卒業の日

以下に書くことは極めて個人的な私信ですから、
ご興味のない方は無視なさってください。
さて、本日とうとういまのバイト先を辞めることになった。
昨日まで今日という日が来ることをどこかで信じられなかった。
わたしは百人以上のパート仲間や社員の顔と名前が一致しているし、
それぞれに深い思い入れがある。
今日を境にあのじつに味のある人たちとの縁が切れ、
もう一生会えなくなってしまうのだと思うと、人生の神秘すら感じるし、
なにやら大きなものに畏怖さえおぼえる。
パート仲間は埼玉県在住が多く、こちらは東京だからまずもう一生会わないだろう。
会社を辞める理由はとくにない。いうなれば、自然の流れのようなものか。
会社もこちらもお互いがそろそろ終わりでいいのではと意見の一致を見た。
公式言語でいえば「契約期間満了により」である。

がらりと文章のテンポをかえて本音に近いことを書く。
ちとばかしアクロバティックなことをやりすぎたと思っている。
去年の5月にこの会社に入ってからもブログを続けていた。
まさか会社の人はだれひとりとしてこんなブログを読んでいないと思っていた。
去年の10月下旬、当時社員だった東方無敗さんが
ブログを読んでいることをもらしてしまったのである。
そのときの感想は、世界がぐらぐら揺れているとでも言おうか。
やべえ、ばれていたのか、どうしようと叫び出したくなった。
なぜばれたんだろうという疑問がある。やはり本名ブログをやっているせいか。
12月にはサブマネージャーがおかしくなった。
あの日のサブマネの動揺ぶりは忘れられない。
なにこいつ、裏ではこんなことを考えていたのか、おい、おい、おまえはなんだ?
ある意味でサブマネの世界観が崩壊したときかもしれない。
わたしはいかにもまじめそうな顔をしていて、
長期休暇を取るときは「老親の介護のため」とか書いていたパートだったから。
サブマネがどんどん幼児化? 善人化していくのは見ていておもしろかった。
上司ならばパートを厳しく監督しなければならないのだが、
サブマネはやたらパート思いのいい上司になってしまったのである。
2月に本社の上のほうの人が来て、サブマネは人格(ペルソナ)を取り戻そうとしていた。
その矢先、いきなり他所で新設された倉庫のマネージャーとして赴任していった。

目を見たらわかるのである。
一瞬の視線の交差で、その人がわたしのブログを読んだかどうかがわかる。
この人も読んだのか、あの人もか、と怖いような嬉しいような気持だった。
もちろん、職場でブログの話はいっさいしない。
わたしは職場の人に読まれていないと信じきっているふりをして、
パート仲間や社員もいちおっさんパートのブログなど読んでいないというふりをする。
いわば、秘密の共有である。
このため、職場では1年半いつもわたしはひとりぼっちだったが、
心では通じているといったような安心感(誤解?)がなかったと言ったら嘘になろう。
でも、それは怖いことだろう。
ときにはだれかの悪口に近いことを書いて、読んでいるかわからないが、
その人と職場で顔を合わすのだから。
こんなことをやってもいいのだろうかという思いはつねにあったが、
これはおもしろいという悪魔的な好奇心もまたあったことは認める。

あるときから、怖がられるようになったような気がする。
職場のみんながみんなブログをお読みくださっているわけではないのだとは思う。
一部の人が熟読して、それを口コミのうわさで広めていたという可能性もある。
とにかく「こいつ、やべえよ」という共通認識ができてしまったのではないかと思われる。
なかにはわたしのことを殴りたいほど嫌いなものもいたことだろう。
少数ながらファンのような方もいることを肌感覚で察知していた。
会社であったことを実名でブログに書いていいのかという問題がある。
これは前例が少ないというか、そんなアクロバティックなことをやる人はまずいない。
わたしはまさか善行だとは思っていなかったが、
これで少しは職場がおもしろくなるのだから、まあ許して、という気分だった。
毎日がおんなじことの繰り返しになるよりは、
少し変化のようなものがあったほうがいいでしょう。
そのうえ、わたしは自分勝手なところがあり、きっと同僚から悪口を言われていたから、
だったら悪役としてパート連帯のために協力しているではないかという、
ひねくれた役割意識もあった。

ブログを更新してからバイトに行くでしょう?
職場の雰囲気で反応のようなものが確かめられるのである。
こういうことを書いたら盛り上がるのかということも勉強した。
抒情的なことを書いたら職場が湿っぽくなることもあり、ふむふむ、そうかと。
これは辞職問題を話したときマネージャーさんにも申し上げたけれど、
わたしはいまの職場のみなさんに物書きとして育ててもらっているという感触があった。
マネージャーとしては、おいおい、そんな目的で働くやつがいるのか、
と唖然とした気分になったことだと思う。
それでも9月いっぱい働かせてくれたから、マネージャーさんにはとても感謝している。
9月は「想い出づくり」月間として、いろいろな人に心のなかで「さようなら」を言った。
まあ、マネージャーの好意ではあるのだが、解雇1ヶ月前の通告は義務なのだが。

