笑いのトーン

お笑いがわからないのである。
テレビでお笑い芸人のアクションを見てたぶん一度も笑ったことがない。
人格的に問題があるのかもしれない。なにかの病気なのかもしれない。
そんなことを弱気になって思ってしまうくらいお笑いがわからない。
笑わせようとしている人を見るとひどく興ざめしてしまう。意地悪なのかもしれない。
落語は聞いたことがないけれど、まず笑わないだろう。
そのくせおかしなところで笑うのである。
たまに映画館や劇場に行くと、ひとりだけ変なところで笑いだすことがよくある。
めったにないことだがこちらの笑いについてきてくれる人がいるので、そういうときは嬉しい。
たいがいはひとりで笑っている。きちがいみたいに思われているのかもしれない。

作者は意図せぬところで笑われることをどう思うのだろう。
いまわたしがもっとも笑える作家のひとりだと思っているのは精神科医の春日武彦氏である。
ふとした瞬間に著書のなかの一語を思い出してしまい(たとえば「娑婆っ気」)、
ツボを押されたように笑いがとまらなくなることがある。
てっきり春日氏は読者を笑わせようと思って書いているとばかり思っていたのである。
しかし、この齢になっても人は成長(変化?)するものだ。
もしかしたら作者は笑わせようなどと、
てんで思っていなかったところを笑っていたのではないか。
それはものすごく失礼なことだったのではないか。
まるで偽善者のように、そんなことを思って反省したのである。
もちろん、著書多数の有名な精神科医の先生のお気持など当方にはとても想像つかないが。

陰気な人間だと思われているかもしれないが、けっこうよく笑うほうである(近年は)。
おかしなところでひとり笑うのだから困ったもんだ。
だが、ほんとうに世間さまのお笑いがわからない。
鳥居みゆきという人のお笑いをYouTubeで見たときはかわいそうで涙が込みあげてきた。
わからないが、鳥居みゆきという美人さんがギシギシアンアンしている動画を見たら、
欲情するのではなく吹き出してしまいそうな危なさが自分にはある。
ここにはとても書けないが、そうとう不謹慎なことを考えてひとり笑っているのである。
そのうち精神科のお世話になるのかもしれない。いや、笑えるうちは大丈夫なのだろう。
思ったのは、精神科医の春日武彦氏はひょっとしたら笑うことが少ない人なのか。
よく知らないが、精神遅滞以外の狂人は笑わないというイメージがある(躁病は笑うか)。
もちろん、わたしの好きな精神科医が狂人だと言っているわけではない。
ただ、春日さんもお笑いを見てもクスリともしない人だろうな、とは思う。
決定的にどこかしらが世の中とずれている。

COMMENT

URL @
10/31 20:37
. わたしは、yonda?さんの文章で、
音にするなら「だははは」とでもなる、
気持ちのよい笑いをいただいておりますよ。

えぐり方のセンスがいいのでしょうかね。
はっきり具合が捨て身の覚悟ありでいいのかな。

あ!でもたまにヤバイよー、執筆依頼こなくなっちゃうよーと思うときもあります。
Yonda? URL @
10/31 23:11
某さんへ. 

お笑いくださり、ありがとうございます。
つたない書き手も、じつは笑いながら書いております。
同時にどこか心配してもいるのです。
ここまで本当に思ったことを書いてしまっていいのかどうか。

なにやら偽善くさいですが、コメントありがとうございます。
わたしの下卑た笑いがひとりにでも感染しえたことが確認できました。
嬉しかったです。このために文章を書いています。
もちろん、それは某さんの能力のおかげなのでしょうけれど。
どうせ一回きりの人生なのですから、
より多く笑いより多く泣いたほうがいいような気がします。
どうかこれからもご気分のよろしいときにお読みください。
URL @
11/02 20:42
. 丁寧な返信コメント恐縮です。
こちらこそ、ありがとうございます。
立ち読みどころか、座ってただ読みさせていただいているわけで…。

抽象的なことや、伝えることの量が多いときは、やはり文章になっていると、読み手は自分の脳内で無理なく処理していけるからよいのかな。

背筋が伸びる思いで読ませていただいても、おります。

Yonda? URL @
11/03 21:25
某さんへ. 

文章はいいですよね。いろいろ隠せますから。
文章はお化粧かもしれません。
ときには原稿用紙百枚分の言葉よりも、
たった一度逢うほうが真実だということもあります。
わたしは某さんのご性別もご年齢もわかりませんから。
わからなくていいんですけれど。
わからないほうがいいこともあるのが人生であります。
なんでもかんでもわかりゃあいいってもんでもないです。
みな URL @
02/09 04:05
笑えました. 面白くて爆笑しました。明後日おじいちゃんの葬儀の予定でかなり悲しく泣いた後に、このblogを読んで爆笑しちゃって自分は随分と不謹慎な人間だという事が良く分かった。(笑)
Yonda? URL @
02/09 20:10
みな様へ. 

はい、まず深呼吸をなさってください。
いいですか、吸って吐いて、また吸って吐いて、もう一回。
ゆっくり息を吸って、それ以上にゆっくり息を吐き出してください。

他人のことはよくわかりませんけれど、
いまあなたは俗に言う「葬式躁病」ではありませんか?
「葬式躁病」は悲しむべきときに、
反対にハイテンションになってしまう一過性の症状です。
みんな程度の差こそあれ、このようなことはよくあります。
ぜんぜん心配するには当たらないと思います。

「死」というものは不思議なものですよね。
「死」から見たらこの世の価値観などすべてバカらしく思えてしまいます。
どんな威厳のある格式めいたものも「死」から見たらおかしい。
おそらく、わたしは「死」を多く内部に持っているのだと思います。
このたびあなたが共鳴してくださったのもこの「死」ではないかと。

逢ってもいないのに「葬式躁病」などと決めつけて失礼しました。
ひとしきり笑ったあとはまたどうか泣いてください。
泣くのも笑うのもとてもいいことだと思います。
生きていればこそ、笑えるし泣けるのですから。








 

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