それぞれ「正しい」こと

会社が派遣を早く帰してもいいなら、
派遣が会社を自主的に早帰りしてもいいと思い(むろんこれは後付けの理由)、
もう限界という感じで職務放棄に近いかたちで早帰りしてしまった。
でも、人員的には足りていたから、
わたしが早く帰ったことで派遣先会社は利益を上げている。
派遣元会社は多少の損をしたかもしれないけれど、そのくらい許してよ。
「今日で辞める」とかたくさんの人に言ったなあ。

独特なルールを強弁に主張する職場派遣古株のMさんという好青年がいらっしゃる。
えらくむかしから働いているとのことで仕事にポリシーをお持ちである。
同僚もみな敬意をいだいているようなので、当方もおそれていた。
というか、Mさんはわたしなんかにやたら気を遣ってくださるので感謝していた。
しかし、独自ルールの持ち主。
たとえば箱は最初にぜんぶ開いて積まないほうがいいとか。
それはとても「正しい」ことで、ああいうふうに箱を積んでいると運ぶときに倒れる。
しかし、みんながそうしているし、現状のままでもいいと思う。
わたしはどっちでもいい。どちらもまあ、それぞれ「正しい」はず。
Mさんが「供給」をやっているときは、好青年に合わせて彼の作法でやっている。
彼がいないときはみんなに合わせて作業している。

いまの派遣先職場には「供給」という、
わたしからしたら時給1200円をもらってもできない男性用力仕事がある。
ちなみに当方のいまの時給は、おっとそれは書けないなあ。
いまの職場でいちばん難しい魔の作業は「供給」だ。
時給1500円でも「供給」はちょっとなあ、と思うほどわけがわからない。
しかし、肝心かなめの職務でここを怠ると女性陣の非難が集中する。
昨日新しくできたらしい「供給」のマニュアルを社員さまから口伝えで教わった。
最近好人物のHグループ長が新しい「供給」のわかりやすい表を作成してくださったようだ。
たしかにそれはとてもわかりやすいと思う。
しかし、派遣の古株好青年Mさんは、新しい表を見ないほうがわかりやすいという。
たしかにそれも一理あるのである。
従来の表を参考にしたほうが馴れればわかりやすいという面もある。

昨日公式マニュアルを読まされた。
今日派遣古株のMさんからマニュアルとは異なる実際的なご指導を受ける。
わたしは「供給」はまだ5回しかやっていないが指導者は同年齢のKさんだった。
Kさんの言うこととMさんの言うことが異なる。
MさんによるとKさんはフィーリングでやっていてよくないとのこと。
わたしはKさんの言うこともMさんの言い分もそれぞれ「正しい」と思う。
ただしご年齢のせいかKさんの教え方のほうが当方にはピンと来た。
かつては殴りたいとか書いたSさんは、
「供給」はけっこう「なんでもいい」派で、
わたしはSさんから一度も「供給」を教わったことがないけれど、
完全を目指さないSさんの「供給」方法がいちばん現実的な気もする。

当方は頭脳処理能力が低いから3つも「供給」方法を教わるとパニック。
(Kさん、マニュアル、Mさん)
今日はシフト表では「供給」に入っていなかったのに、いきなり研修だとか。
研修コーチは自分が絶対「正しい」という信念をお持ちの好青年のMさん。
みんな「供給」はいやなのよ。わけがわからないし、いちばん叱られる仕事だし。
明日もまた「供給」なので、もう今日で辞めてしまおうかと思った。
よくわからないことはできないじゃない。
どうしたらいいのか、だれに聞いたらいいのか、まるでわからない。
しょせん派遣。辞めればオールクリア。

