「「黒い手帖」裁判全記録」

「「黒い手帖」裁判全記録」(矢野絢也/講談社)

→本の帯に「逆転勝訴 公明党・創価学会は蒼白!」とあるけれど、
うちら一般人は他人の裁判なんて興味がないし、
裁判でどっちが勝とうがなにも思いはしないのだが(わたしだけ?)、
勝った負けたとか裁判が好きな人っているよねえ。
裁判なんてやるだけ時間と金の無駄で勝ったところで空しさだけが残るのではないか。
そのうえ裁判の判決がかならずしも「正しい」わけでもないことは、
創価学会の暴露本を読んで骨身に染みて(大げさではなく)知ったことである。
訴訟なんて裁判長や相手側の弁護士、相手側の証人を買収すればいくらでも勝てる。
それにしても創価学会は恐ろしすぎる。
3人の公明党OBが矢野絢也の「黒い手帖」を取り上げにいったとき、
こっそりと録音をしていたらしい。はじめからやる気満々だったのか。
創価学会に入って上へ行けば行くほど人間不信が強まるのではないか。
友人や仲間だと思っていても、いつだれが寝返るかわからない。
組織を追放されたら、内部での役職しかないものは使いものにならない。
かといって元幹部さまが時給850円とかじゃ働けないわけで。

公明党OBはこっそり録音した会話をさらに改ざんして証拠として提出したそうだ。
自分たちの都合の悪い音声データは削除してつなぎ合わせた。
創価学会というのは勝つためならそこまでやるのか。
まあ勝てばいいわけだから、なにをしてもいいわけで、
別に公明党OBや創価学会が悪いとは思わない。
池田先生のためならなにをしてもいいのである。勝てば官軍さ。
勝てば威張れて金が儲かって、いい女を抱け、うまいもんが食える。
勝ちゃあいい、勝てばいい、勝つためにはなにをしてもいい。
創価学会から学んだことで、強く共感する姿勢である。
でもさ、勝つために群れるのはなんか性に合わない気がするけれど、
勝てばいいというのはわかる。
大勝利して敗北者をせせら笑うことほど人生で楽しいことはない。
アハハ、あの恩知らずの裏切り者には仏罰が当たったよ、ざまあみやがれ。
勝利、勝利、前進、前進、常勝、常勝、いけいけどんどん、我らに敵なし!

創価学会で有名で「月刊ペン事件」(1976年)というのがよくわからないのである。
当時、小さな雑誌「月刊ペン」が学会批判キャンペーンをやった。
編集者をしていたのは隈部大蔵で元は西日本新聞で論説委員をしていた。
そこでの意見がもとで学会と対立して新聞社を退職に追い込まれたという。
その恨みを「月刊ペン」で晴らしたのだとされている。
学会批判キャンペーンは池田大作の女性スキャンダルにまでおよぶ。
婦人部が騒ぐのでこれは危ないと学会上層部は判断。
学会は隈部大蔵を名誉毀損で訴え、隈部は即日警察に逮捕され拘留された。
問題なのは、だれが隈部を警察に逮捕させたか、なのである。
学会の元顧問弁護士の山崎正友は矢野絢也が警察に働きかけたと書いている。
おそらくこれが真実だろうが、
矢野は「記憶がない」といかにも政治家的な記述を「黒い手帖」でしていた。
この本では矢野が紹介したふたりの弁護士が優秀だったからとごまかしていたが、
いくら弁護士が優秀でも名誉毀損で逮捕までは持っていけないだろう。
矢野絢也も書く本によって記述が変わっているのである。
矢野の著書「私が愛した池田大作」ではこうなっている(200頁)。

「名誉毀損容疑で雑誌の編集者を逮捕するなど、前代未聞である。
だが、創価学会・公明党は警察とは従来から太いパイプを築いていた。
警視庁の予算と人事を握る都議会で、公明党はキャスティングボードを握っている。
一方、学会も警察権力を味方にするうまみを知り尽くしている。
両者の利害は一致し、互いに親交を深める交流を心がけてきた。
特に警察と関係が深かったのは竹入氏である。
やはり裏で働きかけてくれたのだろう。
竹入氏のパイプが働かなければあそこまでうまくいったはずがない。
都議会公明党の首脳や、竹入氏の腹心である衆院の大野潔氏が、熱心に動いた。
「池田先生をお守りするためだ。協力してくれ」
私も警察首脳に頼んで回った。
かくして五月二一日、隈部氏は取り調べの後に逮捕された。
六月一四日までの二五日間、長期交流の憂き目にあわされた」(P200)


