「図解雑学 倫理」

「図解雑学 倫理」(鷲田小彌太/ナツメ社)

→常に説教くさい不愉快極まりない本だった。
著者はあらゆる問題に「正しい」ひとつの答えが存在すると信じ、
そのうえで自分はその「正しい」答えを知っているか、あるいは近づいていると驕っている。
実際はくだらないモラリストなのに自分は自由な思考をしていると思っているようだ。
たとえば、じゃあ、死刑問題。死刑は廃止したほうがいいのか?
こういう小論文の問題のようなものが倫理の扱うテーマらしい。
ちなみに死刑問題へのわたしの答えは「どっちでもいいんじゃないっすか?」だ。
身近に死刑囚や犯罪被害者遺族がいたら、そのときはじめて考えに重みが生まれるだろう。
切実さのないところでいかにお受験小論文的に問題に答えてもそれは空々しい。
援助交際(売春)問題についてもそうだ。
わたしは関係ないから、取り締まろうが放置しようが興味がない。
強いて言うならば、まあ、みんなやりたいようにやればいいんじゃないですか、だ。
ところが、こういう態度は倫理的になっていないと著者から説教を食らうのだろう。
しかし著者よ、自分の娘が援助交際をした、自分のクラスの女子が援助交際をした、
こういう事実の重みのないところで問題を論じてもそれは机上の空論ではないか。
なんでも「正しい」答えを自信たっぷりに語る著者によると、
自殺者の増加は自立力の低下と依存症の強まりが原因らしい。
こんな机上の答えを、事実のリアルな重みに苦しむ自死遺族が読んだらどれほど苦しむか。
わたしはどんな社会問題にも口を出して「正しい」ことを言いたがる著者のような男が嫌いだ。
人間が本当に語るべきことはもっと少ないし、語り口はもっと切実だと思う。
著者はなにかを舐めているとしか思えない。

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