「「行き場」を探す日本人」

「「行き場」を探す日本人」(下川裕治/平凡社新書)

→ぼくらのタナシンが西村賢太との対話で、自分に職歴がないことを誇っていたが、
サラリーマン体験というものは、こころを壊さない程度ならしても悪くない気がする。
最前の職場はバイトにも社員たれと期待する、見ようによってはいい会社だった。
部下には常時「こうしろ!」と言っていた人がさ、
さらなる上司がそうではないと調子に乗った部下の顔をつぶすために言い放ったとき、
「それはごもっともでございます」と以降手のひらを変えるような上司とかおもしろいぜ。
職場のまえの先輩(1歳年下)は上司のそういう人間味をいちいち愚弄していたが、
わたしは「なるほど」と処世というものを実地で学ばせていただいている感激に震えた。
まあ、そのわたしも先輩とおなじようにあわれ追放されて無職孤独零落、
いまごろみなさまの悪口のいいサカナになっているのでしょうが、
それはまあそんなものよ。つぎはだれがターゲットになるのかな。
わたしもようやく日本のサラリーマンの味わう理不尽さを実体験した。
以下の文章は本当によくわかる。

「理不尽さが募ること――。
会社勤めを続けていれば、それはしばしば起こることだ。
先日も、ひとりのサラリーマンの愚痴を聞いていた。
「いちばん頭にくるのは、上司の『言っただろ』なんだよ。
上司の意図を汲んでいない見積もりなんかを出すと、
『言っただろッ』と怒る上司がいる。
しかし断じていうけど、自分は絶対に聞いていない。
しかしそれをいうと『いった、いわない』の争いになっちゃう。
結局、こっちが黙るしかない」
そんなことは日常茶飯事だという人は多いだろう。
僕はサラリーマンを辞めて三十年近くになる。
しかし、理不尽さへの記憶はしっかりと残っている」(P33)


今月でクビになった工場はトップの方針でミーティングをやらないんだ。
そのことによるマイナス面だけではなく、プラス面もたぶんにあったと思っている。
上司は一対一の口伝えで部下に指示を出す。
上司はそれをみんなに言ったものと思ってしまうが、現実はむろんそうではない。
3人もいらっしゃる知的障害者が伝言ゲームにさらなる妨害を加える。
もうひっちゃかめっちゃかで、
いまでもリネン工場として成り立っているのが不思議なくらいだ。
毎日のように「それは違う」と言われ、言っただろう、聞いていませんの繰り返し。
知的障害者が独自の判断(なんて無理っしょ?)で指令をだすときもあるから現場は修羅。
ぜんぜん楽しくない。いつもピリピリ、セカセカしていて、
みんながおのれのミスを指摘されることを過剰に恐れている。
獰猛に他人のミスを探し回っている企業人としては優秀な上司もいる
(彼の人間くささを社会見学気分で高評価する当方以外のバイトは、
ひとりもらさずみなみな男を嫌っていた。彼の顔を見るとメシがまずくなる等々。
当方がいまの職場に勤務している際にどれほど副工場長の悪評、悪口を聞いたか。
そういうのはすべて自分に密告してくれと頼まれたが、
先生に気に入られる優等生みたいなことはしたくない、
とあいまいにしておいたらこちらがいきなりクビさ)。

さてさて、話を窮屈な日本からアジアに移すと、
本書によるとたとえばタイの工場では女性のみならず男性までが、
会社を辞める理由に友人の退職をあげることが多いらしい。
あの子がいなくなっちゃうと、もうここで働く楽しみがないから辞めるという考え方。
これには多くの日本人が「なにしに会社に来ているんだ?」と怒るという。
かつての長期間アジア放浪でアジア汚染されたわたしはあるまじき暴論を言い放つ。
えええ、毎日の1/3以上を過ごす会社が楽しくなかったら生きている意味がないじゃん。
いまの職場だっておしゃべりをフリー化(自由化/推奨)して、
もっと和気あいあいとやれば(見かけは悪くても)結果的に生産性は上がるのではないか。
人間関係が悪いとどれほど効率性や生産性は落ちるか。
そして、重要なのは人間関係は生産性や効率性のように決して数値化できぬということ。

アジアにはまだ日本に比べたら一発逆転のようなドリームが残っていそう。
しかし、本書にはひとつとしてそういう成功事例は報告されていなかったからリアル。
結局、日本でパッとしないやつがアジアに行ったところでパッとしない。
しかし、アジアにはことさらパッとしなくてもいいという共通認識があるから生きるのが楽。
家族や仲間、友人とそれなりにわいわいやっていれば、人生それでいいじゃん、みたいな。
海外移住は大量の書籍、医療薬品(個人輸入可能か?)が問題となっている。
海外でだらしない居酒屋でもやって、ダメな日本客相手と傷をなめあいたい。
そ、そ、そんなことを考えられるくらい我輩様はワールドワイドな視点を持っているのでR♪

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