「プロ相場師の思考術」

「プロ相場師の思考術 「運」と「ツキ」の考え方」(高田智也/PHP新書)

→相当な自信家らしいプロ相場師の著者は他の相場師に批判的である。
世には相場に関する本はたくさんあるが、
あれらの著者は実際に相場で儲けているわけではないと喝破する。
ああいう手合いは本の印税で儲けているだけなのだという。
まあ、そうだよねとは思う。「金の儲け方」の本の大半はインチキ。
だって、そんなものがわかっているのなら自分で儲ければいいだけの話なのだから。
そんなおいしい情報を赤の他人に教えてやる義理はない。
じゃあ、本書の著者はどうなのかって話なのね。
実際に儲けているという具体的証拠は(税金関係の書類とかさ)は未掲載だった。
でもちょこっと本物っぽいところもあるわけだ~な。
まえに書いた本を参考にしてもらっては困ると書いている箇所があるからだ。
あのころといまでは相場のやり方が変わっているからというのがその理由。
今後も変わりうるからこの本に書いてあることも絶対ではないと断っている。
きっといまの(そのときの)「正しい」方法みたいのはあるのだろうけれど、
未来永劫にわたって「正しい」法則のようなものはないのだろう。相場のみならず。
勝ち組のプロ相場師、億万長者(?)のありがたいお言葉を拝聴しようではないか。

「役に立つとか立たないとか、損か得かで学習をしようなんて大間違いです。
知的好奇心がない人が、この世界で成功することは難しいです。(……)
役に立つとか立たないとかは、学習するうえで考える必要はありません。
要領よく学習する必要もありません。なぜなら、これを学習すれば
必ず実になるということは、誰も保証はできないからです」(P72)


当方、べつに相場なんてしたいわけでもないし、元手もございませんけれども。
だいいち、毎日朝から晩までお金のことを考え一喜一憂するなんていやだしね。
優秀な著者はプロスペクト理論を批判していた。
有名なプロスペクト理論とはこういうやつである。
あなたはどちらを選びますか?

A.確実に90万円もらえる
B.100万円もらえるが5%の確率でもらえない。
この場合、プロスペクト理論では人間は損を嫌うからAを選択する人が多くなる。
確率で期待値を考えるとBを選択するほうが合理的である(おそらく)。

A.90万円を払う。
B.100万円を払うが5%の確率で払わなくてもいい。
この場合、プロスペクト理論では人間は得を好むからBを選択するものが多くなる。
確率で期待値を考えるとAを選択するほうが合理的である(おそらく)。

一般的に相場の世界ではどちらの設問でもBを選択するほうが向いているとされる。
こんなのはみんな嘘っぱちだとプロ相場師の著者は言い放つ。
なぜなら当人の持ち金によって選択は変わるではないか。
10億貯金のある人と100万しか貯金のない人では選択が異なってしまう。
それから何回チャンスがあるのかという断り書きがないのもおかしい。
10回くらいチャンスがあるのならたしかに本当に「正しい」合理的選択になるが、
1回きりにおいて確率はどこまで当てにできるかわからない。
著者はもっと適当にしか書いていないのだが、
この問題についてはわたしもむかしから考えていたので、
著者が実際に書いていないことまで補足してわかりやすく書いてみた。
むろん、当方が著者より優秀だとか、そういうことを主張したいわけではない。

電車で片道2時間のところへ行くときに読んだのだが、
騒がしい車中で読むのに適した手ごろな本であった。
電車内のこの人たちもみんなお金のことばかり考えているんだろうなと思いながら。

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