「ダマす人、ダマされる人の心理学」

「ダマす人、ダマされる人の心理学」(樺旦純/PHP研究所)

→1938年生まれ、高卒の心理学者、樺旦純氏のご著書をとてもおもしろく拝読する。
だれがいつどういう理由で、
大学を出ていないものは学者を名乗ってはいけないと決めたのだろう。
学者とは、学ぶ者である。
ならば、著者のように俗っぽいが現実に役に立つ心理学を求めているものは
心理学者でいいのではないか。
いったいどういうわけで人は大学出の学者しか認めないのだろう?
それこそまさになにかにだまくらかされているのである。
本書は俗世間で通用しそうなだましのテクニックがいろいろ書かれていておもしろい。
間違いなく研究室で発見されたものではなく、娑婆世界での体験から生まれたものである。
つまり、本物ということである。
しょせん俗世間はだますかだまされるかゆえ(悪い意味でも、いい意味でも)、
これらの知識は知っていても悪くない。惜しげなくわたしが参考になったところを紹介しよう。

・選択肢のだましがいちばんおもしろかった。
たとえば10時を示す時計の絵を被験者に一瞬だけ見せる。
このあとに時計は何時を示していましたかと聞く。
このときに「9時でしたか、3時でしたか」という嘘の選択肢で聞くと、
たいてい相手はそのどちらかで答えてしまうとのこと。
人は選択肢そのものを疑えないようにできているのかもしれない。
だとしたら、答案の選択肢のどれにも丸をしないのが正解であるときもあるのかもしれない。
われわれは選択肢を出されると、
ついついそのどれかが答えと思ってしまうような自信のなさを内に秘めている。

・これはわたしもだまされやすくもうどうにもならないと思っているが、
品薄感を出されるとついほしくなって買ってしまうのである。
希少価値ほど人を喜ばせるものはないのかもしれない。
みんながほしがっているという情報にどうしようもなく左右されてしまう。

・禁止をすると人は興味のなかったその行為をしたがるというのは経験から本当だと思う。
見てほしかったら「いやん、見ないで」というのがいちばんいいのだろう。
わざとパンチラして「見たな」と言ってすぐに隠すような行為が人をいちばん刺激する。
人は禁止されているものを禁止されているからという理由で好むようなところがある。
大麻なんて解禁してしまえばアルコール以下だとばれて、
だれも関心を持たなくなるかもしれないわけである(当方残念ながら大麻未経験)。
いまはネットのせいで台なしだが、
モザイク(無修正禁止)は絶対に押し通すべきだったと思う。
禁じられているから、みんな男はあそこに興味があったのである。
「学校に行くな」と命令したら、けっこう不登校児も心理的にあせるのではないかと思う。
パチンコ依存症の患者にいちばん言ってはいけないことは、
「一生のお願いだからもうパチンコだけはやらないで」
であるのはさすがに言うまでもないだろう。

世間知にまみれただましの技術がとてもおもしろかった。
心理学者の著者もにおわせているが、だまされるのはある面でとても楽しいのである。
死ぬまであることにだまされていたら、こんな幸福なことはないとも言いうる。
わたしは高卒の心理学者、樺旦純氏は
そこらの大学の心理学研究者よりよほど本物ではなかったかと思う。

COMMENT









 

TRACKBACK http://yondance.blog25.fc2.com/tb.php/3645-6bb3148b