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「無税生活」

「無税生活」(大村大次郎/ベスト新書)

→これを宿命といったら大げさが過ぎるのだろうが、
税金のなまの現実をけっこう知っている。
わが国の税金は申告制度だから、無申告の場合、税金を徴収できない。
特定を避けるためにあらゆる詳細は書けないが、
業務開始届を出さないまま長年営業している喫茶店がある。
ぼかしまくるが知り合いの知り合いが働いていたレベル。
そういうところは当然バイト料も税務署へ申告していないから、
アルバイトも給与を税務署に発見されず、このため従業員は税金を払わずに済む。
どうやらマスターの本業はデリヘルとかそっち関係だったらしく、
喫茶店での利益はどうでもよく、まさに趣味のようなもので、
本業のほうも夜のお仕事だからきちんと税務申告していたかは疑わしい。
わたしはその人と横断歩道ですれ違い、
知り合いから紹介されあいさつをした程度の関係だが、
どこにでもいるふつうのおっさんで、そんな悪事を働いているようには見えなかった。
おもしろいのはみんなそれを知っていても、税務署に密告しないところ。
それを聞いたわたしだって、どこの喫茶店かわかっているけれど、
べつに密告したいとも思わないし、うまいことをやってうらやましいと思う程度。
デリヘルのおねーちゃんとか仕事の打ち明け話を聞きたいなあ、くらいは思う。

わたしは派遣で出逢ったその日かぎりの同僚である中国人に、
じつは自分は不法滞在でそのやり方はこうしていると教わったこともある。
これってものすごく危ないことなんだよ。
その場でわたしがこの人は不法滞在ですといっちゃえば、
彼は逮捕され、日本の税金で強制送還されることにあいなる。
彼はもう少し金をためてから帰国するときは自分から警察署に出向き、
日本の税金で帰りの航空券のチケットを買ってもらうといっていた(笑)。
彼は30歳そこそこだったが、
若い正規ビザを持つ同国人のかわいい彼女がいて(写真を見せてもらった)、
セックスがとても楽しいといっていた。その日、逢っただけのわたしに――。
これに類する話を山ほど聞いたことがあるけれど、
わたしは憤りを感じず、うまいことやるなあ、とそのたび感嘆のため息をもらす。

税金をまじめに払うほどバカらしいことはない。
だって、税金がそもそもちゃんと公正に使われているか?
公益法人へのキャリア官僚の天下りとか、おいしい話だよなあ。
あたまのいいエリートはそうやっておいしいライフを満喫するのか。
わたしは怒りを感じるわけではなく、ただただうらやましく、
自分もそういういい思いをしたい、利益の輪っかに入りたいと願うばかりである。
元国税調査官の著者は、税金なんて払うな、
と多数の本で実際的に有効なテクニックを惜しげもなく紹介している。
その動機のひとつは以下のような考え方からだろう。

「つまり日本の税金は、政治家、建設業界、キャリア官僚の
利権として使われているために、無駄が非常に多くなっているのだ。
日本は、失業保険や生活保護など、
いざというときのセーフティーネットがきちんと整備されていない。
その一方で、特定の人たちが受ける「事実上の生活保護」だけが異常に発達している。
税金が高いのに、福祉が発達していないのは、このためである」(P35)


