働くっておもしろいよなあ。いわゆる底辺で働くといろいろ気づくことがある。
底辺職場ではみんな新人に仕事を教えない。
なぜなら仕事を教えたら、そのポストを奪われてしまうからである。
いまのバイト先のメインはライン(流れ作業)であり、ラインには4と5がある。
4ライン、5ラインと呼ばれている。
4は雑誌がメイン、5は書籍がメイン。コミックは4も5もある。
わたしは4ラインの作業を教えてもらっていない。
入った当初に一度入らされただけで、あとはずっと5ライン。
けっこう好きな古株越南若年女性から、
あたしは4も5もできるからと自慢されたことがある。
いやあ、それは「できる」んじゃなくて、
教えてもらったかどうかの違いではないかと苦笑したけれどなあ。
4ラインなんかぜんぜん偉くもなんともなく、
その日に雇われただけの派遣さんでさえやっている仕事なのである。
日本語がわからない外国人でもできる簡単なお仕事。
しかし、わたしは教えてもらっていないからやりかたを知らない。
作業員に仕事を教えないとどのようなメリットがあるのか。
もうあなたの仕事は終わりだから帰れと言えるのである。
4ラインが多くて5ラインが少ない日はわたしはまったく稼げないで早く帰らされる。
反対に5ラインが多くて4ラインが少ない日というのがある。
こういうとき、4ライン組(古株連中)が5ラインに来て、
われわれ5ライン集団が入庫に行かされたり、早く帰されたりするのがムカつく。
すんげえムカつくので金曜日に好きな若い社員さんにほのめかした。
4ラインに行きたいとは言っていない。
基本、わたしは本が好きだからいまの職場で趣味のような感じで働いている。
いまのところ、いまのところ、いまだけ、いまだけ。
芸能人とか好きではないから、雑誌に興味はない。
いまのまま5ライン専従でいいのである。
しかし、4ライン専従のものは仕事が少ないときに5ラインに来ないで早く帰ってほしい。
わたしは5ラインが少ないときは運が悪かったとあきらめ早く帰っている。
仲間意識というものがある。
わたしは5ライン組のYさん、Aさん、Kさん、Hさんが好きだ。
勝手に仲間意識を持っている。
わたしが4ラインに行ったら、それは仲間に対する裏切りのような気がしている。
5ライン組は5ラインが少ないときは早く帰されるので連帯感がある。
5ラインがそうだから、おそらく4ラインもだれでも可能な底辺仕事だろう。
しかし、やはり4ライン組は5ラインの作法を知らないと思うことがある。
そういう連中にかぎって、古株ぶるのが困ったものである。
4が多いときは4に振られ、5が多いときは5に振られる、
上から気に入られている古株パート先輩を好きになれない。ずるいって思う。
なにかしちゃうかもしれないし、ここだけの話、
休憩室でなにか小さなことをしたこともなくはない。
たかが850円のために、われながら意地汚いねえ、うふっ。
本当にだれも仕事を教えてくれない。
繰り返すが、仕事を教えたらそのポストを新人に奪われかねないからである。
わたしが5ラインの仕事を奪っちゃったかなと思う大好きな先輩バイトさんもおられる。
さんざん質問して5ラインのことを教わった先輩さんだ。
いままで書いたことの正反対を書くが、仕事を教わらないといい面もある。
検品という、いかにも面倒くさそうな仕事があるけれど、
わたしは教わっていないので振られない。
検品が嫌いなのに教わってしまったがために振られている女性パートを知っている。
あこがれの(本当?)4ラインも知らないがために救われているのかもしれない。
教えてもらったら「行け」と言われたら断れないでしょう。
わたしは本が好きだからやはり5ラインが好きなのである。
つねに本と触れ合っていたい。
これまた大好きな先輩バイトのNさんに4ラインを教えてくださいとトイレで頼んだ。
だが、そもそもあなたは4ラインに振られないでしょうと言われた。
はい、と答えた。唐突に梱包は親指が痛いと言われ、恐縮低頭する。
いまの職場でわたしがいちばん尊敬しているのが5ライン梱包組だ。
若い人でもあれをできる人には敬意を持って、できるだけ丁寧にあいさつしている。
そのくらいしかできないからだが。
そのNさんから、あなたは5ラインでピッキングをしていればいいんです、
みたいなことを悪意なく言われた。まったくそうだと思う。
あいつは5ラインのこのくらいのところに振ればいいと決まっているから、
上も迷わなくて済むようなところがあるのかもしれない。
1年以上も5ライン専従だとわかることもなくはない。
だって5ライン(本を積む=本の山をつくる)ばかりやっているわけよ。
たぶん社員よりも5ラインの小さなことに詳しい。
まずわかるのは本の積みかたのうまいへた。
新入りさんなのに、この人はわかっているなあと感動することがたまにある。
古株なのにへただなあ、とびっくりすることも。
わたし自身はその日の気分や分量によって仕事の丁寧さは変わります(850円だもの)。
それから深々と気づいたことは、5ラインなんてだれにでもできる仕事だということ。
わたしがいちばん感激したのは、最近は見ないが女子高生のチサトちゃんね。
あの子うまいし、多いところでも不満そうな顔をせず、わたしの10倍偉い。
目が生き生きしていて、いい子だなあ。
にもかかわらず、高校生だからわたしより時給は50円安い800円なのだから不公平。
でも、世の中そんなもんだから立派なおとなになってくださいと5ラインのおじさんは思う。
5ラインって要は「本の山」をつくっているだけだからね。
いままでブログをやってきたことの延長戦上になくもないと言えるわけである。
きっと来月もいまの職場で「本の山」をつくっているんだろうなあ。
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