悪役は負ける

芝居の世界では悪役は最後には負けると決まっているのである。
職場でもサークルでもかならずみなから嫌われている悪役がいるのではないか。
人びとは悪役の噂話や悪口で盛り上がりながら、あいつさえいなくなればと願う。
しかし、現実は悪役がそこにいるからこそ、
退屈な人生でわずかながら劇的な昂揚が得られている。
実際にその悪役がいなくなったらきっと味気ないものだと思う。
あいつを追い出すという目標のために感じた連帯感はもうない。
いざいなくなってしまうと数日も経てば勝利ムードも失われることだろう。
職場やサークルの雰囲気は元に戻り、
みながだらだらとした芝居っ気のない倦怠を感じるようになる。
けれども、だれも口に出しては言えないだろう。
いなくなった悪役が退屈な日常の劇化に大いなる役割を果たしていたことを。
じつのところ悪役というのはありがたい存在なのである。
あいつさえいなければ、ではなく、
あいつがいるおかげで連帯や親近感が生まれるのだから。
悪役(悪口の対象)がいなかったら、あなたとだれかをつなげるものはない。
悪役に感謝しよう、なんてことは口が裂けても言えないが、
悪役を追放したら本当にそこはバラ色の世界が待っているのかどうか、
ちょっと疑問視してみるような視点もあってもいいのかもしれない。
と悪役志願だが、うまく悪役をこなせているかもわからない、プチ悪役が言ってみた。

COMMENT

東方不敗 URL @
02/03 13:06
加藤保憲?. 悪役に徹するのも大変。
Yonda? URL @
02/03 23:24
東方不敗さんへ. 

正義のヒーロー役よりはよほど悪役のほうが居心地よく……。
悪役は一回負けたら消えてよし。
正義の人はえんえんと登場する悪役を倒しつづけなければなりません。
負けるために、消えるために存在しているのが、
わたしのような悪役でしょう。
うまい消え方、負け方を考えるのが悪役の役目であります。








 

TRACKBACK http://yondance.blog25.fc2.com/tb.php/3995-11295dfd