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「細木数子 魔女の履歴書」

「細木数子 魔女の履歴書」(溝口敦/講談社+アルファ文庫)

→創価学会、池田大作の暴露本で溝口敦という名前を知ったが、
彼は本当にいい本を書く。文章がぐつぐつ煮えているようなさ。
徹底した取材調査と
取材対象への悪意、嘲弄、侮蔑をミックスさせるのがうまい。
わたしはテレビに出ていたころの細木数子にはまったく興味がなかったが、
本書を読んでまるでオンナ池田大作のような彼女が好きでたまらなくなった。
細木数子みたいなバイタリティーがいまほしいのである。
ああいう銭ゲバの劣等複合強者とからんで、
コンプライアンスな偽清潔主義のジャパンに一丁かましてやりたいが、
当方がそれほどの器を持っていないのだろう。
細木数子やその周辺のメンバーの1割程度の
いかがわしさのやつらも寄ってこない。
そういううさんくさいやつらとからみたいのに。プロレスをしたいのに。
一夜で大金を得て翌日にはそれを失っているとか経験してみたい。
で、さらに失った大金が5倍になって返ってくるとか、そういうヤクザな世界。
細木数子とか正体は小心だがきっぷのいい、ええおねえさんだったのだろう。
この本を読んで細木数子が好きになった。
好き嫌いが大きくわかれる人っていいじゃない。
名文家のノンフィクション作家は細木数子をこう評す。

「おそらく嫌悪派は物言わぬ多数派のはずだが、
細木数子を受容するか、拒否するかは
その人が人生の何に価値を置くかを見分けるリトマス試験紙になり得る。
細木が体現するのは人生はカネ、奢侈(しゃし/贅沢)は美徳、
この世は上手な世渡りで愉快に暮らす、
負け馬を踏み台に勝ち組になるのも勝手、といった生き方だろう」(P25)


いい子ぶっているより、よほどいいじゃないの。
細木数子にだまされるほうが悪いとも言える。
というか、細木数子に近いメンタリティーのものが引き寄せられるのだろう。
そして、食い物にされる。
わたしは細木数子的存在に肯定的だが、
彼女の占星術を信じることはできない。
でも、生きることって不安でいっぱいなんだよね。
本当のことはすべてわからない。
医者だって本当のことをいえば、だれがどうして病気になって、
それがどうして治るのかよくわかっていない。
先日、3歳年下の外科医が、本当のことにうすうす気づいたのか、
患者のわたしのまえで不穏なことを口走ったが、良心的ではあるが、
医者には医者の演技をしてほしいとも思った。
細木数子とか意味不明なことを自信たっぷりに宣言するじゃん。
むかしの医者って、あんな感じだったよね。本当は根拠もないくせに。

もう手遅れかもしれないが、細木数子のような生き方をしたい。
島倉千代子をマインドコントロールして刑務所慰問で大儲けしたんでしょう。
ヤクザの親分でも島倉千代子プロデューサーの
細木数子のお供というかたちなら堂々と刑務所に入れる。
受刑者のうちの組のもんは親分が来てくれたと涙するわけである。
ヤクザは細木数子に大金を支払う。
もちろん細木はピンハネして歌手の島倉千代子に渡すのは衣装代程度。
やるなあ、細木数子! である。悪いなあ。このアマ、よろしいでんがな。
晩年の安岡正篤を酒で骨抜きにして(安岡は家族に酒をとめられていた)
結婚誓約書を書かせたところなど、
どれほど細木数子は「できる女」なんだよ。
まっとうに生きていたってつまんないぜ、と高笑いしているかのようである。
細木数子のようなタマの女と出会って、
世間に一発かますためにはどうしたらいいのか?
本書の著者である溝口敦は細木数子の正体を的確に見抜く。
おそらくおなじ生命を持っているから、
著者には細木のことがよくわかるのだろう。

「広域暴力団のトップや幹部が法や人の権益を侵して
富をほしいままにするように、
細木もまた性倫理を踏みにじり、
管理売春やマルチまがい商法で人の生き血を吸うことで、
富を蓄え、今、贅沢な消費でデモ行進している。
人は富の由来を訊(たず)ねないから、ヤクザの親分は庶民の人気を博す。
ヤクザの親分を称賛する伝統的な歌には、
「線が太くてこせこせしない」
「今の時代は大きな腹で、
よいも悪いも呑み込むほどの力なければ役には立たぬ」
といった文句が並ぶ。
おそらく細木の性格は女だてらながら、この伝にちがいない」(P220)


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