どうしてか庶民は隣の失業保険や生活保護にはやたら厳しい目を向けるのに、
社会上層部のそれはエリートにあたまが上がらないのか見て見ぬ振りをする。
いまの勤め先は雇用保険に入れてくれたが、
あれはお願いして入れてもらうものではなく、事業主の義務なのである。
いちおう雇用保険義務違反は懲役か30万以上の罰金である。
短期バイト同僚のMさんは、
本社の人の「バイトで雇用保険に入る人なんていない」という言葉にしたがい、
わずかな掛け金の保険に加入せず、いきなりバイトを辞めてしまった。
わたしは都営住宅住まいの彼から板橋区は「払えない」と電話でいえば、
国保を半額に負けてくれることを聞いた。
国保って板橋区は1万8千円くらい毎月取られる。
本書で知ったが、国民健康保険は地域によって金額が違うらしい。
住民票が山梨にある大宮在住の派遣のAさんは、国保は3千円だといっていた。
そもそもAさんはちゃんとあのクソ高い住民税を払っているのか?
わたしが所属している派遣会社古株のNさんに聞いたら(実家住まい)、
一度も住民税を払ったことがないらしい。
今年、わたしは世間を知るという目的で、本当にいろいろな職場で働いた。
税務署はわたしの収入をすべて集めることができるのだろうか?
なかにはマイナンバー提出を課さない派遣会社もあったぞ。
しかし、今年は医療費がゆうに10万を超えている。
この場合、確定申告をしたほうがいいのか、放っておいて様子を見たほうがいいのか、
事情に詳しい方はぜひぜひ鍵コメントでもいいので教えてください。
税務署員はノルマがあり、調べても多く税金を取れないところは見逃すとのこと。
しかし、今年は山ほど税金を取ってくれたなあ。この恨みは忘れないからな、覚えとけ。
それからわたしは他人の不正を密告する趣味も正義感もない。
いまの会社がMさんを雇用保険に入れなかったのは法律違反だが、
そもそもMさんだってバイトを途中で辞めるような訳あり人材だったのだから、
どっちもどっちというか、まあ、そんなものだろう。
派遣で意外と税金の納付書が来ない人っているみたい。
派遣会社と税金とか、どういうシステムになっているのだろう。

本書でいちばんホホウと思ったのは財団法人の話。
一代で成り上がったメーカーの社長。息子はあまり優秀ではない。
しかし、莫大な財産はあって、自分が死んでしまうと相続税でわんさか取られてしまう。
こういう場合、
博物館のようなものを財団法人としてつくり(寄付だから贈与税・相続税はない)、
その理事の仕事を息子に与えれば相続税対策になる。
本業のメーカーのトップは優秀な部下に任せて、息子は財団法人のトップ。
財団法人の理事だから毎月高収入を支払うことができる(相続税対策)。
職員を親族、血縁のものでかためれば、これほどうまい相続税対策はないだろう。
博物館は収益事業ではないから、法人税を払わなくてもよく、
そもそも税務署に申告する義務も会計報告する義務もない。
うわあ、これを考えたやつはあたまがいいなあ、と平伏した。
わたしはできたらこういう利権の輪っかのなかに入りたいのである。

本書では身もふたもない本音が書かれているのがすばらしい。
税務署さまのお仕事は、ノルマとして追徴税を取り上げることである。
しかし、「払う金がない」と言われたらどうなるか?
おそらく脱税していると思われるドカタの元締めに「追徴税を払ってください」。
これに対して「金がない」と言われる。
そうすると税務署さまはなにもできないらしい。
現物差し押さえは人道上できないし、
金も銀行に預けていなかったら取り押さえられない。
こういう人を脱税者認定してしまうとノルマを増やすだけで元は取れない。
つまり、何回も税金を払えといいに行っても無駄足になりノルマ達成を妨害する。
そのため、こういう人(H氏)は対象リストから外されるらしい。
元国税調査官、金のプロといっていい著者は建前ではなく本音を書いている。

「つまり、H氏に税金を課してしまうと、
税務署としてはとんでもない不良債権を抱えてしまうことになるのだ。
となると、税務署としてはどうするか?
見逃すしかない、ということになる。
H氏は、特別に会計の知識が豊富というわけではないだろう。
また税務署の弱点を見抜いている、というような人物でもないはずだ。
しかし、H氏のような建設現場でたたき上げで会社を作ったような人物は、
「お金の本質」をよく知っている。
お金に関しては、あくまで図々しい奴が得をするようになっている、
声が大きい奴が得をするようになっている――
そこを見透かして、税務署に対して一歩も引かないのである。
税務署としては、そういう人物が一番やっかいである。
税法は、開き直って「お金はない」と言うような
納税者を想定して作られていないからだ」(P97)


焼鳥屋をやっていた父の口癖は「金がない」だったが、
「お金はない」はある意味における最強の呪文のようなものだったのか。
さあ、みんなもいってみよう。リピート・アフター・ミー。さんはい。

