばん権力があるのはナース。
本当に病院で悪いのはあいつら(笑)。
たぶんそうだろうと思っていたが、
ひとりに話したことがみんなに知れ渡っている。
女のうわさ話のネットワークほど迅速で怖いものはない。
創価学会なんて婦人部、女子部が主権を握っているとみて
「間違いない」(池田大作氏ご愛唱のお言葉の聖句)。
わたしは入院以前から、
女性ひとりに話したことはみんなに伝わっているという猜疑心があった。
逆に言えば、みんなになにかを伝えたかったら、
女性ひとりにそれとなく言えば事足りる。
入院体験を経て実体験としてわかったことだが、ナースってかわいいよ。
板中は(大勢すぐ辞めるので)若いナースばかり。
女が大嫌いなわたしさえ、ざわざわしたこころをいまだに引きずっている。
まあ、宝島の暴露本らしく、医者のひとりが言う(むろん男)。

「医者が看護婦にモテモテっていう時代は、
残念ながら終わったんじゃないでしょうか。
でも、考えてみてもくださいよ。
若い看護婦は相変わらずたくさんいるんです。
世の中、AVとか風俗で制服っていったら、三つでしょう。
セーラー服、スチュワーデス、看護婦。
そういうところで欲望を抑えているんだから、
僕ら若い医者って本当に我慢強い人種だと思います。
たとえばね、廊下で看護婦の後ろを歩いていると、
光のかげんによっては、レントゲンみたいにすけて見えるんです。
それから、若い看護婦が向こう向いてかがんだりすると、
びしっと体に張りついて、
パンツの模様までわかっちゃったりするんですよねぇ。
そういうのと一日中とか、一晩中とか一緒にいても、
我慢するんですよ、みんな。
「白衣のままでしたことはないのか? オレはあるぞ」
なんていう先輩もいますけれど、
とてもじゃないけどそんな自信はないです。
せいぜい、かがんでいる看護婦さんの後ろにまわって、
腰を動かす真似をしてみんなでくすくす笑うくらい。
AVそのものじゃないかって言われそうですけど、
実際そうなんです(笑)。
AVの世界と病院って、人間の本音が出てしまうところが
共通しているんじゃないですかね」(P147)


ナースを看護婦と呼ぶところ、時代性からわかるよう、
「せいぜい、かがんでいる看護婦さんの後ろにまわって、
腰を動かす真似をしてみんなでくすくす笑うくらい」の医者はセクハラアウト。
というか、93年以前はそんなことが許されたのか?
セクハラは女性がセクハラ自己申告したらそれが正義。
不細工な女性上司が男性部下にセクハラをされたといえば、
パワハラとセクハラとどっちが勝つのいえば、それはセクハラの令和日本。
女って敵にまわしたらこれほど怖い生き物はないよ。
すぐ群れるし、あることないこと上にチクり弱者気分でほくそ笑む。

作家で精神科医のK先生の本でよく覚えているのは「やべえよ」体験。
作家が若年、産婦人科医をしていたころの女性患者。
血がとまらない。教科書に書いてあった通りに処置しても血がとまらない。
どうしよう? この女、死んじゃうんじゃねえ?
それより死んだら、おれ訴えられたりするの? 
という生々しい描写が秀逸だった。
何冊かの本でおなじご経験を拝読させていただいたことがございます。
医者の本音だなあ。
患者ってなまものだから、いきなり急変する。
本書にも「大丈夫」と本人や家族にも伝えていた患者がいきなり
心臓発作で死んで無力感に襲われるケースが出てくる。
そのときの結論は、どうやら故人と家族の仲が悪かったようで、
「クレームが来なくてよかった」だったのは宝島的リアル。

医者って入院してきた患者の病状を悪くいう「ならい」があるらしい。
そうしたらもし患者が悪化しても面子を保てるし、
万が一患者が急死しても家族から責められることはない。
わたしがS状結腸穿孔で入院したとき、
いますぐ死ぬようなことを外科医から言われたし、
別室で姉にはもっとひどい病状と説明したそうだが、
本当はどうだったのだろう?
最初は最低1ヶ月以上の入院は必要と言われたのにわずか半月で退院。
その後、いわゆる肉体労働に従事したが、
救急車で運ばれることはなかった。
匿名の宝島医師は言う。

「まず、患者が入院してきたときに、
ムンテラ(患者家族への説明)はなるべく厳しく、
最悪の状態をも含めて述べておくことです。
ですから、どんな軽症でも、「大丈夫です」の太鼓判はないのです。
「大丈夫でしょう。
でも、確率は低いのですが、このような事態も考えられるのです」と、
本人はともかく、家族にだけはムンテラしておくことです。
もし急死したというような場合、
訴えるのは本人ではなく家族ですからね」(P210)


「つまり、自分では「大丈夫」と思っていても、
その予測とは逆に患者の家族に「危ないかもしれません」と、
最悪の結果の可能性を強調する予言をしておいた場合には、
予測を裏切る「最悪の結果」が出たとしても
<予言>は正しかったことになり、
家族との対応もそう困難なものにはならないと考えられるのである」(P210)


医者がいちばんいやなのは同業者に患者として来られることらしい。
わたしのような素人は高額のCT写真を見せてもらっても、
正直なにがなんだかさっぱりわからないが、
同業者はわかっちゃうわけでしょう。
作家で精神科医のK先生が同業者にかからないのは、
相手のへたくそな診察に気づいてしまいそうなのがいやだという。
だから、占い師にはまるというのも、うーん、人それぞれだなあ。
しかし、同業っぽい感じがカウンセラーのもとに行かせないのだろう。
たぶんそっちのほうが効くのだろうけれど。
いつだったかカウンセラーから
お話をうかがったら認知行動療法は効きそうなのだが、
わたしができるかと問われたら、
そんなめんどうくさいことはできないのひと言。
医者だって患者に正しい健康指導はいくらでもできるだろうが、
いざそれを自分ができるか考えてみたらあいまいな笑みを浮かべるだろう。

盲目的信仰。たとえば、わたしの父親世代。
いや世代ではなくタイプなのかもしれない。
姉もそうだが、お医者のおっしゃることをある種、盲目的に信じられるのは、
断じて蒙昧ではなく恵まれた才能のひとつだろう。
大腸の検査とか受けたくないが、
値段も5、6千円程度っていうし、
姉に相談したら絶対受けろって言われるだろうし、
言い争うのもめんどうくさいし、
キャンセルすると他人に迷惑をかけるからたぶん受けると思う。
常識ってそういうことか。

COMMENT

雲海酒造 URL @
01/23 21:30
. 土屋くんは権威者に逆らう病的な癖があるから、K医師の診察を受けていたらK医師の悪口を延々と書き綴るようになっていただろう。そんな面倒くさい患者、誰も診たくない。








 

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