やはり矢野絢也も警察首脳に働きかけていたではないか。
警察を信用しちゃいけない、なんて怖くないだろうか。しかし、そんなものなのか。
さて、「月刊ペン事件」に話を戻すと、これまたよくわからない。
一審、二審は学会側が勝訴した。
ところが、三審の際に山崎正友が相手サイドに2000万の金を渡したことを暴露。
裁判は一審に差し戻しになる。
学会は山崎に3000万渡したが、山崎は1000万抜いて相手側を懐柔した。
なんでも池田大作を裁判に出廷させないための和解金だったらしい。
自分から名誉毀損の裁判を起こしておいて3000万も裏で和解金を支払うって、おい。
76年の3000万だからいまでは6000万くらいの価値はあるのではないか。
わたしは「月刊ペン事件」を知って、まじめに生きていくのがアホらしくなった。
警察と創価学会が通じているというのもうんざりだし、
名誉毀損で訴えた側が相手に3000万も払うという世界が理解不能である。
まじめに生きている学会員さんはいったいどんな思いをするのだろう。
もっとわからないのは和解金3000万を支払っているのに、
この後も裁判は続いたことである。
ということは和解金は隈部には渡らず、相手側の弁護士が着服したということか。
隈部は裁判の途中でガンで死んだそうだが、学会員は仏罰だと大笑いしたことだろう。
裏金とか癒着とかげんなりするので、「月刊ペン事件」は知らないほうがよかった。

大学生のとき先輩の酔っぱらい運転に乗車させてもらったことがある。
大勢の後輩のひとりとして、である。
先輩は都議会議員に知り合いがいるから、捕まっても大丈夫だと言っていた。
本当かよ、と当時は思っていたが、世の中って本当にそういうものだったのだなあ。
権力があればなんでもできるし、どんな一流企業に子息を入れることも可能。
権力とは金のことで、金があれば名誉も肩書も女も手に入る。
金(権力)がほしかったら勝つしかない。勝て、勝て、なにがなんでも勝て!
こう弟子たちに指導している池田名誉会長は「正しい」ことを言っていたのである。
創価学会には真理があると思う。創価学会はとても「正しい」。
権力(金)があれば、真理も正義も思うがままに支配できる。
金(権力)のあるものこそ正義だ。
日本最大の権力団体、創価学会の池田名誉会長が
どうして偉いのかよくわからなかったが、
このように読書を続けた結果、ようやく池田先生の偉い理由がわかった。
池田先生は権力(金)を持っているから偉くて絶対的に「正しい」。
池田先生の言うことは絶対的に「正しい」。
なぜならしつこいが権力(金)を持っているからである。
正義や真実(真理)は権力が創るものである。創価学会は「正しい」――。

どうやら創価学会がいちばん触れられたくないのは税金問題のようである。
池田先生の個人資金と、
先生の秘書軍団「第一庶務」の会計に触れられたくないのはわかる。
しかし、これも触れさせるなと矢野絢也は創価学会から命令されたという。
矢野絢也が公明党時代いちばん苦労したのが国税当局対策だったという。
たしかに国税当局と対決するのはよほど能力がないと無理だろうが、
そこまで尽力した矢野をあっさり切ってしまう創価学会は非情である。

「財務の詳細は会員のプライバシーであるから、いっさい触らせない」(P85)

わたしは税金問題にまったく詳しくないが、おかしな妄想をいだいてしまった。
よく知らないが、日本は金持ほど税金を多く取られる累進課税制度でしょう?
よくわからないけれど、税金には寄付金控除というものがあるって聞いたことがある。
つまり、寄付金としておさめたぶんからは課税されないという。
だったら、金持は創価学会に財務(寄付)をして、
代わりにキックバック(返金)してもらえば税金から逃れられるのではないだろうか。
創価学会の権力はあらゆるところに行き渡っているから、
財務へのキックバック(返礼)は子弟の就職斡旋や仕事発注で可能となる。
貧乏なのに生命保険を解約して財務をするのは愚かだが、
高収入のものが創価学会に多額の財務をしたら
実際に功徳(現世利益)があるのではないか。
創価学会がなにより重んじるのは恩義だから、
多額の財務(寄付)をしたものにお礼をしないはずがないと思うのだが。
創価学会って経済団体としてとてもうまく機能してきたのではないだろうか。
有名人は不良息子の犯罪を揉み消してもらえる代わりに学会に高額財務をする。
アイドルを抱きたい俗物は創価学会に財務をすれば有名人にコネがつく。
創価学会は刑事事件の揉み消しを通じてあらゆる権力者の弱みを握ることができる。
創価学会に毎年多額の財務をしていたら、
実際に功徳が太陽のようにさんさんとふってくるのではないだろうか。
その権力の最高頂点に長らく立っていたのが池田先生である。
だからして、池田先生は「正しい」し、日本人のだれよりも偉い。
池田先生がおられる創価学会は絶対に「正しい」。
みなさまも池田先生が偉い理由、創価学会が「正しい」わけがわかりましたか?

