「愛と救いの観音経」

「愛と救いの観音経」(瀬戸内寂聴/嶋中書店)

→国民的人気作家の瀬戸内寂聴さんによる観音経の解説本。
最近気づいたのは、結局のところ人間のなにがいちばんいけないって不安である。
不安がなによりもよくない。どこまでも不安はわざわいにしか結びつかない。
なにかを実行するときでも不安のままやったらかならずや成功確率が下がるだろう。
不安な人がひとりいると周囲にまで伝染してしまう。結果、事故も起こりやすくなる。
では、どうしたら不安が取れるのか。
いかにしたら目指すべき安心に到ることができるのか。
精神科に行って抗不安剤をもらうのもいいが、手っ取り早いのは読経だと思う。
お経を声に出して読むと、なにやら心が落ち着きを見せる。
なるようにしかならないんだな、ということがぼんやりわかってくる。
ならば、どのお経がいちばん適しているのか。たぶん観音経ではないかと思う。

観音経の内容は「大丈夫!」である。なにがあってもあたしがついているから大丈夫!
ぜったい悪くならないし、悪くなっても最後のところで救ってあげるからまかせといて!
このように母親とも恋人とも判別せぬ観音さまが請け負ってくれるのがこのお経だ。
メッセージは「まかせといて! 安心してていいから!」である。
どうやら「なんとかなる!」と気合を入れてやれば、
かなり難しいことも驚くほどうまくいくような気がする。
「大丈夫かな?」と迷いながらトライするよりはるかにいいのはご同意いただけると思う。
横断歩道の白線部分を歩くのは怖くないけれど、
あれが白道で下には火炎が燃えさかっていると思うから恐怖で足が震えてくるのである。
横断歩道の白線だと思って歩けば、どんな危ない道でも楽々と渡りきれるのではないか。
そのときあるといいのが観音経なのだと思う。
観音経を通して観音さまがお恵みくださる功徳を寂聴さんは以下のように説明する。
おそらく、これが(不安ならぬ)安心というのだろう。

「出家して以来、私は水が低きに流れるように、
観音さまを心から信じるようになっていたのです。
そして、自分の身の上におこるあらゆることは、観音さまのおはからいであって、
私はそのおはからいに従って動かされているのだ、と思うようになったのです」(P175)

「私は今ではもう、自分の命も、仕事の生命も、観音さま任せにしています。
それは、まことに安心でおだやかな幸せな境地です。信とは任せることです」(P177)


寂聴さんの好きな一遍の言葉にある。
「信といふは、まかすとよむなり。
他の意(こころ)にまかする故に、人の言(ことば)と書(かけ)り。[信=人+言]」。
観音さまが「あたしにまかせて!」と言っているのだから、おまかせすればいいのだろう。
不安がなくなるという意味で観音経は現世利益の多い実践的なお経だと思う。
お経といったら般若心経だが、意外と観音経が合う人もいるかもしれない。

COMMENT









 

TRACKBACK http://yondance.blog25.fc2.com/tb.php/3540-35c6ef56