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「医者の逆説」

「医者の逆説」(里見清一/新潮新書)

→著者は日本赤十字社医療センター化学療法科部長(2018年)。
感銘を受けるばかりの本だったのでひたすら内容を箇条書きにする。

・「延命治療に年齢制限」は政治家がみな言いたいことだが、
それを言ったら「選挙にならない(勝てない)」。
・末期ガン患者が最後に頼るのは民間療法。真実は自分の言ってほしいこと(治る)。
・治っても治らなくてもおなじ料金というのはおかしいという説もある。
・患者に「がんばれ」というのは自己責任論の強要のようでむごい。
・高齢患者に「もういいじゃないか」は思っていてもだれも言えない。
・医療選択肢として希望があるとダメだったときに絶望は以前よりも深まる。
・新薬治験はよいデータがほしいので状況が悪い患者には使えない。
・高額新治療は死ぬまでやり続けるしかない。
・介護が地獄なのはいつ終わるかわからないから。
・奇跡的医療は患者や家族の「いつ死ぬか」という思いをつぶす。
・医学論文は一部コピペをするのが常識。先人の知恵ありきの論文。
・週刊現代の「薬を飲むなキャンペーン」号は売れた。
・科学的な百に一つの当たり(新発見)を目指せは九十九の外れを大目に見ろってこと。
・激戦区の高校球児は鳥取島根、青森福島といった田舎高校に留学する。
・そういう本当のことを朝日新聞は書かない、書けない。
・高校野球部の喫煙、飲酒、暴力事件はよくあるが新参校ほど密告される田舎の陰湿。
・選挙の出口調査は待てばいいだけなのに実行するのは意味不明。金の無駄遣い。
・結果は待つしかないのに、その結果を待てずになにかしたがるのは異常。
・人間は中腰で待てず、イチかバチかの戦法を取りたがり大敗戦する。惨事を招く。
・末期ガン患者は大金をかけ大博打に出るよりも、いまの平穏状態を満喫しよう。
・数字データだけが医療の勝負か。
・85歳の寝たきりの意識不明の老人を
86歳まで生きさせることになんの意味があるんだよ。
・万民を脳内ハッピーにする薬を開発してそれを散布したら人は幸福になるか?
・患者に本当のことを言うのは絶対的な正義と果たしてそこまで断言していいのか?
・ガン放置理論はとんでもない事態になることも少なからずある。
・手術をして延命には成功しても、
これで生きているといえるかという状態になることもある。
・大金をかけ手術して延命しても「死んだほうがよかった」と思う患者やその家族はいる。
・大金がかかる先端医療は限りなく存在するが、それを選ぶのは果たしていいことか?
・どうして人間ってそこまで長生きしたがるの?
・成功率10%の高額医療に賭けるよりも90%の成功率の穏やかな死をなぜ選ばない?

さすがに要約だけでは著者に失礼なので、なまの言葉を引く。

「そして聞いたところでは、かなりの高齢者が日本の将来について、
「自分たちは逃げ切れるが、これからの人は大変だね」
と「同情」しているのだそうだ。我々の周囲に広がるのは、
どこまでも「他人事」の感覚が支配する無限の荒野のようである」(P82)


(関連記事)
「偽善の医療」(里見清一/新潮新書)

COMMENT

アナスタシア URL @
03/22 15:28
. 「出口調査は待てばいいだけなのに」というのは間抜けな意見で、いかにも専門馬鹿が言いそうなこと。選挙結果は株価の変動に直結しているから投資家にとっては重要な情報。早く知りたいのは当然だ。
Yonda? URL @
03/22 19:54
アナスタシアさんへ. 

それはまったくその通りで著者は間違えていると僕も思います。同感します。








 

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