「熱湯経営 「大組織病」に勝つ」

「熱湯経営 「大組織病」に勝つ」(樋口武男/文春新書)

→また大和ハウスの樋口武男会長のご著作を拝読する。
ブログ「本の山」のおもしろさを
本当に理解できる人というのはひとりくらいなのかもしれない。
というのも、わたしと実際に対面してある程度の本音会話をしていないと、
このブログの本当の魅力というか、おかしさのようなものはわからないからである。
今年に入ってから大和ハウス関連の書籍の感想を3冊も書いているでしょう。
あれはどういうわけかというと、わたしが系列企業(子会社?)でバイトをしていたからだ。
いち末端バイトが会社のトップで、まるで天皇陛下のように威張っている
最高権力者の本を読んでけっこうボロクソな感想を書くってかなりおもしろいわけでしょう?
もしかしたらわたしがバイト先をクビになった理由はこのブログかもしれないのである。
工場長によると、大和ハウスは毎日、
関連部署がインターネットでエゴサーチをしているって言うし。
ブログに大和ハウスの株うんぬんを書いた翌日に、
インサイダー取引のお勉強をさせていただいたのはあれは偶然なの?
「退職勧奨」の際、工場長に「ここに呼ばれた理由はわかるよね?」と聞かれたとき、
「ううう、ブログかしら」と正直思ってしまったことを白状する(隠し通したが)。
けれどさ、それは自意識過剰かもしれないわけで。
大企業のトップが弱小ブログのたわごとを気にするなんて、
そんな器が小さいというか、ケツの穴が小さいというか、ありえないっしょ?
でも、本書によると(P106-107、P132-133)、
大和ハウスの樋口武男会長は毎日2ちゃんの自社スレをチェックしているらしい。
樋口武男さんは昭和天皇のようなメンタリティをお持ちのようで、
うちのような子会社のちっぽけなリネン工場にまで
会長ご自身の巨大な御真影(ポスター)がはられている。
たしか「凡事徹底」とか書いてあったような気がする。
ほかには「一歩、前へ進め」とか、
……それは上官が部下を鉄拳制裁するときの言葉では?

これでたしか大和ハウスの樋口武男会長の本はぜんぶ読んだのではないか。
感想はおなじエピソードの繰り返しばかりで飽き飽きとした。
仕事人間や会社人間というのは、毎日おなじことばかりしているので(まあ仕事さね)
おなじ話しかできなくなってしまうのである。
本を読む時間どころか、家族と話す時間さえない。会社会社会社、仕事仕事仕事。
おなじ話でもおもしろければいいが、基本は自慢話というか武勇伝である。
おれはね、あんとき上司と怒鳴りあっておれの意見が通ってそれが成功した、とか。
あれはね、あいつの仕事になっているけれど、
本当はおれが裏で根回ししてやったんだ、とか。
いちばん会社人間が好きなのは、
出世したあいつはじつのところ、このおれが育てたとかいう武勇伝じゃね?
うちの父も仕事人間だったけれども、
いつでもおなじ話しかしなかったもん(できなかった←男はそんなもんだが)。
とはいえ、我輩さまもふくめて、
成人した男の話なんてみんな武勇伝みたいなものとも言えなくはあるまい。
それを女が内心はウゼエと思いながらハイハイと聞いてあげ、
キャバ嬢やホステスはお金をもらい、一般女性はプレゼントや正妻の座をゲットする。
くだらんよねえ、人生なんざ。社長になった、会長になった、それがなんだい!?

しかし、俗世間を生きるためには、そうとばかりは言っていられない。
仕事って本当にストレスのかたまりだと思わない?
なんでみんな和気あいあいとニコニコしながら働けないのかね。
タオルやウェアを折りたたむだけの仕事なんておしゃべりしながらでもOKでしょう?
かえって、そのほうがペースも上がるんじゃないかとさえ思う。
けれど、赤い爪をしたへんな古参チーフがいて、場をピリピリさせるわけだ。
仕事には責任がつきまとうが、この責任がよくわからない。
大会社トップの樋口会長が師事する石橋信夫オーナーはこう言うが――。

「仕事の上の停滞や失敗を問いただすと、誰それの指示によりましてなどと、
あたかも自分には責任がないかのような答えが返ってくる。
みずから道を求めて努力していた人なら、こんな返答はしないだろう」(P21)


