「「賭け」と宗教」

「「賭け」と宗教 あきらめ哲学とデタラメ精神」(ひろさちや/すずき出版)

→いま近所でものすごく時給のいい仕事が出ていてさ。
もちろん、応募したら受かるというわけではないけれど、先着順だって。
でも、応募できないわけ。
職場からも派遣会社からも3月までは働けと言われているから。
そんな契約書を交わした覚えはないのだが、いわば人情の世界である。
で、いざ3月で派遣切りされたら、ろくな求人がないかもしれないのだが、そこは運、縁。
仏教でいう迷いというのは、生活者からしたらAかBか迷うということなのだろう。
ひろ氏いわく、悟りとはAでもBでもどっちでもいいじゃんとあきらめること。
あんがいあと1ヶ月いまの職場にいたほうが
のちのち実りが多いかもしれないわけだから。
大量の女性労働者といっしょに働く体験というのは貴重といえなくもない。
わたしが大学時代小説家養成コース(文芸専修)で学んでいたころ、
当時京都大学の学生だったH氏が芥川賞を取って華々しくデビューした。
よく知らないが、その後も美人女優と結婚したり当方とは天と地の人生のようだ。
でもさ、彼は女性パートの陰湿さとやさしさを実地では知らないわけでしょう?
いわゆるおばさんという人種がどれだけ怖くてどれだけ親切か成功者の彼は知らない。
まあ、上流社会の観念小説しか書けないのだろう。
いや、それでぜんぜん構わないし、そういう作家も必要だが。
言いたいのは、結局なにが善でなにが悪かわからないということ。
そして、信仰とはそのわからないこと(神、南無阿弥陀仏、南無妙法蓮華経)に
賭けるということ、任すということ。
鎌倉時代を生きた踊り念仏の一遍は、
信じるとは人の言葉に任す(賭ける)ということ、という名言を残しているが。

未来のことはわからない。どうしようもない。だから、賭けるしかない。
未来のことはわからないと、どのくらいまで深くあきらめられるか。
そして、そのデタラメに賭けることができるか。
この本でいちばんおもしろかったのはここだが、
パーフェクトな地震予測をできても逆に困るでしょうって話。
今月の14日に東京大地震が起こると予測できても報道も告知もできないわけ。
なぜなら日本全体がメチャクチャになってしまうわけだから。
みんな東京から逃げようとするし、そうしたらどうなるのって話。
個人的には2020年までに東京大地震は起こるような気がしている。
センター試験は地学で取ったし、地学の成績はやたらよかったから(だから、なに?)。
東京大地震が近いうちに起こるというのは学者先生もおおぜい言っていることだし。
でもさ、そんなことを言ったらだれも不動産を買わないし、
新規事業を起こせなくなってしまう。
このため、みんな無意識のうえで起こらないほうに賭けている。
そんなことを言えば、
たぶん生まれた瞬間にDNAを調べたら先々のことがかなりわかるのではないか。
こいつは病気で早死にするということも出生前判断を極めればわかると思う。
希望は、わからないこと。
現実はそこまでわかったとしても当人がいつだれとどんな出逢いをするかはわからない。
そこまでは遺伝子情報に書き込まれていない。
そのわからないことを信じるということが賭けであり宗教、信心のような気がする。

よく「先の先を読め」とか言うじゃん。先手を打つのが絶対正義みたいなさ、あはっ。
でもでもさ、未来はわからないのだから後手後手のほうがいいかもしれないわけ。
急いで先手を打つと、「慌てる乞食は貰(もら)いが少ない」になる可能性もある。

「現代は激動の時代である。
いつなんどき、世界情勢・政治情勢・経済情勢が変わるかもしれない。
総理大臣がぽっくり死ねば、あわてて原稿を書きなおす必要がある。
それなら、ぎりぎりになってから執筆すればよい。
最新の情報を盛り込んで執筆した原稿のほうが、たぶん出来ばえもよいだろう。
その意味でも、「明日できる仕事は今日やるな」である」(P128)


未来のことなんてわからない。いつどうなるかなんてだれにもわからない。
みんな平均寿命まで生きられるような幻想を抱いているが、
明日すべてが終わるかもしれないわけ。
国家的に見ても、年金や社会保障(医療費)はほぼ破綻しているわけでしょう?
そこはもうあきらめるしかない。どうしようもないと。
でも、結局、なんとかなるわけだから。なるようになるわけだから。
本書のオリジナルは約35年まえに出版されたものらしく、
石油危機がどうだの書かれている。50年後には石油がなくなるとか。
けどさ、2017年現在、まあなんとなっていると言えなくもない。
先々どうなるかはわからない。ならば――。

「なにもかも、きれいさっぱりあきらめて、絶望の上にどっかと腰を据えてみる。
それ以外に方法がないのではないか。
絶望にあわてふためき、おろおろおたおたするのがいちばん愚の骨頂ではなかろうか。
そんなことをしたってなんにもならないのだから」(P188)


麻雀のルールはよく知らないが、あれは配牌(=運)のちからが強いんでしょう?
人生をあきらめたデタラメでいいかげんな仏教ライターの生き方はむかしからこうだ。

「麻雀の配牌で上がり役を決めてしまうのが学者先生のやり方で、
わたしのは、その後の牌のきかたで臨機応変に上がりにもっていくやり方だ」(P213)


なるようにしかならない。明日は明日の風が吹く。未来は未だ来ていない。



甘いものでも食べて「いま」を楽しもう♪

COMMENT

ぷんぷん URL @
03/03 07:26
. 少し前のブログで、今の仕事を今日限りで辞める、突然明日出勤しないという暴挙に出るかもしれない、と仰ってましたが結局3月いっぱい期限まで続けるのですね。
しかし近所に時給の良い求人があるなら、今すぐそっちに移ってもバチは当たらないと思いますが。
なんだかんだ土屋さんは律儀な性格というか、(良い意味で)小心者すぎるなぁ、、、と。
そういうのは人生において損しますよ、と言いたかったが、誰にもわからない未来の選択で迷っても仕方ないという境地に達しているならば、結果あとあと良い報いとなってかえってくるのかもしれないですね。








 

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