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「ジオノ・飛ばなかった男」

「ジオノ・飛ばなかった男 寺山修司ドラマシナリオ集」(山田太一編/筑摩書房)絶版

→騙されたいよな、と思った。
活字で見るかぎり、寺山作品に何度も繰り返し出てくるのが「嘘と本当」である。
なんにもないんだから、せめて騙されていたい。
同時代を生きた若者は、それなりに寺山修司に騙されたんだろうけれど、
これはいまでは通用しない。いくら騙されようと思っても騙されないよ。
騙されるというのは信じるということである。
騙されるに足るものがないのでつまらない。
どんどんネットで裏が暴かれて、なにも信じることができなくなってしまう。
しかし、ネットが本当かはわからないんだから、もっと嘘の可能性はあると思うのだが。
女を騙すのはこちらの甲斐性では無理なようだから、
せめて女に騙されたいけれど騙されるのにもある種の才能がいるから難しい。
インチキに騙されてみたいと思った。
できたら騙してみたいけれど、騙されるのもまたいいのではないかと思った。
最後まで騙したら、最後まで騙されたら、それが真実になるのだから。
嘘を本当と死ぬまで言いつづけて嘘を本当にしてしまうような人生はいいと思った。
本当を嘘にするのも嘘を本当にするのも言葉だから、騙されるのも騙すのも言葉なのだろう。
そのためには賭けるに足る言葉をもっと蓄積しなければならないと思った。

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