「それからの冬」

シナリオでは二度読んでいる作品を有料放送ジェイコムで録画視聴する。
愛妻を病気で亡くした男が半年もしないうちに亡妻の親友の女性と結ばれる話だ。
まあ、人間そんなもんだ、人生こんなもんさ、という山田太一らしい現実的なドラマだ。
山田太一ドラマの法則として、アポなし訪問というものがある。
このドラマでも美女が「日曜日になんだかさみしくなって」とやもめに会いに行く。
われわれはアポなし訪問なんてめったにやらないが、
それは山田太一ドラマのお約束だから難癖をつけるのはドラマを知らないものだ。

テレビドラマは多くの生活者が見ているから、こういうドラマは刺激的なのだろう。
たとえば夫婦でドラマを見ていたとしたらどうだ。
ドラマで妻が死んだときに悲しむ夫を見て、夫婦はお互いの顔を見ざるをえない。
自分が死んだらこの人はどのくらい悲しんでくれるのだろうかと。
結局、ちゃんと会社勤めして結婚して子育てをするのが
人間の「正しい」生き方なのだろう。
ちゃんとした会社に勤め、ちゃんとした嫁をもらい、ちゃんとした子どもを育てる。
それがまっとうな人間の生き方なのだろう。

このドラマの美女は婚約者までいたのに、死んだ親友の元夫と結婚してしまう。
どうしてそちらを選んだのか「恋愛力」の弱いわたしにはよくわからなかった。
だが、本人たちもよくわからないでするのが恋愛や結婚なのかもしれないと思うとき、
ドラマ「それからの冬」は男女の関係をうまく描いていると言えるのかもしれない。
結婚したってどうせさみしいのだろうが、独身よりはまだましなのかもしれない。
そう思わなければ結婚生活なんて継続できないのかもしれない。
断定を避けたのは当方に結婚経験がないからである。

人間は生き方から考え方、ささいなドラマ感想まで、
なにからなにまで「私」の宿命のようなものから逃れられないのかもしれない。
ひとりぼっちの「私」をそれぞれがそれぞれに生きるとき、
他者の小さな微笑みやいたわりがどれほど支えになるかを孤独なドラマ作者はよく知っていた。
むろん、小さな嫉妬、小さな不満、小さな意地悪の彩りにも作者は敏感だった。

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