持ちつ持たれつ大人の世界か?

古本で買うとおもしろいのは、
新刊書にはついていないおまけがときおりついてくることです。
あんまり裏側は書かないほうが若者の夢をつぶさないで済むのでモザイクをかけますが、
今日(たぶん)大物に献呈された古本に挟まれた編集者からの手紙を見つけてしまった。
もちろん、出版社と編集者の名前は隠しますけれども、
「ご都合がよろしい折にご紹介いただければ、幸甚でございます。
なにとぞ、よろしくお願い申し上げます。敬具」と最後に書かれている。
きっとこれは新聞の読書(書評)委員かなにかに出された手紙なんでしょうな。
献本されたほうは、むかしこの編集者に本を出してもらった人かもしれません。
たいがいの文筆業者は本を1冊でも多く出そうと思うものですから、
この本を紹介したら貸し(コネ)を作れると計算することもなくはないでしょう。

さて、これは今日のことです。今日買ったある本に編集者からの手紙を発見した。
たまたまですが、昨日読了した本にも謹呈の札が挟まっていました。
まるでだれにも読まれていないような新品同様ピカピカでした。
いろいろな大人の事情を想像しましたね。妄想かもしれません。
ちなみに精神医学では一般的に了解不能な思念を妄想と言うようですから、
ご判断はみなさまにお任せします。
その謹呈本の作者は、それなりに高収入の本業が別にあるのですね。
もしかしたら著者は自分で大量の本を買い込み、あちこちに配っているのかもしれない。
本業が別にあるのなら文筆で稼がなくてもいいわけですから。
それどころか、名誉のためなら多少の損をしてもいいと思う人もいるかもしれません。
まさにその本に書いてあったのですが、
著者はかつてY新聞の読書(書評)委員をしていたとか。
いまなんとはなしに調べてみたら、その本もY新聞の書評で絶賛されたとか。

大人の世界は、こんなもんだと舐めたらいけません。
おい、ガキども、世の中、そんなかんたんじゃねえぞ!
どういうことかと申しますと、ふつうこの流れならその本は駄作となるでしょう?
新聞の書評で取り上げられてはいるけれど、実際はそんな価値はない。
違います、違いますからね。最高級のおもしろさだったのです。
彼(性別くらいばらしてもルール違反じゃないと思います、暗黙のルールでも)の本は
10冊以上読んでいますが、これが最高傑作と思えるくらいの出来でしたから。
とにかく、刺激的で示唆的で考えさせられ、そのうえ笑わせてもらい、
大げさではなく読後万歳三唱するくらいおもしろかった。
もしかしたらコネとかぜんぜん関係ないのかもしれません。
著者もこの本だけは自腹を切ってもいろいろなところに謹呈したいだろうなと納得しました。

ここからも大人の世界はさまざまな問題があるんですね。
まずなにより人はただでもらった本を読みたがらない(大人も子供も)。
はっきり言って、興味がない本を読ませられるのは、
たとえ高額の報酬をもらっていても割に合わないのではないでしょうか。
ひどいストレスになる。有名カウンセラーは1時間2万円だとか。
2時間でその本を読了したとしても4万円はもらっていいことに理屈上はなります。
当たり前のことですが、人はどうしようもなく自分が選んだ本を愛するものです。
しかし、それでも、にもかかわらず、
これだけはと思った本(自著)は多くの人に読んでほしいのが作者の人情というものです。
自分だってもらった本の半分以上は読まない人でもつい送ってしまう。
このへんにいまや爛熟した出版業界の複雑な事情(矛盾)があるようです。

繰り返しましょう。昨日読んだ、だれかに謹呈され、
その後ブックオフオンライン(ああ書いちゃった)に売られたたその本はほんとうによかった。
送られた人はおそらく読まなかったのでしょうが、それは大損をしたんですよ。
Y新聞の書評で取り上げられたらしいのですが、アマゾンのレビューはたったのふたつ。
どちらもこの本のすばらしさをぜんぜんわかっていません。
いいですか。ここまで引っ張ってきても、そのタイトルを書かないのが大人というものです。
でもさ、知りたくないですか?
だよねだよね、わかるわかる。書いちゃおう。もう大人社会とか出世とかどうでもいいや。
昨日、読んだ謹呈札が入っていた本は春日武彦氏の「天才だもの。」です。
ちなみに本日入手した編集者からの書評依頼手紙の詳細はあくまでも秘密ですから。
わたしは大人のルールをしっかり守る、
いや、だらしなくもギリギリは守るおっさんであります。

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