「ブルー・ベルベット」

溝の口の生き仏、山田太一さんおすすめのアメリカ映画「ブルー・ベルベット」(1986年)を視聴。
ひっでえ映画だった。たとえ話で説明しよう。
近所の顔なじみの成績優秀な男子大学生が、ある時期まったくすがたを見せなくなった。
季節は秋になり、ふたたび散歩している彼を見かけるようになる。
うわさでは大学をやめてしまい、いま病気療養中だという。病名はわからない。
あるとき公園のベンチで、あなたは彼に話しかけられる。「秘密は守れますか?」
彼はこの田舎町のとんでもない秘密を知ってしまったという。
「これを知っているのはぼくだけなんです。秘密にできますか?」
なにごとだと思って耳を傾けると、青年は物語り始める。
じつは子ども好きで知られるあそこのアパートの美しい奥さんは淫乱なのだ。
なぜ知っているかというと自分は誘惑され色仕掛けにメロメロになったからである。
そりゃもうあの奥さんは好き者でしてね、へへへ。
SMから始まりありとあらゆるセックスをあそこの奥さんからぼくは教わりました。
それだけではありませんよ。これはぼくだけが知っている真実です。秘密を守れますか?
じつはだれも知らないが、
あそこの奥さんの旦那と子どもは悪いマフィアに拉致され監禁されている。
このため、奥さんはマフィアのボスから脅され、
心ならずも熟れた肉体をおもちゃとしてもてあそばれている。
ぼくは彼女への愛から、そして正義のためにマフィアにひとりで立ち向かったんです。
ついには警察のトップとマフィアが麻薬取引でつながっていることを突きとめたぼくは、ぼくは!
ぼくだけがこの現実を知っている。
いいですか、これが表に出ない現実というものですよ。
ぼくは悪の組織から奥さんを救い出し、マフィアのボスをこの手でやっつけたんです。
この世の悪はぼくが打ち倒した!
いまこの町の平和が保たれているのは本当はぼくのおかげなんです。
マスコミはどこも報道しませんが、これはこの夏にぼくが体験した正真正銘の真実です。

あなたは途中から話を聞いていて気持悪くなり、
青年がいったいどこの病院に入院していたのか察しがつくだろう。
「ブルー・ベルベット」は精神病院という外枠を作らずに病的妄想をそのまま映像化している。
カルト映画だかなんだか知らんが気持悪いんだよ!
おい、映画ファンども、
精神病患者の話す非現実的な妄想に接したときに感じる不気味さがそんなにいいか?
わかりやすい狂気を天才的ともてはやす風潮にはげんなりするぜ。

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