「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか」

「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか」(島田裕巳/幻冬舎新書)

→いままで著者のことを学会ウォッチャー程度にしか思っていなかったけれど、
本書を読んでよく勉強しているライターさんだとそうとうに見直した。
そんなことも知らなかったのかとバカにされそうだが、この本で知ったことは多い。
南都六宗とかよくわからなかったけれど、とてもわかりやすく説明されていた。
とはいえ、こちらの知識の積み重ねも理解に拍車をかけたのだろうけれど。
南都六宗といえば、華厳宗、三論宗、法相宗、倶舎宗、成実宗、律宗。
このうち偉いのは大乗仏教系の法相宗、三論宗、華厳宗で
倶舎宗、成実宗は子分みたいなものなんだ。
律宗は大乗仏教にもいちおう戒律はあるから別格扱い。
華厳宗(華厳経の世界。壮大な宇宙論。のちに明恵を輩出)
三論宗(中観思想。空の思想。龍樹の系統。子分が成実宗)
法相宗(唯識思想。世親の系統。子分が倶舎宗)
信徒のいない南都六宗の寺院は戦後の修学旅行ブームで経済的に助かったそうだ。

本書で知ったけれど、最澄の弟子の円仁って偉かったんだなあ。
10年も中国で修行しているし、そのあいだに仏教排斥運動があって
一度還俗したりいろいろ苦労したらしい。
ひょっとしたら円仁のほうが最澄よりも偉いんじゃないかしら。
まあ、ちゃんとのちに天台座主として出世しているから報われた人生だったろうけれど。
念仏をはじめて日本に輸入したのは円仁だったんだ。すっかり忘れていたや。
それから念仏を考え出したやつって、日蓮大聖人さまも大好きな智顗(チギ)だったのか。
じゃあ、本当に浄土教も日蓮宗も根っこは一緒で天台智顗(チギ)になるのか。

「……円仁は、唐にいたあいだに、「円教」と呼ばれる『法華経』の教えと
密教の教えの価値が同一であることを確認するとともに、
五台山で実践されていた密教の行としての念仏を日本でもたらした」(P65)


「念仏は、天台座主ともなる円仁が唐から伝えたもので、
それは中国天台宗を開いた天台大師智顗(チギ)に遡る。
智顗(チギ)は、「常行三昧」と呼ばれる行を開拓するが、それは、
常行堂と呼ばれる建物に安置された阿弥陀仏の周囲を90日間歩き続けながら
念仏を唱える過酷な行であった。
そこから昼夜を問わずにひたすら念仏を唱え続ける
「不断念仏」という行が生まれた」(P103)


常行三昧といえば親鸞がひたすら比叡山でやっていたことでも知られている。
親鸞についてもおもしろい知識を得た。

「親鸞については、同時代の歴史的な資料が欠けていて、
その存在に言及したものがないため、明治時代には、
歴史学者によって「親鸞非実在論」さえ唱えられていた。
こうした議論が完全に否定されたのは、大正10(1921)年に、
西本願寺の宝物庫から、「恵信尼消息」という10通の書状が発見されてからである」(P122)


しかし、それが偽書かもしれないわけじゃないか。
最近、創価学会の暴露本ばかり読んでいるせいか、すべてを疑う癖がついている。
真実というのは、最後までばれなかった嘘ともいえるわけで。
また人を楽しませるものが真実ということもできる。
人はそれが真実だと思いたいことを真実だと思うものである。
だから、わたしはお題目を唱えれば願いがかなうというのも真実だと思っている。
創価学会が好きな「一念三千」も同様に真実であるとみなしている。
ところが、あの「一念三千」は智顗(チギ)の思想ではなく、弟子の思想だったのか。

「題目に『法華経』のエッセンスが込められているという日蓮の主張を正当化する
上で大きな役割を果たしたのが「一念三千」の教えだった。
「一念三千」ということばは『法華経』自体には出てこない。
そのことばを使ったのは智顗(チギ)である。
ただし、『摩訶止観』という著作のなかで一度だけだった。
ところが、中国天台宗の第六祖にあたる湛然(たんねん/妙楽大師)が、
一念三千こそが智顗(チギ)の究極の教えであるという立場をとるようになる。
日蓮はこの湛然に従って一念三千こそが『法華経』の
根本的な教えであるという立場をとった。
一念三千とは、煩悩にまみれた個人のこころのなかに世界のすべてが備わっており、
そのなかには仏界も含まれるとする考え方である。
日蓮は、これにもとづいて、唱題さえ実践すれば成仏が実現できると解釈した」(P191)


創価学会の教学書などよりよほどわかりやすい一念三千の説明である。
ただし、著者はこの一念三千と久遠実成を日蓮独自の思想で
他の仏教者は認めていないと書いているが(P192)、これは間違い。
親鸞も和讃で久遠実成という言葉を使っている()。
まあ、この親鸞の和讃が偽書かもしれないわけだし、ミスとはいえ凡ミスのたぐい。
親鸞はたぶん法華経で説かれる久遠実成の仏と阿弥陀仏を同一視していたと思う。

この薄い本からは教えられるところが多かった。
空海が中国留学したとき大金を持っていたという資料があることも本書で知った。
明恵が法然批判をしているのは知っていたが、「悪魔の使い」とまでいっていたとは。
道元の曹洞宗はいまでも暴力がすごいらしい。
かつての日本軍の指揮系統は曹洞宗の暴力支配を参考にしたとか。
葬式仏教の由来は、道元が決めた「おれルール」にあるらしい。
僧侶の葬式はこうしろと暴力指導者の道元が決めたルールが
在俗のものへの葬儀にも活用されるようになったとのこと。
曹洞宗の僧侶は暴力指導で鍛えられているから葬式をやっても威厳があるのだろう。
大悪人、蓮如の子孫であられる大谷家の権力はすごいとのこと。
それで改革グループが西本願寺派をつくったそうだ。
近松門左衛門って日蓮宗だったんだなあ。
作品を読むと南無阿弥陀仏ばかり出てくるからてっきり浄土教系かと思ったら。
まあ、生家の宗教と作品はあまり関係ないのかもしれない。
晩年は親鸞に惹かれていた井上靖も日蓮宗だったとは驚いた。
日顕宗(日蓮正宗)って信徒が39万人しかいないんだ。
対して創価学会は1750万人か。
学会が日顕宗を攻撃するのはいじめを通り越した、なんというかあれだなあれ。
残酷ショーのレベル。

COMMENT

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08/02 10:25
. アホなものに凝るな
カスの金集めや
殺せ








 

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