社会人のいちばんのストレスってこれではありませんか?
どこの職場にも古株やら仕切りや、威張りたがる人がいるんだ。
そういう人が好き勝手にあれをしろ、これをしろと指示してくる。
それは違うと思っていても、
断わったら人間関係がめんどうくさくなるから言うことを聞く(シバタさん!)。
そこに上司が飛んでやってくる。「どうしてこんなことをしたんだ?」
「○○さんがやれって言ったんです」と答える。
「おまえは自分のあたまで考える能力もないのか」と叱られる。
いまの職場でイリーという50後半の仕切りやのおっさんが最悪だったな。
よくわからない指示をいちおう先輩の当方に怒鳴り声でしてくるのである。
数度、怒鳴り返してみたら静まったけれど(←こういうのが男の好きな武勇伝ね、笑い)。
基本的にミスの責任は遂行者ではなく指示者にあるような気がするけれど、どうだろう?
ちなみにこのあいだに古株の威張った知的障害者が3人も介入するとカオス極まれりね。
ひとりの知的障害者と仕事をするのでさえ難しいだろうし、
それが3人になり、3人とも古株ぶって威張っていたら、
毎回毎回新しい健常者は壊されるしかない(知的障害者は純真ではなく異常者)。

樋口武男会長が大和ハウスから
大和団地という格下会社に飛ばされたときの何度も読んだ武勇伝がまた強烈である。
樋口武男は会社に朝7時半までに出社するようにしたという。
そりゃあ、社長が早出をしたら部下も真似をしなかったら仕返しが怖いだろう。
これが樋口武男会長の有名な武勇伝のひとつ。
自分が(たぶん始業は9時なのに)7時半に出社したら、みんなも真似をするようになった。
結果として会社に活気が戻り、
あとから女子社員から社長の早出はすばらしかったとほめられたという。
早出は大和ハウスの文化なのかしらん。
わたしもバイトを始めたとき1時間早出をしたら社員に近づくぞ、と言われたことがある。
なんでもその社員も毎日早出をしてきて、しかし出勤記録はつけていないという。
なまけものの当方は指示された翌日に15分早出をしたのが精一杯だった。
最近、わたしと同年齢(40歳)の新人が入ったが、
きちんとサービス早出をしているらしい。
毎朝30~45分早く会社に来て「やる気」をアピールしていた。
(労基署に見つからぬようこっそり書くが職場には2時間以上サービス早出している仕事が好きなご老人もいる)
そのIさんの「やる気」アピールがうまいのである。
いつも手帳をポケットに入れていて、覚えた仕事をメモしている。
うちの職場は毎日のようにルールが変わるから、
そんなことをしても実質的な意味はないのだが、
「やる気」のアピールという面では非常に有効な手であったと思う。
わたしもつぎの職場で「やる気」をアピールするためにあれを真似しようと思っている。
しかし、うちの職場では毎日ルールが変わるから記録を取る意味はないのだけれど。
Iさん自身は大和グループから流れてきたらしく(物流?)、
処世がうまいばかりでなく、とても人柄のいい方でありました。
.
わたしが「退職勧奨」された理由のひとつは、
たぶんIさんの「やる気」アピールだったような気がする。
「退職勧奨」の際、工場長から「やる気」が見られないと何度も言われたしなあ。
こんな長文記事をここまで読んでいる人は少ないだろうから書くが、
仕事というものは「する」ものであると同時に「見せる」ものなのだろう。
いかに仕事を「する」かではなく、いかに仕事をしているように「見せる」かが重要。
まあ、ご先輩のみなさまは、こんなことくらいよくよくご存じでしょうが。
繰り返すが仕事は「する」ものだが、同時にアピールしなければならない。
うちの男性スタッフはみんなオーバーアクションで仕事をするが、
裏にはそういう社風のようなものがあったのではないかと思う。
なにもすることがないときでも、自分は仕事をしているという「ふり」をいかにうまくするか。

