見透かされたぜ

いまだに右ひじがかなり痛いんだなあ。もう2週間も痛みが続いている。
4~5千円かかってもいいから病院に行こうと決めたのは、決して不安からではない。
不幸アピール、悲惨アピールをしたかったのである。
アクセス数なんて雀の涙だから絶対にないとは思うが、
万が一にも会社の人が見ている可能性もある。
あの人はあんなに身体を壊すまで無私の精神で働いているのだと評価してくれないかなあ。
お医者さんからもさぞかし痛いでしょう、かわいそうですね、と手厚く扱ってもらいたいなあ。
そういう悲劇の主人公ぶりたい女々しい根性がケチなわたしを病院に向かわせた。
ところが、行きつけの病院の整形外科は午前中で診療が終わっているんだよね。
ネットで検索してみたらチャリで行けるところにK整形外科というのがあるらしい。
個人病院というやつである。
いちおう土曜日午後もやっているとネットを見たら書いてあるが確認のため電話。
今日やっていることを確認してから――。
「初診で右ひじが痛いんですが、
レントゲンを撮って薬や湿布をもらったらいくらかかりますか?」
おいおい、自分の健康よりも金のほうがたいせつなのかよ、おまえさんは!
受付女性はギョッとした感じで、いま聞いてきます。3~4千円くらいとのこと。
これでかわいそうな自分をアピールできるのならいいかと納得する。
「では、いまからうかがいます」

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「先ほど電話したものですけれど」
受付の女性が若くて背が高くてチョー美人なのでビビる。
へえ、この子があんな子どもっぽい声を出すんだとムフフ。
問診票に住所氏名のみならず勤務先会社名と電話番号まで書かされるのね。
おれ、どこかの会社に勤めていたっけなあ? とりあえずバイト先の名前でも書いてみた。
ネットの評判では混んでいると書かれていたのだが、
終了間際のためかすぐに診察室に呼ばれる。
これがまたすんげえ若い女医さんで美人という言葉しか出てこない美人なのである。
受付女性とどこか似ていたから、これが医院長の趣味なんだろうなと思う。
「どうされましたか?」
こうこうこういう単純労働をしていて、2週間まえくらいから右ひじが痛いんです。
右ひじを触れられて「こうしたら痛いですか」などと丁寧な対応。
若いせいか自信がないみたいでちょっと戸惑っている。
「とりあえずレントゲンを撮ってみましょう」

レントゲン室に入ると、
白衣もつけない老人が入ってきて痛いのはここだろうとピンポイントで指摘。
レントゲン後は70半ば過ぎかと思われる医院長先生が診察してくれる。
「おれは本当は、土曜は第一週しかいないんだ」
かくしゃくとした口の悪い老人でいまでも笑いがとまらない。
「まずな、筋肉の仕組みを理解しないとな」
そういうと腕の筋肉模型を出してきて、こうだからこうなんだと説明してくれる。
買い物などで荷物を持つときはひじを曲げた状態で持て。
それから風呂に入ったときはこういうストレッチをやりな。
で、注射をするか変な腕パットをするかの二者択一だという。
「いくらするんですか、それ(腕パット)?」
おまえさんは金のことしかあたまにないのか。2千円だという。
内心でこれは百円ショップで売っていそうだなと思う。
「高いっすね」
「しょうがねえだろ。業者が決めた値段なんだから」
「注射をするとどのくらい痛みが消えていますか?」
「知らねえよ、そんなもん」
笑える老医者だなあ。

じゃあ、注射をお願いします。ひじに注射をするなんてはじめてだよ、怖いよおん。
「痛いんですか?」
「痛がりなのか。おれなんか自分で自分に注射するぞ。
このくらい(わが右ひじのこと)注射を打てばいい」
同僚の男性医師(?)にむけて。
「おまえもこのまえゴルフで痛めたとき注射打ったよなあ」
で、ひじへの注射は見た目もグロテスクでかなり痛く感じる。
注射後、これで終わりの雰囲気がただよう。
思わず患者の習性で聞いてしまう。
「あのう、痛み止めとか湿布とか出してくれないんでしょうか?」
「おれはこのくらいじゃ、痛み止めや湿布を出したことがない」
「え?(ものすごくほしいオーラを出す)」
「ほしいの?(ものすごくいやそう)」
「できるだけ強い痛み止めがほしいです」
「こんなんで強いのはいらねえよ。カルーナを少しだけ出しておくか」
なんだ、そのいかにも軽そうな痛み止めの名前は!
ああ、そんな弱い痛み止めのために薬代金を払いたくない。
「やっぱりいいです」と断る。
最後に老医師は、
「どうしても痛かったらいつでもいいからこれ(腕パット)を買いに来いよ」
とおっしゃる。

診療後、会計を待っていたら白衣を着ない医院長先生が通りかかって、
受付の美人さんにこんなことを言う。
「こいつ、F(若い美人女医)が診たときはニコニコしていたのに、
おれが診たらブスっとしているんだぜ」
「そんなことないですよ。先生、とても安心感がありました」
で、お会計は予想とは異なり2240円。やっすう。

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けれども、やっぱり痛み止めと湿布はほしいよなあ。
来週の月曜日は持病の通院日なので、まったく専門外の女医さんに頼んでみよう。
この先生はいいかげんなところが大好きで、なんでも薬を出してくれるのである。
薬を出したがらない老医師もいいが、なんでもOKな女医さんもまたいい。
お願いすれば痛み止めと湿布くらい出してくれるんじゃないかなあ。
だってさあ、そういうのがないと不安じゃない。
それからやっぱり2千円払って腕パットを買おうかと思う。
まあ深夜勤2時間くらいの金額だし、いちおういまのところ
書籍ピック職人(←速さや重さの職人ではなく箱入れのうまさの職人)
を目指しているようなところもなくはないので。
そんな職人になってどうすんだって、おまえ。
それにしても今日のあの老医院長先生はおもしろかった。
いろんな医者がいていいんだなあ。いろんな人がいていい。

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