「書いて稼ぐ技術」

「書いて稼ぐ技術」(永江朗/平凡社新書)

→家をキャッシュで買ったという高収入ライターが書いた物書き指南書である。
書籍の価格を考えたら当たり前だが(良心的ともいう)、
「明日から年収1億を稼ぐ」「1ヶ月で20キロやせる」「医者にかからない秘術」
の類の本だと思う。インチキ投資本に限りなく近い。
といっても、フリーライターの著者を責めることはできない。
おそらく、企画を立てたのもタイトルをつけたのも出版社の編集者だろうから。
明るい善人であるらしい著者は、本書で本当のことを無邪気に語っているのが微笑ましい。
「私が飢え死にしなかったのはなぜ」か?
それは「運がよかったこと。これが最大の理由でしょう」とあまりにも正直すぎる。
新人ライターは臆することなく出版社に営業をかけようと発破をかけながら、
最後の最後で、じつのところさ、
自分のこれまでの仕事はすべてコネ(紹介)で飛び込み営業なんてしたことはない――。
ああ、正直なんですね。
インチキ投資をすすめるような詐欺師には決してなれない著者に
好感を持たない編集者はいないのではないか。
もしかしたら著者が不安定なライター稼業を継続できたのは、
こういう素直さがプラスになったのかもしれない。

そうそう、これは物を書くときの基本的姿勢で常識だと思うが、
なかにはご存じないブロガーさんもいらっしゃるかもしれないので書き写しておく。
高収入ライターの著者も強調しているが、自分のことはマイナスを書こう。
人様にお見せする文章では自慢話ではなく、失敗談を書くようにしよう。

「ルポルタージュの書き手は幸福になってはいけません。
少なくとも読者よりは。私たちは他人の不幸が大好きです」(P132)


しかし、これも絶対のルールではないのである。
成功者のお嬢さんなんか世間を知らないから恥じらいもなく自慢話を書くのである。
そういうものが世間ずれしていないと大衆受けしてベストセラーになることもあるのだから。
こそこそ書くのはよくないので、はっきり書いておこう。
阿川佐和子女史の「聞く力」は自慢話ばかりでうざいが、なぜかベストセラーになっている。
きっと彼女はどこまでも運がいいのだろう。きっと営業の「え」の字も知らないはずである。

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