本書を読んで、会社とはコネ(血縁/創業者一族)と密告(事情徴収)が
いちばん幅を利かせているのではないかと思った(33ページ)。
書かれているのは樋口氏がいかに
創業者一族お気に入りの重役を切ったかという(またもや)武勇伝である。
そのとき事情徴収(密告をあおる)をしたことも書かれている。
もう少しばかりわたしもうまく密告で暗躍していたら失業していなかったのかもしれない。
会社組織は密告(讒言/中傷/陰口)の巧拙が生き残りをわけるのかもしれない。
お人よし過ぎたのか、わたしはあまりにも密告というサバイバル術を使わなかった。
同僚のミスを発見しても、ほとんど上にそのことを伝えなかった。
考えてみたら、いまの職場で生き残っている古株は密告が好きそうな人が多い。
あることないこと密告して気に食わない同僚を辞めさせ、
おのれのいまの立場を守るのが会社における処世術なのかもしれない。
赤い爪のチーフとか知的障害者の某とか人権老女Sとか、
生きる知恵としての密告をじつによく知っていたし巧みに利用していたような気がする
わたしは最後に工場長から嫌われ「退職勧奨」されたようだが、
もういくばくかうまく密告制度を使って工場長と良好な関係を構築していれば、
いまのような状態にはなっていなかったのかもしれない。
じつは副工場長は恩人の工場長のことをこんなふうに貶めていましたよ、とかさ。
いまからでも密告は遅くないのだが、わたしにそれをするメリットはないし、
いちおう工場長にも副工場長にもお世話になっているから、
いまさら両者の関係に亀裂を入れたくはない。もういいじゃんっていうか。
偽善者ぶるけれど、おれが悪人ってことで、消えればいいんでしょ、みたいな。
でも、もうちとばかし密告制度をうまく利用していればよかったという後悔はなくもない。

結局、優秀な人材というのは仕事アピールと密告(讒言)がうまい人なのかなあ。
あと人情などまったくなしに、会社のために人をぶった切れる企業人。
辞めろ! 代わりはいくらでもいる! 退職届を自分で書いたなら自己都合退社!
おまえの人生なんか知ったこっちゃねえ! 
おれは会社がすべて、仕事人間、どこが悪いか言ってみろ!
大和ハウス最大のピンチは2003年に赤字決算をしたときらしい。
このとき樋口武男社長(当時)は石橋信夫オーナーから、
赤字決算をしてもいいと密室で言われたと本書に記されている。
密室だから証拠はない。証明するものは樋口氏の証言だけである。
ふたりだけの密室での会話は証拠がないから、
肩書上位者や勝利者および生存者の証言が
正しいものとして世の中には流通するのである。
本当に石橋信夫オーナーは樋口武男氏に「赤字決算OK」と言ったのだろうか?
また本書では樋口武男氏は石橋信夫オーナーから、
社長ではなく今度は全体を俯瞰(ふかん)する会長になれと言われたと
この本には書いてある。しかし、これもまた密室の会話である。
証拠はなにもない。樋口武男会長の証言があるのみだ。
わたしも工場長から密室で「退職勧奨」され受け入れたが、
工場長はそんなことは言っていないと主張し(結果、当方は自己都合退職あつかい)、
どうしてか密室での会話なのに3人も証人がいることに会社ではなっている。
これが大和ハウスの文化というものなのだろうか。
大和ハウスの樋口武男会長はいったい幾人に「退職勧奨」しながら退職届を書かせ、
そのうえで会社のために自己都合退職あつかいで路頭に迷わせたことか。
会社でサバイバルするというのは、そういうことなのだろう。
樋口会長の弟さんはレアな難病で苦しみながら死んだという(ALS)。
会長のご子孫にもっとバチのようなものが出るかどうかはわからない。
ただ会長は畳(たたみ)の上では死ねないと思う(高級病院の病床でお亡くなりになるってこと)。

樋口会長のお言葉のなかでひどく共感したものがあるので偉人のご発言から抜粋したい。

「ネットに落書きしている暇があったら、社長に本音を言ってこい。
ただし、匿名ではない。堂々と実名でモノを言え。
社長は、提案者の秘密を厳守する」(P110)


おそらくこのブログ記事も大和ハウスの監督部署に拾われるであろう。
うちは本名、実名ブログで正々堂々と意見を申し上げている。
あれは「退職勧奨」にほかならなく、
自己都合退職あつかいするのは誤りだとわたしは思う。
しかし、世の中まあ、そんなもんさということを知らない年齢ではない。
大和ハウスは断じてブラック企業ではなく、
同僚もそこまで悪くはないふつうの人たちでした。
一部、法律違反がないわけではありませんが、
そんなことを言ったら中小はどうなるって話で。
いつか一発当てて大金を得たら大和ハウスの株でも買おうと思う。サンキュー。バーイ。

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