「嘘の見抜き方」

「嘘の見抜き方」(若狭勝/新潮新書)

→元東京地検特捜部検事が教える「嘘の見抜き方」のテクニック。
いやねえ、もうだらだらなおいらは嘘も本当もないんじゃないかと思うのさ。
昨日だったか、派遣会社のSさんからメールをいただき、
明日から5日間また例の北戸田の職場に入ってくださいと。
しょせん派遣なんだからシフトを教えてくれるのは前日かなあ、
と思っていたから、早くて驚き、即時感謝メールの返信。
そうしたら「よろしくお願いします」と。このへんどこが本当かわからないんだよなあ。
わたしはいまの職場でほとんど使えない存在である。
ぶっちゃけ、お菓子を入れるのがうまいわけでも早いわけでもない。
経験を積めば早くなるのかもしれないが、
最初にできないやつは他に回されるため修業ができない。
とはいえ今日はじめてのスポット派遣でも速い子はおれなんかよりはるかに速いから、
結局は能力差の問題に帰結するのかもしれない。
同僚の話を盗み聞きした感じだと、
おいらが明日から派遣で入ることで休まされる人が出るらしい。
もうどうしようって感じなんだよねえ。
派遣会社の人はたぶん温情やえこひいきで仕事を回してくれている。
ぶっちゃけ、派遣に登録したって仕事が来ない人は来ないし、
むしろそちらのほうが多い。
そういう現実を知ったうえで明日から、
どう派遣ばかりの同僚に顔を合わせたらいいか。

派遣会社の人と雇用者の関係はとにかく難しい。
いちおう形式上は派遣会社は雇用者に仕事をお願いする形式にはなっている。
しかし、雇用者はお声がかからないという状況がしばしばあるらしい。
そうなってくると、雇用者が派遣会社に
仕事をさせてくださいとお願いしなくてはならないわけでしょう。
けれども、そんな厚顔なことをできる派遣は(派遣は雇用の底辺ゆえ)皆無だろう。
派遣会社の社員から電話があったときがわからないのである。
1.本当に日本語の聞き取りができるというだけが長所の当方を必要としているのか。
2.経済的に困っているとご心配いただき、お仕事を回してもらっているのか。
ここで1か2のどちらが本当かを決めるのが国家権力(元検事の著者)で、
実際としては1も2も本当というか、1も2も嘘というか、
本当か嘘かよくわからないというのが、
現実に起こっているあらゆる事象に当てはまるのかもしれない。
たとえばだれかを刺したといっても、事実はAがBを刺したというだけで、
そのほかのことはなにもわからないわけでしょう。
いろいろな事情があってAはBを刺したわけだから、
そのへんの細かな感情や事情は法律的にはすくい取れない。
あんがい刺されたBのほうが世間的、法律的に悪かったということもありえよう。
本当のことなんてあるいはわかりゃしないのかもしれない。
本当だと思っていることが嘘で、嘘だとされていることが本当なんて、いくらだってありうる。
本当のことはわからないが、
とりあえず刑事裁判では犯人の自白がかりそめにも本当のこととみなされる。
自白といったって、言語能力は人それぞれなんだから、
法律的一律的に裁くことはできないと思うが、そんなことをいったら国家さまが機能しない。

わたしはすべて本当のことを言って嘘をつくことも、
すべて嘘をつきながら本当のことを相手に伝えることもできると考えている。
それはもう自他の言葉と汗だくになってつきあうしかない。
ヒントのようなものを有名大卒国家的エリートの書いた本から引かせていただく。

「皆さんからすると、ストーリーを完璧に組み立てた嘘のほうが
バレにくいように思われるかもしれません。
しかし、矛盾がないように綿密に準備を重ね、様々な質問を想定したとしても、
すべてに破綻のない嘘をつくのはとてもむずかしいものです。
一つに綻びが出れば、全て崩れてしまう可能性がある。
それを隠すための演技も必要となってきます。
しかし、真実と嘘をおりまぜれば、何が本当で何が嘘かわからなくなる。
特に、証明できる部分は真実を述べ、証明できない部分に虚偽をまぜれば、
煙(けむ)にまくことができるという訳です。
さらにこの手の嘘は、最初から最後まで嘘をつくより罪悪感が比較的弱く、
「嘘反応」も出にくいのです」(P130)


書き写して気づいたが、著者は本当と嘘の関係をまだまだわかっていないような。
なにが本当かというと、話し手が本当だと思っていることが本当なんだよ。
それをいくら嘘だと指摘しても話し手はおのれの非を認めないだろう。
いわゆる供述調書なるものは、調査官と被疑者が共同創作した物語で、
真実などというものからはもっとも遠いものなのだろう。
どうして国家権力はいわゆる被疑者の自白(物語)を本当と判断するのか、
そこがわからない――ということが本書を読んでわかった。

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