「使える! 経済学の考え方」

「使える! 経済学の考え方 みんなをより幸せにするための論理」(小島寛之/ちくま新書)

→読んでいるあいだはおもしろかったけれども、
いざ自分の言葉で説明しようとしたらできないので、じつはなにも理解していないのだろう。
ほんの少しだけ理解できたおもしろかった部分を紹介する。

・平等について。
子どもが3人いたらケーキを3等分するのが平等である。
しかし、ふたつの平等に分かれるという。
1.親が強制的にケーキを3等分して子どもに渡すという平等。
2.子どもたちが相談して自主的に3等分することになったときの平等。
1と2は結果こそ平等だが、1の場合は納得のいかないものが現われかねない。
2の場合は、それぞれ「選択」に関わっているから平等感が強まる。
いまの日本の税制はどう考えても1だと思う。
累進課税だから金持ほど高額な税金をむしり取られるわけだ。
ならば、どうして高所得者は多額の税金を納めなければならないのか。
その前提としてあるのがベンサムさんのこの意見らしい。

☆「平等な社会」=「最大多数の最大幸福」を実現した社会

よくわからんが、これはピグーさんが数学的に「正しい」ことを論証したとのこと。
しっかし、どうして人間はこんなに不平等なのだろう。
そもそも人間が合理的な選択をしたら幸福になれるのか、という問題があるらしい。
たとえば競馬なんて胴元が25%取るから、やればやるほど損をするわけでしょう。
にもかかわらず競馬にはまる人は後を絶たない。
人間はちっとも合理的な選択をしない。
閑話休題。これは本書に書いてあったことではないが、
ギャンブルで大きく勝ちたかったら1回しかやらないでそこに全財産を賭けること。
ギャンブルはここぞというときに大金を賭けるのが秘訣ね。

どうして人間は不平等なのか。
一般的に人生は幸福に高確率で近づくとされる合理的な選択とそうでない選択がある。
人間は自信のなさや不安のために確率を見誤るのではないか、という考えがある。
一方でこの世のことはなにもわかっていないのだから(過去は未来ではない!)、
人生に合理的かつ高確率な選択などそもそもなく、
あるのは「本当の不確実性」だけだという過激なことをナイトさんが言っているとのこと。
身もふたもないことを言えば、学問的にもどこの家に生まれ落ちるかがいちばん大きい。
金持の子は高学歴になり情報に恵まれ、富裕層になっていく。
貧乏人の子は教育資本も投下されず情報量も少ないため低学歴で底辺の人生を送る。
アメリカの統計で高学歴ほど高所得、低学歴ほど低所得という結果が出ている。
ギンタスとボウルスという人たちが研究した結果だそうだ。

「社会における学歴と所得との現実を統計的に論じたあと、
ギンタスとボウルスの議論は、さらに過激さを増していく。
彼らは再び統計を使って、学校での教科成績がほとんど潜在能力(IQ)とは
無関係であることを発見している。教科成績は、
「学校への帰属意識」、「我慢強さ」、「秩序を重んじる」、「外から動機づけられる」
などの性向と強い相関を持ち、反対に、
「創造的」、「積極的」、「独立心」とは負の相関を持っているのである。
要するに「学校の成績がいい」ということは、
「従順であること」の帰結だというのである。驚くべきことに、さらにそれが
企業における監督者の従業員への評価と高い類似性を持つことも検証した」(P213)


このへんが統計をあつかう経済学の限界のような気がする。
わたしはいちおう高学歴だけれど低所得で、
さらに学校の成績はよかったけれども従順であるとはあまり言えないようなところがある。
経済学はみんなの物語としては都合がいいのだろうが、
あなたやわたしといったそれぞれの人間にはほとんど関係ないのではないか。
正直言うと、ここだけの秘密ね、わたしはみんなの幸福も平等社会もどうでもいい。
わたしとその周辺だけが幸福だったら、あとの人がどうであろうと知ったこっちゃない。
だからほんとみんなの幸福なんて真剣に考えてくれている経済学者の著者には
敬意を表したい。こちらがバカだからよくわからなかったけれど、
きっといい本だと思いますよ。☆5つ。

COMMENT

nanda URL @
12/03 21:26
. >経済学はみんなの物語としては都合がいいのだろうが、
>あなたやわたしといったそれぞれの人間にはほとんど関係ないのではないか。
>正直言うと、ここだけの秘密ね、わたしはみんなの幸福も平等社会もどうでもいい。
>わたしとその周辺だけが幸福だったら、あとの人がどうであろうと知ったこっちゃない。

ですよねぇ。
Yonda? URL @
12/04 02:33
nandaさんへ. 

「みんな」のことを常に考えるようわれわれはすりこまれているのかもしれません。








 

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