今日でこのバイト先とお別れである。
名前と顔を知り、ときには雑談を交わしたパート仲間たちと金輪際会うことはない。
今日を境に百人以上の人との縁が一挙に切れてしまう。
あの人ともあの人とも話したかったけれども、結局かなわずに終わった。
もっとも話すといっても、なにを話せばいいのかわからないのだけれど。
ぜんぜん怖い人ではないのに、わたしのことを怖がっている人も少なくない。
ひとつこれだけは伝えたいというのは、いまの職場で働くことのできた1年半は、
わたしの人生のなかでもっともおもしろく楽しい時期だったということだ。
まさかわが人生でこれほどおもしろい体験を1年半も送れるとは思わなかった。
この職場で働きながらいろいろなことを考え、本を読み、感想を書き、また働いた。
この繰り返しのなかで学んだものは、
大学4年間で学習したものをはるかに凌駕(りょうが)するだろう。
大学4年間よりもいまの職場の1年半で学んだことの方がはるかに実りがあった。
収支的にはあきらかにマイナスだが、授業料を払ったと思えば納得がいく。

このわずか1年半でもさまざまな変化が見られた。
わたしのせいかはわからないが、辞めていった人たちも大勢いた。
まさか事務をやっていた若い社員さんが辞めたのは、
わがブログの影響ではないと思うが。
わたしはこの1年半いまの職場で働くことによって大きく考え方が変わった。
ひとりが変わればみんなが変わるのである。
あの人も変わった、あの人も変わった、と気づくことが多々あった。
わたしのブログは非常に影響力が強く、そして毒のある有害ブログなのだろう。
こんなものを定期的に閲覧していて、
なまの書き手を見ていたら精神がおかしくなっても無理はない。
最近おすがたを見ないが、古株男性パートにWさんがいる。
Wさんを最後に見たのは入庫場だが、ハンドのうえにスケボーのように乗って、
「わーい♪」とか遊んでいたぞ。
あれはたぶんわがブログの毒が脳にまわったのだと思う。
このブログは危険なウイルスのようなものだから(蔓延する!)、
書き手を1年半も守ってくれた寛大な社員さんたちには心から感謝したい。

つねにひとりぼっちであったが、あれはもうどうしようもないのである。
まさかブログの話をするわけにはいかないし、
そしてだれがブログを読んでいるか正確にはわからない。
ブログの存在を知った人は、わたしを怖がってしまうだろう。
こうなるともう孤独になるしかないのである。
もとからわたしの社交性、コミュニケーション能力が低いこともあるだろうが。
笑い話だけど、休憩室とかわたしがいるから、みんなぜんぜん来なくなった。
19時からの休憩室もたまにわたしの存在のせいでお通夜のような雰囲気になる。
おまえ、なんでそんなことをするんだよって聞かれても、それは業(ごう)のようなもので。

パート仲間も社員も好きでたまらなく、
今日で一生会えなくなるというのがいまだに信じられない。
男の方のI崎さんが、わたしのブログの熱心なファンなんでしょう?
あの人も味があっておもしろいよなあ。みんな独特の味があっておもしろいのである。
こんなおもしろい場所が近所にあるなんてまったく驚いた。
辞めたくないとか、そういう気持はない。
たしかに辞める「とき」が来たと思うし、
そういう人生の「とき」をたいせつにするのがわたしの生き方だ。
まあ、善か悪かという単純な二分法を使えば、わたしはいまの職場で悪だったと思う。
わたしの影響かはわからないが、いま社内の風紀が乱れ切っているような気もする。
ある先輩パートは「労働サークル」になっていると言っていたが、うまいことを。
去るものとして格好いいことを言わせてもらえれば、
悪いのはぜんぶ土屋のせいにしてしまい、これを機にクリーン化してはどうか。
あれも土屋が悪い、これも土屋のせいだ、そういうふうにしてくれてぜんぜん構わない。
むしろ、そうしてお役に立てるのが嬉しいというか。
中国人女性のSさんが発明して、
わたしが完成させた本ぶん投げピッキングは果たして継承されるのかどうか。
ネパール人女性や女子高生某に伝授したつもりだが。
「本は商品なんだから投げるな」とマネージャーさんには正論を言ってほしい。

この1年半を振り返ってみると、おもしろかったという記憶しかない。
人生最高の「想い出づくり」ができたといってもよい。
どうしてか将来、この1年半の体験が役に立つような気持もしている。
本日わたしは百人以上との人間関係を失う。
しかし、「失う=得る」だから、きっとあれだけ豊かな人間関係を
失うこともマイナスばかりではないのだろう。
だれともプライベートで会えなかったのは心残りだが、会社とはそういうものだろう。
それぞれの人生来歴を聞くだけでこちらはおもしろいのだが。
まさかないでしょうが、いまの職場で、
わたしにプライベートで会いたいという人がいらしたらメールをください。
社員の東方無敗さんが会いたがっていたので楽しみにしていたのだが、
最後の最後で怖くなったのか逃げてしまった。
人間ってそんなものだから、ことさら怒りのようなものは感じていない。
もう会社とは関係ないのだからブログのコメント欄にあれこれ書かれるのは迷惑だが。

