「リハビリテーション」

「リハビリテーション 新しい生き方を創る医学」(上田敏/講談社ブルーバックス)

→明日だれが倒れて半身麻痺(まひ)になるかわからないのである。
健康診断の結果がぜんぶOKでも脳卒中で半身麻痺になる人はいくらだっている。
そこで入るのがリハビリ病院というやつである
果たしてリハビリって医学なんだろうか?
だって行った人ならわかるでしょうが、リハビリ病院に医者はほとんどいないでしょう。
リハビリってどこか宗教めいたところがある。
まあ、そもそも医学がそうだから、だとしたらリハビリも医学になるんだろうなあ。
本書でリハビリの権威がばらしていた。
脳卒中で半身麻痺になっても数ヶ月で急速に回復することがある。
本人は自分ががんばったからと言うものだが、
医学的にはそれはそれだけ脳の故障個所が少なかったというだけであると。
たしかに身体をいくらリハビリしたって結局は脳なんだから……。

知人が脳神経外科の先生に聞いたことがあるという。
脳がダメージを受けた場合、本人は病識(病気だという自覚)があるんですか?
「そこらへんが境い目なんですよね」と言われたという。
リハビリしても完全回復はしないが、しかし機能がかなり回復することもある。
それはリハビリの成果なのか、それとも脳のダメージが少なかったからなのか?
でも、リハビリしたらよくなるというのは病者の希望である。
無理だって言われたら絶望しちゃうもんねえ。
結局、医学ってそういうことじゃないのかしら。
患者にとりあえず当面の行動規範を示すというか、まあ時を待ちましょうというか。
リハビリ病院でよくなったらそれはリハビリの効果のような気がするけれど、
もともと脳がそこまでダメージを受けていなかったという解釈もできるわけで。
そりゃあ、なにもしてないよりはリハビリをしているほうが精神衛生上いいだろう。
以上、人生リハビリ中の脳に欠陥があるという病識を持つ、
国家非公認の自称障害者のメモでした。
障害を持つ子どもには引っぱたいてリハビリさせるのが愛なのか、
やさしく見守っているのが愛なのかは自己愛ともからむ問題で難しい。
わたしが子どもだったら後者の親のほうがいいなあ。

医者はどれだけ自然にさらりと嘘=希望を言えるかが手腕である。
著者はけっこうな名医ではないかと思う。

「私はこれまで、障害による深刻な心の悩みから立ち直った人をたくさん見ているが、
そのような苦しみから立ち直った人は、
人間的に実に立派な、尊敬すべき人になる。
ベートーヴェンではないけれども、「苦難を突き抜けて歓喜へ」
というのはリハビリテーションでも真実だと思うことがある」(P193)


おいおい、あんた名医だなあ。

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