死後の世界

今日から派遣で行っている仕事先は、
わたしが1年半勤めた職場の目と鼻の先というくらい近所である。
お菓子でも持参してあいさつしに行きたくなるくらいだ。
しかし、向こうがご迷惑だろうから、さすがに厚顔なわたしでもできない。
毒が入っているんじゃないの? とだれにも手をつけてもらえない可能性も大だし。
職場を去ったら、
会社の裏事情や悪口を書かれると恐れていた人が大勢いたのではないか?
実際には、まったくしていないでしょ? 
そうそう、だからそうで、わたしは本当にあのバイトが好きだったのである。
とはいえ、辞めたことにも悔いはなく、そういう時期が来たのだと思うだけだった。
あそこの会社のマネージャーを頂点とする、みんながみんな大好きだったし。
これでひとつの真実がわかると言えなくもないわけだ。
自分が好きでも他人から嫌われることがあるという――。

いまの派遣先は20時からの夜勤。
まったく本当に19時ごろ「お世話になりました」
と菓子折りでも持ってあいさつに行きたいくらいだ。
最後の日に後悔したのは、休憩室でアッキーとヨッシーにバイナラを言えなかったこと。
なんだか気恥ずかしくて、とっても、とっても。
19時に休憩室に行けば、またふたりと逢えるだろう。
ほかにも再会したい人が大勢いるので困る。巨匠もカリヤンも大好きだ。
しかし、逢わないところに人生の妙味があるのかもしれない。
自分が死んだ(消えた)あとの世界は、むしろ知らないほうがいい。
どうせわたしなぞがいなくなったところで、だれもなんとも思っていないというのが現実。

これは人生でもたぶん同様でだれが死のうが、社会は無関係にまわっていく。
この人だけはいなければならなかったという人など、
もしかしたらいないのかもしれない。
わたしはテレビライターの山田太一さんの「死後の世界」を見たいと長らく思ってきたが、
いまではあんがい当方のほうが早死にするのではないかと平均寿命を疑っている。
わたしが宮本輝先生や池田大作先生の「死後の世界」を見ることはないだろう。
「死後の世界」は見(ら)れないところがいいのかもしれない。
「死後の世界」に再登場したら幽霊あつかいされ怖がられてしまうではないか。
「死後の世界」=「辞職後の会社」など、むしろ知らないほうがいい。
でもさ、けどさ、好きな人が男女ふくめて数十人いたからいろいろ考えてしまう。

ひとつの真理。
自分がいくら他人を好きになろうとも、他人は自分を好きにはならない。
あの人も、あの人も、あの人も、わたしは大好きだった。
今日派遣で行った職場で好きになった男女もいるが、
あの人たちはわたしなぞに関心がないことを深々と知っている。
短期バイトなので金曜日にはサヨウナラだ。しかし、今日はいろいろアリガトウ。
明日からしばらくお世話になります。ふつうの人たちを舐めてはいけないと思う。
みんないろいろかかえて一生懸命に生きているんだろうけれど(それは本当かな?)、
どうしてかふつうの人をあざ笑いたくなるような、
まったく意地悪で腐ったというほかない不遜な根性が当方にはある。

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