「ファミリーシークレット」

「ファミリーシークレット」(柳美里/講談社)

→大学時代、柳美里によって文学開眼させられたといってもよいくらいだ。
このため、いわば文学のうえでの恩人のひとりでもあるこの人気作家に
てのひらを返したようなことはできるならば書きたくない。
しかし、正直に白状すると、何度も途中で投げ出してほかの本に浮気(本気?)した。
なーんか、よくわかんないけれど、
シングルマザーで作家の柳さんがご愛息を殴るんだってさ。
親が子を殴るなんてむかしからよくあることでそう大したことでもないのに、
本人が針小棒大に大騒ぎしてこれは過去のトラウマが原因だとかなんとか、
いかにもうさんくさそうな著書多数の臨床心理士のところに相談に行き、
本来ならカウンセリングは非公開だから価値があるのにもかかかわらず、
双方の営業と売名のために素人目にはもっともらしい対話をするという講談社の出版企画。
カウンセリングなんて公開できないことを話すから意味があるんでしょ。
公開前提の商用目的の夢カウンセリングっていったいなんですか?
そして、柳美里さんは自我肥大しすぎでは?
貴女の夢にだれが興味があると思うのですか?
たいへん失礼ながら柳美里のどうでもいい夢語りはすべて読み飛ばしました。
フロイトやユングのインチキがうっすらばれつつあるいま、さらなる飛躍をしてみよう。

トラウマってインチキじゃないか?

いわゆる心の病をかかえた人はトラウマ(心的外傷)を物語の核にすることが多い。
でもさ、過去のトラウマが事実だったなんてだれが証明できるわけ?
家族からしたらそのトラウマは当人の被害妄想にしか思えないことばかりのはずである。
もしかしたらあらゆるトラウマなるものは、
自分以外のだれかに責任をなすりつける身勝手で卑怯な自己申告、
つまりいうなれば虚偽の被害妄想では?
いや、美しい被害妄想もあるのはわかる。
性的にオープンな薄幸そうな美少女が真剣におのれの被害妄想をつづるのならいい。
だが、大きい子どももいるような裕福な成功者のメンヘラおばさんが、
いまだに過去の被害妄想にとらわれているのは薄情かもしれないが醜くはないだろうか?
いまや柳美里さんの金銭感覚もおかしくなっている。
有名芸能人に同情して、彼女らのギャラなど大手出版社の編集者レベルだと書いている。
あのさ、年収1500万もあったらふつうの人は同情ではなく嫉妬するんじゃないかな。
人生で一回もアルバイトをしたことがないという柳美里さんは、
1週間でいいから時給850円でパートに出たら、
完全に行き詰っているように傍目からは思える彼女の文学世界に
新たな境地が開かれるのではないか。
あるいは、まともな自意識があれば一生ものを書けなくなるかもしれない。
なぜなら、自分なんかちっとも不幸ではないと気づくであろうから。

本書はいちおうノンフィクションと銘うっているが内容は嘘ばかりなので小説だろう。
フィクションの小説にもかかわらず、一箇所だけ本当のことを書いていたので抜粋する。

「作家の書いたものなんて、
私小説であっても、エッセイであっても、ブログであっても、
虚実ない交ぜなんですよ」(P21)


これをわからぬバカ女相手の商売のはずなのに、
さすが柳美里、こっそりながらよくぞ書いたとも思う。
わたしは柳美里本人よりよほど、
好き勝手にでたらめを書かれた人気作家の父母やきょうだいのほうがかわいそうだと同情する。
だれか被害妄想過剰な女流作家をひっぱたいてやったらいいのではないか。
とうに40を過ぎた裕福で五体満足の子を持つ人気作家の柳美里は舌を出す。

「わたしも、嘘ばかり吐く子どもだった。
どんな嘘だったかは憶えていないが、親や教師に「嘘吐き!」と頬をはたかれ、
バシッ! という派手な音と痺れたような痛み――、
じんじんと熱くなっていく頬の感覚を、今でもはっきりと憶えている」(P36)


ところが、取り巻きに幾重にも囲まれたいまの柳美里の頬を、
大手出版社や一流新聞社の社会的制裁を怖れずに
「嘘吐き!」とたたけるものはいまやだれもいない。
柳美里は勝ったのである。そしてある面で負けたのである。

COMMENT

naonao URL @
05/03 10:00
もらってないですよー. 年収1500万円は柳さんの出した額ですかねー。

私は大手出版社に新卒で入って35歳になりますが、1000万ないですよー。
同じ会社のプロパーの45歳年俸制プロデューサーの夫も過労死寸前だし有能だけど、1500万もらってないです。
税金めちゃめちゃ取られるから、手取りは激減しますしね。

バブル期ならいざしらず、いまどき1500万もらえるのは柳さん担当して売り抜けるような、新潮社や講談社のトップ編集くらいしかいないです。
芸能界でいえば嵐とかローラみたいな超売れっ子に相当するレアさなので比較にはできない。
情報が20年古そう。

まあ、柳さんがひとりよがりで神経質そうに見えてガサツな感覚で書き散らすのはいまに始まったことじゃないけど、相当ズレてるので中の人として書いてみました。

柳美里、引っ越し仕切りまで担当編集にさせて、「作家と編集は特別な関係」とか書いてるの見てこんな勘違い作家に付き合わされる担当編集マジ可哀相、とドン引きしたものですが、子供殴る私の公開カウンセリングですか、そうですか…。
ゲスの極み乙女。ですね。
Yonda? URL @
05/04 08:33
naonaoさんへ. 

吉野弘の訃報を教えてくれたnaonaoさん、二度目のコメントありがとうございます。

年収1500万は著書の記述ではなく、わたしの脳内妄想です。
講談社とか40歳でそのくらい行きそうですけどね。
それにしてもnaonaoさんちの世帯年収はすごいことになっている。
あのですね、本来、金持男は貧乏女を扶養する義務があるんです。
金持女はダメ男にみつぐのが世間のルールです。
富裕層同士がくっついちゃいけません。

いや、いいんです。いまからでも遅くない。
不倫という手があるじゃないですか。
なに? 忙しくてそんなことをしている暇がない?
GWにこんなブログに長文コメントをお書きになるのも結構ですが、
もっと恋をして自分を耕さなきゃいけませんよ。

編集者とかカウンセラー並にストレスが多そうな仕事ですね。
1回大手出版社に入ってしまったらなかなか辞められないでしょう。
人生、これでよかったのか、なんてたまに思いませんか?
収入格差こそあれ、どうやら同世代みたいですし、
お互い死ぬまで自分を騙しましょう!
生意気にもエールを送ってみました。
naonao URL @
05/06 00:57
. あ、そうです、同じ者です。
唐突な長文コメント投下、不快でなければいいのですが。

そうですね、講談社40歳なら1500万円もらってる、かな…。
でも講談社の減収減益カーブはすごいですからね~、いまは怪しいですよ。
あと編集者の大半は名も知れぬ出版社の木っ端社員です。
講談社の少年マガジン編集部でも、講談社正社員は高給だけど委託編集してる銀杏社のスタッフは半分くらいじゃないですかね。


このゴールデンウイークは、Yonda? さんのblogを遡って読み耽ってましたよ。
有意義な黄金週間でした!
Yonda? URL @
05/07 09:45
naonaoさんへ. 

くだらぬブログを読んでいただき、どうもありがとうございます。
ぼくはGWほとんどどこにも行かず、好きな本を読み感想を書いていました。
ぼくの幸福なんて金銭的に見たら安いもんです。
他人もあまり必要としていませんし。
はたからはつまらない人生に見えるのかもしれませんです。








 

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