犬と知的障害者

「退職勧奨」のさい、こんな20人くらいの工場をまわすのなんてかんたんでしょう?
と言われ、知的障害者が言うことを聞いてくれません、
と答えたら、工場長から「それは土屋さんの人間の器が小さいからでは?」
と言われた気がする(証拠=録音はない)。
まったくそうだと思う。当方は器が小さい。
具体的に言えば、小さな飼い犬にもなぜか吠えられるのがわたしという小男だ。
職場に知的障害者になつかれているおっさんバイトがいるけれど、なるほどなあ。
男はナナコという名の犬を飼っている。
犬がわたしに吠えたてるときの目と、
知的障害者が当方に歯向かうときの目がそっくりおなじなのだから。
わたしという人間の劣悪さを見破る純真な目を犬と知的障害者は持っているのだろう。
こちらがなにかお願いすると怒って、
逆に意味不明の指示をしてくる知的障害を持つ古年兵のような青年が職場にいる。
肩書が上の副工場長からなにか言われたときは直立平伏イエスマン。
後輩年上のわたしからお願いをされると脅えた子犬のように睨みつけてくる。
むかしの日本兵を想像したものである。
おおむかし大陸に繰り出した日本兵は彼のような男が多く、
さも当たり前のように現地で上司の命令どおり現地民に乱暴狼藉を繰り返したのだろう。
学のない一兵卒は上官の言うことは絶対服従でなんでもやる。
こういう兵隊の群れほど怖いものはない。
戦後GHQが日本の教育制度に干渉したのはこのためかと思われる。
犬がかわいいように知的障害者も見ようによってはとても愛らしいのだろう。
あと4日で永遠に会わなくなるが、
たとえ会ったとしても彼らはわたしのことを覚えていないだろう。
犬はしつけられたことは覚えるが、
対話を求められると相手に吠えかかることしかできない。
そして、だれのこともすぐに忘れてしまう。
怨恨も後悔もない、幸福な愛すべき我らが仲間たちだ。
すべて忘れてしまう。だからいつもケラケラ、ヘラヘラ笑っているが、
いま笑っている理由もわからないし、笑ったこともすぐに忘れてしまう。
ああ、純真な知的障害者、この世に舞い降りた天使たちの輝きと言ったら!

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