「罪また罪」

04/01/30 14:16

「罪また罪」(ストリンドベリ/石沢秀二訳/「名作集」白水社)絶版

→戯曲。「ダマスカスへ」のような催眠的な(眠らせる!)作品を書くかと思えば、
この「罪また罪」のような現代日本のテレビドラマ脚本にもなりうるような
娯楽作品も書くのだから、ストリンドベリというのはふしぎなひとです。
大衆的で実におもしろい。三浦綾子の小説みたいな劇構造をもっている。

デビュー前の劇作家がいる。今日のお芝居は大成功間違いなしと言われている。
かれにはまだ籍こそ入れていないが内妻と子どもがいる。
これで芝居があたれば……。
予想通り、劇は大ヒット。男は一夜にして有名人の大金持ちになる。
浮かれた男は内妻とは別の女と相思相愛の関係になる。
しかしその女は親友(画家)の恋人であった。
かれは親友を裏切るわけである。家族(内妻と子ども)も裏切ることになる。
大金と美女、両手に花の男はひとつのことを願う。子どもが死んでくれたらと。
なんとそれまでかなってしまう。子どもは原因不明の死をとげる。
しかし酒場で女にうっかりもらした「子どもが死んでくれたら」という会話を
店員に聞かれていたことから警察から疑いをもたれる。
今度は一夜にしてすべてがパーに。劇の上演は打ち切り、収入はゼロ。
新聞では情婦とともに犯行かと書かれたので、新恋人との関係も気まずいものに。
女はモトカレとよりを戻そうとするしまつ。これで女もふいだ。
一夜で手に入れた金と名誉、女を今度は一夜でなくしてしまうわけである。
折しも、男は親友の絵がコンクールで優勝したことを知る。
親友は受賞を辞退するという。男が親友にわけを問うと――。

成功と没落というのはむかしからドラマ構造としてよく使われている。
「オイディプス王」しかり「マクベス」しかり。
いまテレビでやっている「白い巨塔」もそう。
教授へとのぼりつめるザイゼン先生に、患者を大切にするサトミ先生。
そのあいだを動き回る女がいるのも典型的である。
今日の結論。ドラマに新しいものはないけれども、おもしろいものはある。

COMMENT









 

TRACKBACK http://yondance.blog25.fc2.com/tb.php/61-f4644029