本日何人の人にお別れの言葉を言っただろう。今日で辞めます。
大金をいただいているわけでもないのに、そこまでいやなことをする必要があるのか。
今日で終わりと思ったら、なんと職場や同僚の美しく見えることか。
もうここには来ない。だれとも逢わない。これで終わり。
無理なものは無理。「供給」はわからない。
次の仕掛け品の準備をしながら、残量が足りるかどうか計算するのなんて無理だから。
今日もフランポワーズが危ないような気がして、
指導者のMさんに報告したら大丈夫とのこと。だが、結局数枚足りなかった模様。
これはMさんが悪いというわけではなく、そこまで計算できないわけ現実的に。
それでも古株ならなあなあで済ませられるが、新人は責められることがある。
残量計算は現実的に実際問題として無理なのだと思う。

次の仕掛け品の置き方を今日Mルールで教わった。
いままで聞いていたものと違うが、そちらが「正しい」のかもしれない。
明日の「供給」をいったいどうしたらいいんだよ。辞めたい。
どうしたらいいかわからないんだから。
というか、こんなまちまちのルールがある会社で働くと自分が壊れる。
今日でさようならでもいいんじゃやないか。
重いバンジュウの「正しい」「供給」の仕方もMさんから今日教わったが、
わたしの場合、それでやるとやたら腕に負担がかかり落としそうになるのだ。
でも、Mさんの視線があるうちはそれでやらないと相手の気分を害してしまうだろう。
ご自分は古株ゆえそれが「正しい」と思っておられるのだから。

辞めちゃえばいい。
どうせ3月終わりだし、なら2月終わりでもそう変わらないではないか。
2月で終わりなら、べつに今日で終わりでもいいではないか。
まえの会社は退職勧奨を受けて辞職している。
上が下を自由に辞めさせることができるのなら、下が勝手に辞めるのも自由だろう。
社員さんにも今日で辞めると言いまくりました。
しょせんいつでも切れる派遣だもの。
女性社員さんからは「供給」なんてスポット派遣でもできると以前うかがったことがある。
辞めちまおう。帰っちゃおう。
もうあたまがパンクしていて1秒でもこの場にいるのがいやだった。
今日のお給金もいらないが、そういったら派遣会社にご迷惑がかかる。
これで明日からは破滅への道、自由の道になる。

派遣なんてすぐ辞められると思っていたが、そうではないらしい。
明日のシフトが決まっていると言われる。
えええ? でも「供給」なんてスポット派遣でもできる楽勝仕事なんでしょう、K原さん?
社会人としてそれはどうか、人間として即日バックレはどうかと当方もいろいろ考える。
あそこの現場と事務所は仲が悪いという説もあるけれど、
今度は事務所の女性にわざわざ話を聞いていただく。
めんどくさい派遣でごめんなさい。
現場のことは現場でしかわからない。
ツッチーもう辞めたらという視線もいくつか感じたような気がする。
ツッチー最高、そこで帰っちゃうの、おもしろすぎ! みたいな視線も。

ぶっちゃけ身もふたもないことを言うと、
わたしは明日派遣先会社に行ってわけがわからない「供給」をしたくないのである。
生活者としてはそういう行動は問題ありだが、
表現者としてはそちらのほうが見込みがあるともいえなくもないわけで。
生活者も表現者もどちらも「正しい」のである。
わたしは明日絶対会社に行くと派遣社員さんにも会社にも約束したから、
たぶんおそらくかならずや行くことだろう。
ここで不義理を働ける人をすごいと思うし、
尊敬するような危ないまなざしを当方は持っている。
おれは無断欠勤もできないようなつまらない男なのか。その結果は明日出る。
あんがいすべてを放棄して借金やらなにやら、
メチャの無頼生活を送ったほうがこの先希望のようなものがある可能性もなくはない。
さて、明日わたしは会社に行くのか行かないのか。
今日、自主的早帰りしたのは人員過剰を知っていたから、
決して派遣先会社に不義理はしていない。
そういうことにこだわるのがちっぽけな人間の証拠だろう。
もうすぐ漫画家のサイバラの元夫が死んだ年齢になる。
宮沢賢治も太宰治ももう死んでいる。

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