「週末アジアでちょっと幸せ」

「週末アジアでちょっと幸せ」(下川裕治・ 中田浩資/朝日文庫)

→ネパールに行って1ヶ月くらいぼんやりしたいなあ。
ルンビニーに3日いたことはあるけれど、カトマンズやポカラは行ったことがない。
ネパール人はインド人ほどきつくないってよく聞くし、
ぼんやりするのに飽きたらネパールのタマン族について調べてみたい。
ネパールに行きたいけれど、そんなことは無理なので、代わりに旅行記を読む。
優秀な旅行ライターの著者が週末短期アジア駆け足旅行をルポするというもの。
台湾の秘湯の温泉に入って「天国」とか書いていたけれど、
あれはウソなんだろうなあ。
仕事で駆け足の旅行をして、目的地の温泉に入ったって、それは仕事なんだから。
著者は若いころに1年かけて世界をまわった、
あの無目的の旅だけがほんものであったと本書で何度も述懐している。

「旅の充足というものは人ぞれぞれなのだろう。
しかし一回、長い旅をしてしまった人は、週末にアジアの大都市へ行き、
名物料理を食べるパッケージツアーのような旅の前で足が竦(すく)む。
それはそれで、国内旅行のような乗りですごせば楽しいだろう。
しかし、週末の旅であっても、
あの体がとろけるような旅の時間に浸(ひた)ることができたら……」(P114)


果たして著者は週末アジアの旅で「とろけるような」身体愉楽を得たのか。
おそらく、スケジュールに追われての、
ただただ仕事としか感じない旅であったことと思う。
しかし、仕事だからあまり「本当のこと」は書けず、
さも満足したような偽りを書かなければならない。
大人の仕事とはそういうものであるから仕方がない。
大人の著者は沖縄の離島で、子どもの書いた立て看板を見て感動する。
ふつうなら「スピードのだしすぎに注意しよう」とか書いてあるあれである。
沖縄の離島では、そうではなかった。
よほど心打たれたのか、この看板の写真が文庫本の扉に使われている。
さてと、なんと書いてあったのか。208ページより。

「遊ぶのは 楽しすぎて たまらない」

遊びではなく仕事で楽しくもない駆け足の週末旅行をしている著者は、
子どもの書いた「遊ぶのは 楽しすぎて たまらない」にドキリとする。
この子どもの感覚を失っていないから、著者の仕事は仕事だが、
どこかに遊びが入った仕事になっており、
下川裕治氏もこの仕事が嫌いかと問われたら、それほどでもないと答えるのではないか。
旅行記を読むのは仮想体験である。あーあ、ぼくもどこかへ飛び立ちたい……。

COMMENT









 

TRACKBACK http://yondance.blog25.fc2.com/tb.php/4251-f1be3858