「どうせ死ぬなら「がん」がいい」

「どうせ死ぬなら「がん」がいい」(中村仁一・近藤誠/宝島社新書)

→日本人のふたりにひとりはガンで死ぬ。だが、ガンにならない方法がひとつだけある。
ガン検診を受けなければガンにはならない。
末期ガンで発見されたら、残りの寿命を楽しめばいい。
なぜなら抗ガン剤を使ったガン治療は死ぬほど苦しいし、寿命も延びないからである。
データはじつのところごまかしがあると近藤医師は指摘する。
患者が医者をかえるなんてよくあることでしょう?
このとき抗ガン剤使用グループは、データに消息不明とカウントする。
しかし、抗ガン剤不使用グループが消息不明になったら、
消息不明ではなく死亡としてデータにカウントするらしい。
このためデータ(医療用語でエビデンスという)のうえでは
抗ガン剤を使用したほうが長生きできるような錯覚を医者も患者も持つにいたる。
長生きできたといっても抗ガン剤の副作用で
ボロボロになりながらではあるが、そこは隠す。
ガン治療を必要としているのはガン患者ではなく、
医療サイドではないかというのが本書の斬新な指摘である。
近藤医師は「本当のこと」を言い放つ。

「実は彼ら[専門医]も[ガンの]外科手術の価値を疑っているんだけど、
単に仕事を失うのがこわいのかもしれません。
「メスを握ってこその外科医、手術がなくなったらなにをすればいいんだ」と。
医者の世界には「自分の治療を生き延びさせたい」
「いま握っている利権、役得を手放したくない」という、
土建業界みたいなところがあります」(P69)


「経済的利益に裏打ちされた偏見が、一番正しにくいと言われています。
コペルニクスやガリレオの地動説も、
教会は教義が崩れるから絶対に認めなかったでしょう。
「抗がん剤は9割いらない」となったら、
世界中の医者の仕事が一気に減りますよ」(P89)


勤行(ごんぎょう)と功徳(現世利益)や仏罰は関係ないと「本当のこと」を言ったら、
創価学会の本部職員や幹部が食い詰めてしまうが、
それとは関係なく人間は「本当のこと」を知ればいいのかという問題もある。
抗ガン剤治療は身体的にはきついのだろうが、医者やナース、家族、
みんなでいっしょに連帯して闘病しているという昂揚感覚は、
あんがいなにも治療をしない孤独な不安感よりもいいのかもしれない。
しかし、また「本当のこと」を書くと、ガン治療を患者に熱心にすすめている医者も、
いざ自分の家族がガンになるとがらりと態度を変えると近藤医師が証言している。
まあ親類や親友に医者がいない一般人はいまのままでいいのではないか。
いまの健康保険制度がつぶれるまでは――。

「病院は手術や抗がん剤治療・放射線治療を、すればするほど利潤があがります。
患者・家族には、主治医の治療方針に従わないと
診察してもらえなくなるなるのではないか、という恐怖がある。
一方でマスコミが「がん難民」などと言って
患者の恐怖心をあおって販売部数を上げようとする。
また患者やその家族は、外科手術、抗がん剤治療、放射線治療を
受けることでがん保険金の支払いを受ける。
そして保険会社にとって、がん保険はドル箱です」(P118)


ああ、そっかあ。民間のガン保険に入っていたら、治療を受けなきゃ損だって思うわ。
なーんかガン保険に入るとガンになる確率が高まるような気がするけれど、
だれか果敢にも調査した人はいないのだろうか?
いままで慶應大学の近藤医師の言葉ばかり採録してきたが、
これでは権威主義のように思われかねないので、
町医者以下の老人ホーム医師の中村先生の名言を紹介させていただく。
これはガンのみならず医療全般、人生全般にいえることだろう。

「エビデンス[データ]があるといったって統計上のことであって、
個人がどうなるかということとは別問題ですよね。
医療は「不確実性」のものですから、結果はやってみてのお楽しみなんですよね。
前にも言ったように、医療は一種の〝賭け”〝命を担保にした博打”とも言える。
人事を尽くすのはいいけれど、最後はやっぱり「天命にお任せ」です」(P169)


けれど、天命にお任せすることができず、
最後の最後になると新興宗教にすがるものもいるのだろう。
創価学会に入って功徳(財務5百万)を積んだらガンくらい治るかもしれないわけだし。
まあ治らなかったら、そこは信心が足りなかったということで。
あんがいガン治療に大金をつぎ込むのって、
新興宗教に高額納金するとのあまり変わらない行動なのかもしれない。
みんな死にたくないんだなあ。
きっとネクストがあるから、そんなに怖がらなくてもいいのにと個人的には思う。

COMMENT

- URL @
09/12 19:58
小谷野敦. なんだいネクストって。オカルトかい。
Yonda? URL @
09/12 22:43
小谷野敦さんへ. 

来世があるって信じているのがオカルトなら、そうであります。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。








 

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