「爪と目」

「爪と目」(藤野可織/新潮社)

→芥川賞受賞作。
被害妄想だろうが、いま肩も腰も痛い低賃金ブルーカラーはバカヤロウとか思っちゃう。
あのさ、お洒落なオフィスで働いているホワイトカラーならこの小説のよさがわかるの?
いまなにかをぶち壊したいような怒りが体内に鬱積している。
勤めている底辺職場にも似たような男性が複数見受けられる。
昨日はわずかな賃金の公平性を求めて、
阿修羅のごとき憤怒の相で社員に詰め寄っているババアふたりを見た。
ふたりでつるんでひとりを囲めば勝てると思っている意地汚いババア根性にケッと思った。
おれんなかには負の感情が渦を巻いていて、いつかなにかしてしまいそうで怖い。
表現というものは、そういうマイナスに適切な言葉を与え純化する面があるのではないか。
喜怒哀楽を固有の言葉で表現し、世界の新しい形を提示するのが小説の一面だと思う。
こういう考え方が「正しい」のかどうかはわからないが、
もしそうだとしたらこの小説は当方の感情をなにも刺激せず、
ひたすらやりきれないという空疎な思いを倍増しにしてくれたくらいだ。
それでもまったく悪い小説というものはなく、どこかしらいいところもあるものだ。
偽善的に人のよさをあえて見るように、この小説のよかったところをあげれば――。
へええ、女ってそういうふうに女を見ているのかって思ったところ。

「あなたには、男性が自分に向けるほんのほのかな性的関心も、
鋭敏に感知する才能があった。
しかもそれを、取りこぼさず拾い集める才能もあった」(P17)


女って若いころからこんなことばかり考えているから根性が悪くなるのだろう。
若い女は自分を男のエサだと自覚しているようだが、
その自覚を老いてもなお維持し錯覚だと自己認識を修正できないのが
女の愚かしさであり、人によってはかわいさになるのだろう。
なにを言いたいのかわからないって?
なにを言いたいのかわからない小説の真似を感想文でしたまでのこと。
ホワイトカラーの女ならこの小説のよさがわかるのかもしれない。

COMMENT









 

TRACKBACK http://yondance.blog25.fc2.com/tb.php/4152-6bc9d35d