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「谷崎潤一郎マゾヒズム小説集」

「谷崎潤一郎マゾヒズム小説集」(集英社文庫)

→性欲というのは意外と創作の源なのかもしれない。
本書の解説によると、永井荷風が谷崎の初期小説「少年」を読んで、
こう述懐しているという。
「私はもうつかれきった私自身の空想だけでは
とてもあの若い新進作家の書いた『少年』のような、
強い力の籠った製作を仕上る事ができない」

みなさまとおなじようにわたしにもサドの部分もマゾの部分もあるが、
谷崎潤一郎のマゾヒズムとこちらのそれはいささか異なり、
性的嗜好というのは難しいものである。
わたしの理想(性的夢想/桃色浄土)は、
気位の高い勝気な多少浮気性なところもある悪戯っぽい女性に恋をして、
1日中その人のことを考えているくらい夢中になり、
しかし、その思いは成就することなく無下に拒絶され、
そしてその女は自分なんかより身分の高い裕福なイケメンの情婦になるのだが、
女はコケティッシュでストレス発散のために自分に恋するわたしを呼びつけ、
彼女はミニスカートとか露出過剰な格好をしていて、そのうえさらに、
わざといじめるために夜の話をするものの指一本触らせてくれないというもの。
悔しがるわたしを意地悪く笑いながら女に見てほしい。
……七面倒臭いやつだな、わたし。
かくして性的嗜好が合致せぬゆえ、
「谷崎潤一郎マゾヒズム小説集」に名作と感じるものはなかった。
いちばん好きなのは「幇間」。
以下の部分が、ちょっとだけ谷崎と性的合意が見られる。
三平は幇間(男芸者)。梅吉は女芸者。

「誰いうとなく、三平さんは梅ちゃんに惚れているのだという噂が立ちました。
それでなければああ易々(やすやす)と
催眠術にかけられるはずはないというのです。
全くのところ三平は梅吉のようなお転婆な、
男を男とも思わぬような勝気な女が好きなのでした。
始めて催眠術にかけられて、散々な目に会わされた晩から、
彼はすっかり梅吉の気象に惚れ込んでしまい、機(おり)があったらどうかしてと、
ちょいちょいほのめかして見るのですが、
先方ではまるで馬鹿にし切って、てんで相手にしてくれません。
機嫌の好い時を窺って、二た言三言からかいかけると、
すぐに梅吉は腕白盛りの子供のような眼つきをして、
「そんな事をいうと、またかけてあげるよ。」
と、睨みつけます。睨まれれば、
大事な口説きはそっち除(の)にして早速ぐにゃりと打ち倒れます」(P85)


COMMENT

樹莉亜 URL @
08/01 02:47
. 性欲が創作力の源というより、性欲と創作力の共通の源が生命力なのだろう。人を恨む力の源も生命力。だから「もうシナセンなんてどうでもいいや」と思ったら、死期が近いと思ったほうがいい。








 

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