「ハノイ挽歌」

「ハノイ挽歌」(辺見庸/文春文庫)

→ジャーナリスト目線っていうのがあるような気がするなあ。
もっとはっきり左翼目線と言ってしまったほうがいいのかもしれないけれど。
どういうことかというと、つまり虐げられたものは美しい。
インテリではない無知なものはその無知がために輝いている。
恵まれている富裕層はおのれの知識を恥じなければならない。
世の中でもっとも光っているものは肉体労働者が流すひたいの汗である。

――こういう発言をするのは決まって体験労働をしているものなのである。
社会見学気分で底辺を味わっているからそういう優等生発言ができるのだ。
本当に明日のメシが食えるかわからない底辺人種にとっては、
ヒューマニズムも親切も思いやりもおそらくなかろう。
経験から申し上げると、下のほうの人はやさしいというのはひとつの真実だが、
それは無知ゆえとも愚かだからとも言えなくもない現象なのだと思う。
最低時給労働者のなかにもやはり人間のクズとしか呼ぶほかない最低のやつはいる。
戦争で殺された人がみなみな善人というわけではない。
戦争で人を殺した兵士がみなみな悪人というわけではない。

生活のために必死で肉体労働をする人の気持を
わかるジャーナリストはほとんどいないような気がする。
なぜなら彼らには「知」があるからだ。
「知」をもって彼(女)らのことをわかったつもりになり、言葉で人を裁いてしまう。
著者は全共闘世代の、現代日本最高権力者のひとり。
まだご存命らしいからうかうかしたことは言えない。
かつてひたいに汗することなく左翼に惹かれたものが、いまの日本を仕切っている。
べつにひたいに汗して働くことが偉いとはちっとも思わないから、それはそれで構わない。
左翼も右翼もそうだが、自分は絶対に「正しい」と思っている人が怖い。
いまの上のほうの老いた偉人先生がたには「正しい」人たちが多そうだなあ。
彼(女)らは幸福なのだろうから、その恵まれたポジションを壊したいこちらは悪になろう。

べつに自分が「正しい」とは思っていない。
ちょっと「正しい」老人が妬ましいとは思うが、不健康な生活ゆえそのうち死ぬ身ゆえ、
なにもかもどうでもいい。左翼も右翼も、どうでもいい。どうにでもなりやがれ。
知ったこっちゃねえ。くそったれ、バカヤロウ!

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