「だまされ上手が生き残る」

「だまされ上手が生き残る 入門!進化心理学 」(石川幹人/光文社新書)

→心理学っていうだけでうさんくさいのに、進化心理学ってなんなんだ、おい!?
久しぶりにトンデモ本を読んだ。
こんなことがいま明治大学で教えられているらしいから日本は平和な国だなあ。
著者の言っていることはよくわからん。
なーんか著者には生物はみな進化の結果として
いまのような形態であるという信仰があるらしい。
生物が変化してきたのは事実だが、進化したかどうかはだれにも証明できないと思うぞ。
著者の信心によると、生物はみなみな果てしない生存競争の結果、
勝者としていまのような外形や内面を保っているとのこと。
しかし、人間は本来、狩猟民族(←そこまでさかのぼるのかよっ)。
優秀な著者にかかったら現代人にも狩猟民族の特徴がありありと見えるらしい。
そして、人間は進化してきたんだなあ、
と著者はひとりご機嫌になっているようでまことうらやましい。
あるいは目をうるうるさせているのかもしれない。ご機嫌でいいっすね、先生!

最新学問の研究結果によると、オスは目立ったほうがメスからもてるらしい。
それさあ、人間を20年もやっていたらだれでもわかる常識ってやつじゃないの?
なんでも人間をふくめて生物のなかには
「互恵的相互関係」を作りながら進化してきたものがいるってさ。
「互恵的相互関係」というと学問っぽいけれど、要は助け合いのこと。
本書の意味不明なトーンに従うならば、だましあいとまで言ってしまっていいのだろう。
たとえばお金。あんなものは紙切れに過ぎないでしょう?
けれども、みんなが価値あるものとだまされてきたから人間は進化してきた。
いま生き残っている生物は人間をふくめみんな「だまされ上手」というのが本書の結論か?
小声で言うと、みんながだまされているのに気づいて、
パッと逆を行ったものこそ大儲けできるのではないかと個人的には思うけれども。
もちろん、いち個人の大儲け(利得)は人間の進化(笑)とも変化とも関係しないがね。

たぶんインチキである進化心理学とやらのキモはこの文章だろう。

「私たちはみな、生物の長い進化の歴史における生き残りです。
祖先が数々の生存競争において一度も負けることなく勝ち抜いてきたからこそ、
ここに存在していると言えましょう。
ですから、私たち個人こじんの遺伝情報には、生き残るのに適切な特徴を形成する、
無数の遺伝子情報がきざみこまれているのです」(P117)


競争とか勝つとか、著者は創価学会みたいな思想をお持ちなんだなあ。
われわれが競争の勝利者だなんて証明できるのならしてみろよと言いたい。
それはひとつの物語に過ぎないのではないか。
たとえば、わたしはこういう物語を持っている。
われわれが太古の時代から(断じて進化(笑)ではなく)
変化(!!!)しながらいまこうして存在しているのはたまたまの偶然。
遺伝子情報なんて一生研究してもさらさら明らかにならないし、
遺伝子研究からわかるのは結局、人間にはなにも「わからない」ということ。
多数派は「だまされ上手」だから生き残っているわけではなく、
いつの時代もだまされやすい人たちが多数派を構成しているってだけ。
こんな研究モドキでメシが食える学者先生が心底からうらやましい。

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