こういう裏社会のことを教えてくれる本書はすばらしい。
名著に敬意を表して、いくつか本文から抜粋させていただく。

「創価学会は相手が一歩下がって「弱い」と見ると、
嵩(かさ)にかかって襲いかかってくる体質があるようだ。
謝罪しても、それで終わりではなく、その先がまだあるのである」(P59)


勝つためにはなにをしてもいいんだから、当たり前とも言えよう。
矢野絢也は弱かったから創価学会にうまく利用され、晩年は袋叩きにされた。
いや、矢野は池田創価学会の指導に従わず、
息子を創価学園や創価大学に入れなかったという。
矢野絢也の息子は桐朋学園から一橋大学に入っている。
彼が読売新聞に入社したのは矢野の権力の証だろう。
結局、矢野は豪邸を残したわけだから、創価学会に勝ったとも言えよう。
竹入のほうはどうか。
竹入の息子はあたまの出来がよくなく、明大付属中野高校。
創価大学にさえ入れないレベルだったが、権力の都合上、創価大学入学。
以降、社会的権威のある医者になるべく東海大医学部に転校している。
これは東海大元総長の松前重義の息子が参院選に出るため、
創価学会票を必要とした。その見返りとして竹入の息子は医学部に入れたという。
以上は溝口敦氏の「昭和梟雄録」に書かれていたことで、
名誉毀損等の抗議はまずそちらへお願いします。
そうかそうか、有名学校への裏口入学も創価学会の権力があればできるのかあ。
やはり世の中は権力(金)で、創価学会の池田先生は日本一偉いのである。
池田先生に逆らおうなんて、ゆめゆめ思うなかれ。
先生が竹入を蹴っ飛ばしたら、みんなで竹入を蹴っ飛ばすのが「正しい」。

「当時、学会の会合でも竹入氏への罵詈雑言が飛び交い、
聞くに耐えかねて同席者のひとりが
「党委員長までやった人のことをそこまで言うのはどうか」とたしなめると、
こんどはその人が吊し上げにされたりした」(P88)


繰り返すが、池田先生に逆らおうなんて思うなよ。
池田先生は絶対に「正しい」のだから殺されても文句は言えない。
池田先生に逆らうものはムショに何年でもぶち込んでやればいいんだ。
矢野絢也も一時期そう思っていたから「月刊ペン事件」のとき警察に働きかけた。
そういうことをしたら悪いとか、まったく罪悪感を持っていなかった。

「学会幹部の誰かが池田氏の意向に少しでも背くような言動をみせれば、
ただちに池田氏に報告され、制裁を受けることになる。
これは相互監視機能ともいうべき内部システムが働いているためで、
これにより池田絶対主義体制が堅持されている。(……)
こうした体制であるから、学会幹部はつねに
「池田氏が側近に何を言ったか」に聞き耳を立てており、
その姿は、はた目にはまるでお互いに
池田氏への忠実証明のコンクールをやっているようにも見える。
滑稽であるが、そのコンクールから降りて「馬鹿馬鹿しい」といった言動をみせれば、
相互監視システムにより、たちまち第一庶務の知るところとなりかねない。
第一庶務は池田氏の言葉を伝えるだけでなく、
さまざまな情報を収集して池田氏に上げるという重要な役割を同時に果たしており、
そのために何百人ものスタッフをかかえている。
いわば、池田氏の巨大な目であり耳なのだ」(P197)


ということは、池田先生がお元気ながらああなってしまった(ごにょごにょ)いま、
いちばん現在の創価学会で偉いのは、
第一庶務出身の長谷川重夫理事長になるのかあ。
わたしは池田先生も偉いと思うし、長谷川理事長も偉いと思う。
仏敵の矢野絢也なんか見かけてもそっぽを向くが、
長谷川理事長にお逢いする機会が万が一にもあったら土下座したい。
いや、元ヤクザが書いた創価学会の暴露本「憚りながら」が出た背景には、
矢野絢也さんがいるような気がしてならないので(怨恨パワー)、
やはり矢野氏にも敬意を表しておきたい。権力(金)がある人は偉いのである。

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