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「万引き家族」

カンヌの是枝裕和監督の芸術作品。
日本人があれ取るのってすごいんでしょう?
むかしから映画を見る習慣がなく、
大学時代に原一男教授の映画のゼミを取ったのがきっかけで、
そのときたまたま上映していた是枝裕和監督の
「ワンダフルライフ」を見てえらくおもしろく、
バカな早稲田の学生らしく「あれ、おもしろかったです」と教授に言ったら、
「あれはダメだ」――。
どうしてですか? って聞いたら「ダメなものはダメだ」。
「見たんですか?」
「見なくてもわかる」
活動屋、映画世界は怖いと思ったものである。

映画「万引き家族」は心理学の「べき思考」で説明すると納得する。
万引きはすべきではない。
大人は働くべきである。
子どもは学校に行くべきだ。
男女が一緒にいたら婚姻関係を結ぶべき。
映画では最低30分経過までに登場する人物の関係を説明すべき。
映画は観客を楽しませるべきもの。

こういう「べき」をすべて壊したのがカンヌの「万引き家族」。
1時間見ても、登場人物同士の関係がわからないんだよ。
最後まで見ても物語がよくわからなくネットでチェックする始末。
よくこんなのを是枝裕和さんは作れたなあ。
これにカンヌを与えた世界も、
地上波で10パーセント超えしたわが同胞にも畏敬の念を覚える。

すごい映画を見た。
スーパーで万引きしちゃうと思ったら、他家の子どもも万引きしちゃう。
すぐに仕事を辞めてしまう。
昼からだらだらソーメンでビール。女から誘ってふしだらなセックス。
きもちええがな。
女子高生は学校に行かないで、触りなしの風俗店で働いている。
らくしてもうかるがや。
ばあさんが死んでも国に報告しないで、庭に埋めちゃう。
まあ、いいんじゃん、当面は。
発覚しなければ、先を考えない。いまだけ主義。
そしてそして、これらの人物は一緒に住んでいるが家族かどうかわからない。
そしてそしてそして、いいかげんな生活がけっこう楽しそう。
最後は公権力から誘拐と死体遺棄の罪で罰せられる。
え? でもでも、え? おれたち楽しく過ごしていたんだけれどなあ。
それでダメなの? え? え? どうして?
実際は「万引き家族」がみんなで
孤独老人やリストカット少女、虐待児童を救っていた。
助け合っていたと見えなくもないが、
それは公的にはやっぱりダメなんだあ。
捕まっちゃったよ、アハハ。

大人は働くべき。
子どもは学校に行くべき。
女子高生は風俗店で働くべきではない。
万引きはすべきではない。
親は親らしくすべき。
男は男らしく、女は女らしくすべきである。
正しい日本語を使うべきだ。
セクハラやパワハラ、モラハラはすべきではない。
家族はこうあるべき、社会人はこうすべきという規範がある。
しかし、それが本当の幸福かなあ?
是枝裕和監督は早稲田大学第一文学部文芸専修を卒業したスーパーフリーな人。
おもしろくはないが、こころに残る作品ではあった。
これを評価するものは、世間的に正しいふるまいをしていると思う。

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