心よ開けゴマ

たったひとりの読者がほしいよなあ。
たったひとりでいいから百人以上いるバイト先のパート仲間にこのブログを読んでほしい。
なぜなら、きっとゲラゲラ笑えると思うから。
あのいかにも人生がフィニッシュしたようなおっさんは内心こんなことを考えていたのかと。
きんもいおっさんにも内面のようなものがあるのを発見して、
まだ将来ある若者に腹をかかえてお笑いいただきたいという欲望がある。
実際のこちらの外面を知っている人がこのブログを目にしたら
クスクス笑いがとまらないような気がする。笑ってほしいんですよ。笑え、笑え、笑え。

書籍物流倉庫のバイト先にカリヤという嫌われものがいるのである。
わたしも嫌われているだろうがカリヤよりはぜったいにましだ。
カリヤは男で齢は、まあわたしよりは下だろう。
ハゲを隠すためにスキンヘッドにしている。
サイボーグのようなやつで笑わないどころか、だれともあいさつさえしない。
社員さんとすれ違ったときでさえあいさつしないのだから、
その孤高主義はあっぱれとも言えなくはない。
わたしはここに派遣できたときからカリヤが大嫌いだった。
たまに言葉を発するのだが命令口調でとにかくむかつく。
正直な話、カッターで刺してやろうかと思ったことも何度かあるくらいだ。

今日はライン(流れ作業)で久しぶりにカリヤの横に入れられた。
ここでカリヤの外貌をご存じの人がいらしたら、どれほど楽しめるか。
カリヤというのは無表情でとにかく気味が悪いほど怖いやつなのである。
今日は箱が2600だからどうせすぐに帰される。
ぶっちゃけ、休んでいいなら休みたいくらいだ。横は大嫌いなカリヤ。
気づくと、仕掛けていた。裏にはけっこうな自信がある。
こういう大人数が働く倉庫では、最後には人間力になる。
あいさつや雑談を通して、たとえ表面だけでもどれだけシンパをつくれるか。
いまのわたしはひとりぼっちではあるが、まあカリヤよりは人とうまくやれている。

わたし「カリヤくんはどうしてあいさつしないの?」
カリヤ「(無視)」
わたし「カリヤくんはどうしてあいさつしないの?」
カリヤ「(無視)」
わたし「カリヤくんはどうしてあいさつしないの?」
カリヤ「しているよ」

いや、本当はまったくしていない(できないのだが)。
カリヤくんともども暇な間口だったから、彼のことをガン見(凝視)した。
不良用語で言えば、ほぼガンを売ったという状態である。
一瞬目を合わせたのちカリヤくんはこちらをまったく見返さないのである。
人と人は目を合わせたときに勝負が決まることがある。
わたしはバイト先輩の彼を「ふーん」と見下したからカリヤくん呼ばわりできるのだろう。
こいつも大勢この職場にいる自分に自信がないやつのひとりかと気づいた。
そうしたら、こんなバカにしたようなことをカリヤに言っていた。
カリヤを知っている人が聞いたら大爆笑すること請け合いなのだが。
「カリヤくんは日本人なの?」
「……日本人だよ」

またさあ、カリヤくんがミスをするんだ。
彼は力強くボタンを押すからレーンを壊して外れさせてしまった。
どうするんだろうとニヤニヤ見ていたら、カリヤくん、
壊したレーンを片手に健気に書籍ピッキングを継続している。
これを笑うなというのが無理な話である。
結局、カリヤは自分が壊したレーンを強引にくっつけてなにもないような顔をしていた。
そう言えば、ここに入った当初に本を破損したとき、
カリヤくんから偉そうに指摘されて恥ずかしい思いをしたことがあったなあ。
いいかい、カリヤくん、人はミスをするもんなんだよ。
18時に仕事が終わったときに、これは無意識だろう。
自分でもそんな意地悪なことをしようとはまったく思っていなかった。
「カリヤくん、お疲れさまです」と声をかけていた。
だれにもあいさつしないカリヤくんは、いっぱい感情のこもった目でこちらを見た。
あの人の目を見(ら)れない、笑うこともできない孤高を気取っているカリヤが、である。
憎々しげに彼は「お疲れさまです」と言葉を返してきた。
3825円しか稼げなかったけれども、今日はそれほど悪い日ではなかったのかもしれない。

COMMENT

- URL @
11/08 03:43
管理人のみ閲覧できます. このコメントは管理人のみ閲覧できます








 

TRACKBACK http://yondance.blog25.fc2.com/tb.php/3853-438da526