「しっかり死ぬということ」

「「死は大事な仕事」しっかり死ぬということ」(ひろさちや・中村仁一/李白社)

→人間は死ぬために生きているとも言いうる。
バイトから正社員になっても係長や部長になっても取締役や役員になっても、
社長になっても会長になっても、いくら社員からお辞儀をしてもらおうが、
「どうせ死んでしまう」し、そう考えたら「生きる意味はない」――。
自分がいなくなったら会社はまわらないとか信じている(信じたい)
スタッフは大勢いるでしょうけれど、実際はそんなことがない。
明日あなたがなにもかもすべて投げ捨てて孤独にインドへ旅立ったほうが、
そのほうがかえってうまくまわるという会社もあるちがいない。
まあ、一度正規ルートからドロップアウトしたら、
よほどの強運がないと日本社会へカムバックはできないけれど。

本書のタイトルは「死は大事な仕事」――。
よくわからないが、
いまわれわれが必死でしている仕事よりも大切なものがあるのかもしれない。
うまく死ぬのって意外と難しいような気がする。
周囲を困惑させて、散財して、身も心もボロボロになって死ぬのは、
いくら大企業の部長さまでもおいやでしょ?
しかし、どうしたらうまくジタバタせずに死ねるのか。
そのために本書では医療業界の裏側をある程度まで暴露してくれている。
ふつうは知っていても周囲の迷惑や自己の保身を考えて業界の裏話はできないんだ。
しかし、もう余命が少なかろう宗教ライターと町医者以下の老人ホーム医師は放言する。
たとえば、いま流行っている糖尿病に効くとされる糖質制限食はどうか?
あと数年で死ぬだろう町医者以下の老医療者は「本当のこと」をぶちまける。

「こんな紹介しましょう。
いつだったかNHKのクローズアップ現代で糖尿病の糖質制限食を取り上げていました。
昔は総カロリーがなんぼで、
脂肪とかタンパク質を一日何グラム摂取しなさいと指導していました。
それが今はほとんど糖質摂取するなとか、糖質制限で糖尿病はよくなると。
以前とは異なることを言う医者が出てきています。
番組に出演していたのは、糖尿病学会の理事でした。
つまり、体制派です。
たとえ糖質制限食が効果をあげていても、悪い例を提示するわけです。
彼[理事長/権威者]は、糖質制限食を続けて、歩けなくなった人、
目が見えなくなった人の例を挙げ、
だから勝手なことはするなと主張していました。(……)
異端の人間が立ち上がろうとしても、
そんなものは全部潰(つぶ)されていってしまうのが医療の世界。
もし異端の意見が真っ当であることが証明され、取り入れられでもしたら、
自分たち体制派の権威は丸潰れです。
長い時間をかけて自分たちが営々として築いてきたものが
一気になくなるわけですから、彼らも必死なのです」(P33)


しかしまあ、世の中そんなものだろうと言えなくもない。
我われはこのように情報搾取され、しかし医療者に感謝しながら死んでいく。
何度でも書きたいが、わたしは医療従事者ほど尊い仕事はないと思っている。
今夏、熱中症で倒れて救急車で運ばれたとき、
そこの病院のナースの仕事ではあるのだが、その厚情はいまで忘れられない。
医者やナース、薬剤師はやはりふつうの職種よりも偉いような気がしている。
とくにナースがそう。熱中症のときは激痛だったが、
あのナースさんにどれだけ助けられたか。励まされたか。慰められたか。
翌日、会社に行き、からだのふしぶしが痛いので今日くらい休ませてくれると期待したが、
職人あがりらしい副工場長コカ氏からは「では現場に戻ってください」だけだった。
それもいまではある夏の暑い日のいい想い出。
輝かしい感動的な忘れられないメモリーのひとつ。
苦しみっていけないことなんだろうか。
宗教ライターのひろさちや氏は子どもを自殺で亡くした両親にこう言ったという。
就職直前の大学生の愛息を自殺で亡くした両親は、
わらにでもすがる気持で権威者に泣きつく。
「ひろ先生、どうしたらいいんですか?」

「私はこう返しました。
「どうしようもないだろう。解決策なんかあるわけがないじゃないか。
あなたがはね、息子さんは苦しんで死んだんだぞ。
一生懸命苦しんで死んだんじゃないか。
あなたがた二人も苦しめばいいんじゃないか。
なんで自分の苦しみを少なくしたい、苦しみを軽減したいと思うんだ。
苦しみを減らそうだなんて厚かましいぞ!
十分、しっかり苦しめ。それ以外ないぞ」
それしか言いようがないのでそう言ったら、
夫婦は十分間くらい黙っていました。
そして、わかりましたと帰っていきました」(P229)


生活のうえでの役立つ情報をちょっと書いて場をやわらげなければ。
薬屋の息子のひろ先生も、その弟の薬剤師さんも、
さらにさらに中村仁一医師も言っていたが、
薬局で売っている市販薬、大衆薬、一般薬は驚くくらい効かないらしい。
薬局で売っているものは、漢方でさえ成分が非常に弱められており効果がない。
今年はとくに大勢の医者、ナース、薬剤師、病院職員のお世話になりました。
いちばん感謝したいのはナースさんかなあ。

さてさて、老年にしていきなりメジャーデビューした中村仁一医師は言う。

「自分たちに都合のいいデータのみを示してくるのは
医療界の常識と言っても差し支えないと思います。
特に「三た理論」というのがはびこっています。
「飲ませた」、「治った」、「効いた」の三つの「た」です。
自然治癒かもしれないし、薬を飲ませなくともよくなったかもしれないけれど、
飲ませた、治った、効いた、
だからこの薬はいいのだという「三た理論」がまかりとおっているのです」(P121)


言っちゃいけない本当のことを言えば、
医者だって患者の病気がどうなるかなんてわからないし、
同時にどの薬が効くのかも言っちゃいけないのだろうが真実はわからないと思う。
でも、結果的によくなっているケースが多いからいいじゃん、みたいな。
当方の「お腹の風邪」がもたらす吐き気は改善のきざしがみられないので困る。
もう新興宗教にでもすがっちゃいたいくらい。
今現在勧誘メールは来ていない。恐れるなかれ。当方そこまでの悪人ではない。
勧誘メール1本よろしゅうお願いします。無料ならスピリチュアル系でもいいっすよ。

COMMENT

Q URL @
12/04 12:50
. 1億7000万円を盗られた時も
「泥棒さんは苦しんで盗んだんだぞ。
一生懸命苦しんで盗んだんじゃないか。
俺も苦しめばいいんじゃないか。
なんで自分の苦しみを少なくしたい、苦しみを軽減したいと思うんだ。
苦しみを減らそうだなんて厚かましいぞ!
十分、しっかり苦しめ。それ以外ないぞ」
と、自分を叱咤激励は…しなかっただろうな。大金持ちのひろさちや先生。
Yonda? URL @
12/08 09:00
Qさんへ. 

人間はね、他人の気持が究極的にはわからないんだ。覚えておけよ。








 

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