「お金はない」

金がないっていえば、国保も半額まで負けてくれるのかもしれない。
しかし、わたしが死ぬほどの思いで払っている国保を、
Mさんが板橋区に半額に負けてもらっているという事実はショックだった。
それにMさんは都営住宅に信じられない安い家賃で入っている。
ギャンブルと酒が好きで家をかえりみなかったMさんの父親は10年以上前、
脳卒中で倒れ半身麻痺になり、
それからはずっと無職で障害者年金(税金)をもらっているらしい。
障害者年金というお駄賃で好きなお酒もたしなんでおられるようだ。
Mさんはといえば、せっかく取ってもらった高時給のバイトも腰が痛いと辞めてしまう。
おそらく、ちかぢか生活保護を申請すると思われる。
しかし、わたしはMさんが嫌いではなく、長生きしてほしいなあ、と思うのである。
わたしは手先が器用なほうではないが、
そういうシール貼りのみならず、
どの単純作業でもMさんはわたしより仕事ができなかった。
こういう人って貴重だと思うし、生活保護でもなんでも活用して生きていてほしいと思う。

わたしがこの名著を読んだのは税金に殺されるかもという被害妄想を抱いたからである。
著者の本は3冊読んだが、答えは作家やライターになればいい。
派遣やバイトをしながら、作家やライターをするのがいちばんお得である。
だから、だれかわたしに原稿をご依頼くださいよって話なのだが、だめ? こわい?
キックバックするというか、あなたの評判を高めてあげますよ。
ほしいものがございましたら経費でプレゼントしてもいい。
だれかわたしを作家でもライターでもいいから、文筆業者にしてください。
節税の仕組みをわかりやすい本書からさらにわかりやすく引用する。

「たとえば、事業所得[原稿料]と給与所得[バイト賃金]がある場合。
事業所得[ライター稼業]のほうが赤字ならば、
給与所得[バイト給金]から赤字分を差し引くことができる。
それを「損益通算」という。(中略)
つまりは、「副業[ライター]」を介在させることで、
[派遣やバイトの]給料の税金を生活費に回すことができる、ということである。
赤字というのは名ばかりであり、以前とまったく変わらない暮らしをしながら、
税金の還付がもらえるのである」(P143)


最後に本書でいちばんおもしろいと思ったところを紹介する。
ここは当方の知識ではよくわからないからおもしろいのである。
ここがわかったら世間のからくりがわかるような気がするという直感だけはある。
個人も会社も利益を上げちゃうと税金を取られるわけだ。
経費や福利厚生、人件費で利益を落としたら無駄な税金は取られない。
だれか以下の名文の正確な意味をわたくしめに教えてくださりませんか?

「なぜ会社の利益を出さなくてはならないのか、それは株主のためである。
会社というのは、本来、株主が投資をし、
会社の役員や社員はその金を使って利益を上げる、
その利益を株主に配当という形で還元する。
会社とは、そういう仕組みになっている。
だから、普通ならば会社というのは利益を上げなければ話にならない。
しかし、日本の会社の9割は、オーナー社長の会社である。
どういうことかというと、自分で全額出資して会社を作っているのだ。
つまり株主と社長が同一人物だ。
そういう会社では、べつに利益を出して株主に配当を出す必要はない。
むしろ、利益を出して配当を出すということは、会社にとって損である。
利益には法人税がかかるし、配当には、株主に対する所得税がかかる。
利益を出さずに経費として使ってしまったほうが、大いに節税になるのである。
まあ、オーナー社長の会社であっても、
銀行から融資を受けなければならない会社などでは、
利益を出さなくてはならない場合もある。
銀行は赤字の会社にはなかなかお金を貸してくれないので、
税金を払ってでも黒字にする必要があるのだ。
しかしそうした場合以外においては、
オーナー社長の会社は、黒字にする必要はあまりないのである」(P180)


なんか世間の裏側を知った気分だが、よくわからないところがいい。
わたしはあまり人に期待をしないのだが、お願いします。
この記事にコメントをいただけませんか?
たとえば、今年あちこちで働いたわたしは、
来年確定申告をしたほうがいいのかどうか?
今年は確定申告しなかったら去年の大和ハウスパワーか高額税金納付書が届いた。
なるべく税金を払いたくない。
ためになるご助言は鍵コメントでも歓迎いたします。よろしくお願いします。

COMMENT

なかばやしのぶひこ URL @
12/24 23:46
. お金のない焼鳥屋さんがどうして文京区などという家賃の高い場所に住んでいたんですか。教育熱心だったからですか。
Yonda? URL @
12/25 00:24
なかばやしのぶひこさま. 

知らねえよ。そんなことは父に直接聞いてくれ。まだ生きているらしいしさ。








 

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