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「ZOO1」

「ZOO1」(乙一/集英社文庫)

→入院中に板中の作業療法士、25、6歳のKさんから借りた本。
「自分より年下で若くしてデビューした人の本なんて読まないので、
Kさんに貸してもらってよかったです」としっかりそのくらいの社交はできる。
実際、それほどひどいわけではない。

「カザリとヨーコ」はまるで野島伸司的だが、悪くない読み物。
双子の姉妹がどーだこーだという話で、
どうしてライトノベルの人は双子の妄想が好きなのだろう。
最後は「目の前で飛び降り自殺」なのだが、
それを現実として体験したものには、
ライトな妄想の世界を生きているような不安定な感じがするが、
およそ不幸とは無縁の若年成功者には、
そういう悩みはひとかけらもわからないだろうが、
それは彼の前世の功徳ゆえ責めるべきものではなかろう。

「Seven days」は牢屋に閉じ込められた若い女性が
1週間ごとに殺される話で、最後まで退屈しないで読むことができた。
犯罪被害者遺族が読んだらブチ切れるだろうが、
大方の読者はそういうことと無縁だからこういう妄想を楽しめるのだろう。
「So-far」はなかなか深みのある話だが、
これも交通事故死亡者遺族が読んだら激怒するだろう。
しかし、よくできた小説だと思う。
この発想力が乙一を一部の人に天才と思わせるのかもしれない。
現実を知らない絵空事だが、
金を払って本をお買い上げくださるのはまさにそういう年齢の読者層。

「陽だまりの詩」は
いまスピリッツで連載している「ぽんこつポン子」みたいな話だが、
こういう漫画的なものは漫画で読んだほうがいいような気もするが、
空想のほうが楽しめる一定層の読者がいるのかもしれない。
こういう小説に感動して
若くして月収21万円の作業療法士になる人生も、
それほど悪いものではないような気がする。
今回の入院で驚いたのは「おむつ交換」をする看護師だが、
板中はナースに(「おむつ交換」のない)
作業療法士や理学療法士の1.5倍の給料をちゃんと払えよ。

「Zoo」は恋人の女性を殺して
死体写真の経過を毎日撮影する性倒錯者の話だが、
人はわからないもので、こういう妄想を好む一定読者がいて、
あるいは彼女たちが、
あんなたいへんなナースの仕事をやってくれるのかもしれない。
夜勤のナースの弁当を見たが、
院内食とは異なりフライものばかりのぜいたくなもので、
それはそうで、こういうものを食わんとナース商売はできないと思った。

ナースのカンバさんの相手の目をまっすぐ見る動じなさには驚いた。
医者でも患者の目をまっすぐ見られない人が多いのに。
あなたは天性のナース。
おなじくナースのユキさんもおもしろかった。
みんなエレンタールを水で溶かして持ってきてくれるのに、
ユキさんだけは自分でやれって。
夜勤明けの点滴で左腕の刺し場所がわからなくて困っていたユキさん。
そこに医者のS先生が来て、
わたしは言った。「先生、点滴を打てますか?」
むかしとった杵柄でしっかり一度で先生は点滴を決めてくれたが、
先生を引き寄せたのはユキさんの運か、わたしの運か議論したね。
高齢者の老人ではないから、ぜんぶ記憶しているから。
板中の人へ、ありがとう!

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