働く喜び

これから書くことはフィクションね。
まさか働く喜びなんてあるはずがないじゃないですか。
今日のアルバイトの最後のほうは本当におもしろかった。
本当にありがたいことに書籍ピッキングのライン(流れ作業)に入れてもらっていた。
最後のほうだからかすげえだらだらしているわけ。ラインは外国人女性ばかり。
比率からしたら日本人のほうがはるかに少ない(いることはいるけれど)。
早い時間帯は日本人が多く、基本的にみんなまじめに作業をする。
遅くなると外国人が増えてきて、本の箱の入れ方が雑になってくる。
それも仕方がない話で時給850円ゆえ日本語がまったくわからない人も大勢いるから。
いちおうは本を箱にこう入れろみたいなものはあるのだけれど、
そもそも日本語がわからない人たちだから言っても通じない。
ラインには「まじめタイム」と「いいかげんタイム」があるのだと最近気づいた。
日本人が多い「まじめタイム」は隣の人や後の人のことを考えてまじめに本を箱に入れる。
しかし、外国人が多くなってからまじめに働きなんかしたらうつ病になってしまう。
もうみんなめちゃくちゃ本を箱に入れているのだから。
わたしひとりがどうやっても直せない本の積まれ方をしている。
それにさ、ラインの後が日本語のできない外国人だと
こちらが一生懸命に本の入れ方を直してもどうせまた崩されてしまうのだ。
まわりの空気に合わせて「いいかげんタイム」になったらわたしもそうしている。
いやね、ベテラン日本人バイトさんたちもみんなそうしているのだ~よ。

それにしても今日の「いいかげんタイム」はすごかった。
みんな適当にくっちゃべりながらだらだら、
異様なほど遅いラインの動きに合わせて本を投げるように箱にぶち込んでいる。
わたしはたまたま運よくこの場に居合わせることができたが(社員さんありがとうございます)、
日本人のパートさんのなかには
電話でお休みのお願いがあった方もいたのではないか(わかりませんが)。
日本語がわからない外国人には電話をしても意味が通じない。
わたしの横にいたベトナム美少女にも社員さんが前日に電話したとか。
電話に出なかったらしい。まあ出ても会話は成り立たなかったと思うけれど。
美醜なぞ個人的なものに過ぎないと思うが、美しいベトナムっ子がいるのだ。
いまはもう見かけなくなったがこの女の子の熱心なファンのベトナム男子がいた。
「おぬしの気持、わかるぞよ」と思ったものである。
とはいえ、よくある話で顔がいいと努力して勉強しようとしないのかもしれない。
いちおう日本語を勉強しに来ているらしいが、まったく日本語を解さない。
わたしはこれもまたこれでいいと思う。
よく考えたら、若いときに異国を経験するのは成果とは関係なくいいものではないか。

いままで少しベトナム人を美化しすぎていたような気もする。
もしかしたら本気で日本や日本語を勉強したいベトナム人はいないのかもしれない。
もしいたら関わってみたいという好奇心はいまだあるのだけれど。
むかしベトナムを旅したとき現地の人にお世話になったご恩返しもふくめて。
いやたらしい自慢だがこの職場でわたしほど無駄に本を読んでいる暇人はいないと思うし。
でね、でさ、またそれとは別の話。
このベトナム美少女はあんまり見かけないような気がする
(たぶんあまりシフトに入っていないのではないかと)。
今日、たまたまラインで横に入った。
素振りからまったく日本語がわからないのはわかっていたから、それゆえ話しかけてみた。
「○○さんは美少女だね」
「ビ???」
「意味わからない?」
「(うなずく)」
「かわいいってこと。ここで働いている女の子のなかでいちばんかわいい」
これは意味が通じたようで、「なにこいつ(笑)」という目線でさっと距離を取った。
ごめん。最高におもしろかった。
この子はいちおうまじめ系美少女なのだが、仕事中にスマホを見るんだ。
昼礼で「仕事中に携帯電話を見るな」は何度も注意されたこと。
とはいえ、日本語がわからない人になにを日本語で伝えても通じない。
しかしさ、ベトナム人でさえスマホなのにこちらは旧型の携帯電話(ガラケー)。
日本語留学に来るベトナム人は(よくわかりませんが)お金持なのかもしれない。

こちらなぞは読書家だから本はたいせつなものという意識がある。
けれども日本語がわからない外国人にとって本はゴミのようなもの。
いろんな国籍の人たちが一列になって本をバンバン適当に箱に投げ込む夜――。
この光景を見ていて、なんか救われたと思った。いいかげんっていいよなあ。
ほかにもおもしろいことは今週たくさんあったけれど書かない。
当たり前の話だけれども、
本当に食うや食わずのぎりぎりの生活がかかっている人もいるかもしれないわけだから。
お金を払ったにもかかわらず
お偉いらしい社長先生から大声で怒鳴られたシナリオ・センターの悪口はいくらでも書くけれど、
お金をいただいた相手方の悪口は人としてあまり書きたくないと思っている。
好きだしね。好きってことがとても大きい。
出勤前に道端で同僚のパートさんに逢って挨拶をすることがある(もちろんこちらから)。
あるときある人が信じられないほど暗い目をしていた。
「働く喜び」なんて言ったら、この人に毒を盛られるかもしれないと思った。
こちらの思い込みが激しいのかもしれないが、驚くほどすべてに絶望した暗い目だった。

COMMENT









 

TRACKBACK http://yondance.blog25.fc2.com/tb.php/3803-6603d102