わたしは絶対に9月29日は来ないと信じていたが、こうして来てしまうのか。
明日はわたしの目のまえで飛び降り自殺をした母の誕生日なので今年初の墓参り。
10月からの予定は真っ白である。9月で人生終わりと思っていたからなあ。
今日は最後の日だから5ラインの終りまでやりたい。8時半くらいに終わりそうだけど。
社員さんやパート仲間それぞれに「さようなら」や「ありがとう」を言いたいけれど、
あまりにも人数が多すぎるし、そういう湿っぽい最後になるのはいやだから、
このブログ記事で代用する。
なんかすごいんだよ。腫物(はれもの)を扱うような感じになっていて。
最後は制服をクリーニングに出して返すのが決まりらしいのだけれど、
わたしは腫物だからマネージャーの机に名札とロッカーキーと一緒に置いとけって。
腫物というのは被害妄想で、ありがたくも特別扱いしてもらっているとも言えよう。
みんな、1年半、ありがとうね。最高に楽しかったよ。バイバイ。

COMMENT

岳陽 URL @
09/30 20:35
. ご苦労様でした。
旅行とかには行かないんですか?前みたいに。
昔のブログも面白かったですよ。
どこか生活費の安い所に滞在して小説書けばいいじゃないですか、岡崎祥久の「秒速10センチの越冬」みたいな。
でも、岡崎祥久は就職経験ないみたいですね。
土屋さんのほうが面白い小説かけるんじゃないですか?
カーバ URL @
09/30 20:38
. 職場最後の日か  感動!
絵に描いたような自己陶酔、美化、読んでてこっちが恥ずかしくなるよねェ。
私、この人のこと文字を知ってる変態と思ってたけどちょっと違ったみたい。
あなたのブログ見ると、自分のことしかないのよね。
そこに他者は不在。だから無敵そうなチビタ作文になっちゃうのね。
そういうのってね、変態ではなく、典型的なガイキチなんだよね。
自己評価の天文学的高さ。全ては自分の強い影響力の下で動いてるらしいしね。
自分だけ。
百何人ものパートさんの姓名を記憶してるって自慢げだけど、そういうの気違いじみてるって言うんだよね~
無駄な脳。
会社との合意で辞めるって言ってるけど、体よく排除っていうか駆除されたとしか思えない。
ガイキチで変態、そのうえ社員とかマネージャーとか、はては偉そうなパートへの強烈な嫉妬。
セコイガイキチ、それがあなたの正体。
自分ではわからないと思うけどね。
それから、殺してしまったお母さんのことをいつまでも売り物にしてんじゃないの!
Yonda? URL @
10/06 20:43
岳陽さんへ. 

> 旅行とかには行かないんですか?前みたいに。

あれは実家でしたから。
いまはもう頼るところもない独居生活なので、
家賃を考えると、とてもとても。
すべてを捨てて世界放浪に出たい気持はありますけれど、
たくさんの本が邪魔をするというか、
もっとかんたんに申し上げれば「めんどくさっ」ということに。
疑似旅行体験は職場でもできますしね。
先月で辞めた職場は国籍多様で、
毎日が異文化体験しているようでとても楽しかったです。

小説は書きたくなるまで待つこと。
書いてもだれにも評価されないのが99%。
中年のおっさんになると、そういうことがわかってきます。
いままでお世話になりました。さようなら。
Yonda? URL @
10/06 20:45
カーバさんへ. 

もうむかしの話はどうでもいいじゃないですか。
あなたがだれだかわかっていますが、
そんなことはいまの自分にとってはどうでもいいこと。
みなさんお元気で。
1年半ありがとうございました。さようなら。
岳陽 URL @
10/07 19:11
. いえいえ。
私はシナセンで、講師からちょうどやめた土屋さんの愚痴を聞かされた受講生でして、そっからこのブログを知った口です。
Yonda? URL @
10/08 20:32
岳陽さんへ. 

ちょうどコメント欄がぐちゃぐちゃしているときで、
だれがだれだか……。
後藤さんとかわたしより長生きしそうで怖い。
シナセン URL @
10/10 17:28
. あらあら、シナセンの当時と同じような文面ですねえ。

>あるときから、怖がられるようになったような気がする。

>あの日のサブマネの動揺ぶりは忘れられない。

>マネージャーとしては、おいおい、そんな目的で働くやつがいるのか、
と唖然とした気分になったことだと思う。

こうやって自分が周囲を威圧してるんだ、と必死に思い込もうとしてるわけですね。
いわば人それぞれの真理というものですか。
そろそろ自分のみじめな人生を誤魔化すために使っている文才を表現の道に振り向けてみては?
門戸は開いてますよ!
Yonda? URL @
10/10 21:24
シナセンさんへ. 

もう終わりにしましょうよ。
御意にそむきましょうが、
今後貴殿からのコメントは拒否・削除いたします。
ご不満がございましたら、
ご本名を明記の上、メールでお伝えください。
カーバ URL @
10/11 11:15
. 毎回毎回、その場その場から逃亡して生き延びながら今日まで誤魔化してきたんだね。ガイキチ








 

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