「共喰い」

「共喰い」(田中慎弥/集英社)

→芥川賞作品。やけに古臭い、文学ぶりっこ、男の子ぶりっこの激しい小説だ。
だれも知らないだろうけれど、まるでむかしの映画「祭りの準備」めいた既視感が。
芥川賞作家で受賞歴多数で、有名人かつ文化人、さらに文士の著者はわたしと同世代だが、
だからこそ氏がある種の男の子ぶりっこをしているのが痛いほどわかってあわれである。
だよね、タナシン、いまは女が強くなりすぎてうんざり、げんなり、それわかります。
女をボコボコにしたり、レイプしたいという決してかなわぬ願望を、
実現できぬからこそ小説に書きたがる著者の切実さには胸を打たれる(注射針くらい)。
まったくまったく、自分の言いなりになる女に向かって
性欲のおもむくままにこんなこと言えたらいいよね、タナシン。
おい、こら、おんな!

「下に入れさすんがいやなんやったら、口でしてみい。
お前ん中に入れられるんやったら上でも下でもいい」(P33)


これは著者の文学的表現(虚構)というやつであろう。
本音は「贅沢は言いません。上でも下でもいいのでお願いします」なのが透けて見える。
モヤシがボディビルにはまって切腹するのが日本文学であるから、
芥川賞作家の田中慎弥氏は将来国語便覧掲載間違いなしの優秀な作家だと思う。
おまけ収録の「第三紀層の魚」はまるで意味がわからなかったから、
これもやはり純文学作品と呼ぶにふさわしい傑作なのだろう。

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