「おとうと」

1960年公開の名作映画「おとうと」をジェイコムで録画視聴する。
キネマ旬報ベストワン、監督賞受賞作品。山田太一氏推薦作品でもある。
脚本の水木洋子の「おかあさん」がとても好きだったからたいそう期待して見たら、うーん。
ちょっとあたまの弱そうな弟が結核になって死ぬまでを見守るお姉さんが美しい。
しかし、物語としてドラマとしてこれがおもしろいのかと聞かれると、うーん。
最後のほうは不謹慎なことを考えていた。早く弟くん死んでくれないかなあ。
結局、「人のため」に生きる人は美しいという道徳映画でもあるような気がするのだが。
この映画を理解できないと書いたら、どこぞの先生に怒られるのかもしれない。
「人の気持を考えろよ!」
どうして? なんて質問したらビンタを喰らうかもしれない。
なぜなら「思いやりは美しい」からだ。

最初のほうに岸惠子が万引きの疑いで捕まるシーンがあるのだが、
あれは絶対に身体検査と称して気位の高そうな女を全裸にすべきだった。
このシーンだけはだれがなんと言おうと絶対にそうしたほうがよかったと思う。
女優は監督のため、観客のために衣服を一枚ずつ脱ぐべきだった。
基本的に俳優や女優という人たちは「自分のため」に生きている自分勝手な人が多いはず。
そういうエゴイスト美男美女が映画やドラマでは
「人のため」に生きる人間を熱演するのだから、その現実と虚構のギャップがおもしろい。

「自分のため」に生きているほど俳優や女優はその輝きを増すのだから不思議なものである。
エゴのない人たちはエゴの強い人をかならずつぶそうとするから、
それにもめげずにエゴを通す人には常人にはない孤独の美がそなわるのだろう。
孤独はひとりぼっちという側面から見るとみじめったらしいが、
一方で孤独をつらぬき通した結果として生じる美しさもないわけではないと思う。
とはいえ、容姿端麗ではないひとりぼっちがその美を獲得するのは難しかろうが――。

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