「貴婦人故郷に帰る」

2005/10/24(月) 13:19:49

「貴婦人故郷に帰る」
(デュレンマット/岩淵達治訳筑摩世界文学大系85「現代劇集」)絶版


→戯曲。大富豪の貴婦人が故郷に帰る。
彼女は年老いてもうおばあさんという年齢。
かつては繁栄を極めた故郷もいまはさびれた町になっている。
この老婆が、かの地で、復讐をする。
だれに? むかし貧乏な娘時代にじぶんを妊娠させておきながら、
冷酷に捨てた元恋人にである
言ってみれば、それだけの話である。テーマは「正義」。

老婆は町の住民に布告する。
正義のためにあの元恋人を殺してくれたら、
この貧しい町とその住民に多額の寄付をしよう。そう申し出るのである。
逡巡の挙句、町民たちは総意により「正義のために」その男を殺す。
劇全体が絶対的な「正義」に対する批評となっている。

が、そんなテーマなど考えなくてもこの劇は楽しい。
思ったのは、劇は筋がすべてではないということ。
筋をどう見せるかが重要なのだと気づかされた。
つまりいかにしてシンプルな物語を劇的にするか。その重要性である。
この戯曲は場のつなぎがとにかくうまいのだ。

(追記)考えてみればシェイクスピアもそう。
シェイクスピア劇。物語は他の本からもらってきたものが大部分。
シェイクスピアの才能とは、

物語を劇的に再構成する ところにあったのである。

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