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「青い鳥」

2005/08/18(木) 13:04:13

「青い鳥」(メーテルリンク/新庄嘉章訳/講談社文庫)絶版

→いまでも購入可能な新潮文庫ではなく、わざわざ絶版の講談社文庫で読了。
というのも、こちらの翻訳のほうが新しいから。
鉄則。戯曲はなるべく新しい翻訳で読むべし。
理由は、話し言葉(セリフ)は書き言葉よりも寿命が短いから。
(いま調べてみたら岩波少年文庫からさらに新しい翻訳が出ているみたい……)

「青い鳥」である。だれでも知っている名作のひとつ。
わたしだって読むまえからおおまかなストーリーくらいは把握していた。
なかばバカにしていた。やっつけ読書とでもいうのか。
ところが打ちのめされたのである。読んでいてなみだがとまらない。
だからもちろん批評など無理。

貧しい家の兄妹。チルチルとミチル。
クリスマスの晩、魔法使いの老婆がふたりのもとへ。
老婆からふしぎな帽子をもらったチルチル。
その帽子についているダイヤモンドを動かすと――。
飼い犬のチローが人間のことばを!

イヌ「(やかましくほえたて、飛びはね、そこらのすべてをひっくりかえし、
とても手におえない)坊っちゃん! ……今日は! 今日は、坊っちゃん!
……やっと、ほんとにやっと、お話できるようになりましたね!
お話したいことがどっさりあるんです! ……これまで、ずいぶんほえたり、
尻尾(しっぽ)をふったりしたんですが……わかっていただけなかったんです!
でも今は! ……今日は! 今日は! ……ぼくは坊っちゃんが好きです!
……大好きです!」(P25)

このイヌとネコ、そのほか「パン」「砂糖」「光」「水」「火」らとともに、
「青い鳥」を探すための冒険にくりだすチルチルとミチル。
別れのシーンがまた泣けるわけだ。とくにイヌとの別れが!
この作品の成功の何割かをイヌに負っていることは間違いないと思われる。
別離のところを引用したいけど、みなさまが読む楽しみを奪ってはいけないと自粛。
古典にはたまさかこういう大当たりがあるから侮れぬ。

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