「大往生したけりゃ医療とかかわるな」

「大往生したけりゃ医療とかかわるな 「自然死」のすすめ」(中村仁一/幻冬舎新書)

→こういう本がベストセラーになるのは非常にいいことである。
だって、これ以上医療費がふくれあがると国民皆保険を維持できないじゃありませんか。
国民皆保険があることから、日本人のやさしさがわかるような気がする。
ほんとうにわが国に生まれたということは恵まれていると思う。
本書の内容を忙しい方のために要約したら、ガンにならないためにはどうしたらいいかだ。
答えは、ガンになりたくなかったらガン検診を受けるな、である。
これはむかしから宗教評論家のひろさちや氏が言っていたことだけれど、
京都大学卒のモノホンの医者が言うと迫力があるぜ。
いろいろ批判はあるだろうが、売れていい本だったと思う。
かるーく批判すると、死ぬときには脳内モルヒネが出るからガンによる自然死は怖くない、
と書いてあるけれど、あなた、自然死したことがあるんですか?
それから、繁殖、繁殖、うるさい!
もう繁殖が終わった人間は死んでもいいと繰り返しているが、
いまの世の中には畜生でも可能な繁殖さえできない人間がごまんとおりますぞ。

とはいえ、いい本である。
お医者の著者に代わって大声で復唱するが、ガン検診を受けなかったらガンにならない。
みなさん、この本を読んでもなんだかんだガン検診を受けているのでしょう?
わたしはついに踏ん切りがついた。
区がしてくださる健康診断で今年は大腸ガン検診を受けなかった。
腹が据わったということだ。
どうせガンが見つかってもガン保険なんか入っていないし高額の治療費も払えない。
ならば、著者の言うように「手遅れの幸せ」をニヤニヤしながら待ちたい。
はっきり言って、自殺願望がどこかにある人には余命宣告は福音である。
なんで自殺願望を持つものにかぎって末期ガンにならないのだろう。
あんがい余命宣告されたら「生きたい」なんてハツラツとして思うものなのかもしれない。
本書で知っていちばん驚いたのは医学情報ではなく、
いまの90歳代で年に4~500万円の年金をもらっている人がいるということ。
やはりそうだったのか。高級料理店で働いてる人に聞くと、客は老人ばかりとか。
銀行員もいろいろ詳しそうだが、なぜか表には出てこない裏である。

「医療とかかわるな」の部分は人それぞれだろう。
いまはほんとうにいい時代だと思う。
激しい痛みがあっても医者に行けばよく効く痛み止めを出してくれる。
不安が強い人には精神安定剤、眠れない人には睡眠薬を処方してくれ、
どちらもむかしより効き目がよく依存度も少ないのだから。
かつては痛風になったらあん肝や白子を食べられなかったのだが、
いまは尿酸値を下げる薬が安いジェネリックで購入できるのである。
著者は医者だから医療批判をしてもいいが、
我われがおいそれとはしてはいけないような気がする。
これは被差別者ならばおのれの擁護団体を批判してもいいのとおなじ理屈である。
名著から名言を引用させていただく。

「これまで、70前後の何人もの有名人が、よせばいいのに、
健康であることの証明欲しさに「人間ドック」を受けてがんが見つかり、
目一杯の血みどろの闘いを挑んだ末、見事に玉砕し、果てています。
自覚症状は、全くなかったでしょうから、「人間ドック」など受けさえしなければ、
まだ一線で活躍していたと思うと、残念のひとことに尽きます」(P106)


「一般に、医者は医学の勉強をして医師免許を持っています。
しかし、特別に人生勉強をしてきたわけではありませんし、人生修行もしていません。
また、さしたる人生経験もありません。
そんな医者に、いかに死ぬかという、
むずかしい人生問題をつきつけるのは可哀相すぎます。
医者には荷が重すぎて、逃げ回るしかありません」(P123)


「検査の数値は、実は微妙なことで変動するといわれています。
同じ血液検体を複数の検査施設に依頼すると、
異なった測定結果がもたらされるそうです。
検査機器や検査試薬が違うためともいわれます。
同一施設でも検査技師が交替すると、測定値が変化することもあるそうです」(P179)


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