「歩くアジア」

「歩くアジア」(下川裕治・阿部稔哉/双葉文庫)絶版

→旅とは偶然に身をまかせる行為である。
たとえパック旅行でも予定どおりに行く旅は海外未開発国の場合、
そこまで多くはないのではないか。
しかし、まさにそこがいいのである。旅はハプニングがいい。
予定外に立ち寄った場所で、こんな美しいものがあるのかと驚くのが旅である。
思うようにならないことで逆に収穫があるのが旅とも言いうる。
計画どおりに見たタージマハルやアンコールワットなど、
まったく記憶に残らないと思う(間違えていますか?)。
ならば、旅においてはハプニングやトラブルをもっと歓迎しなければならないのだ。
本書でも旅行者が窮地に追い込まれるところがある。
そのときの作者の思いは美しく正しい。

「正直なところ、もうどうにでもなれ、という心境だった」(P382)

結局は「なんとかなる」のだが、
そこには「どうにでもなれ」というあきらめがプラスに作用しているように見える。
「なるようにしかならない」という真実が本書のような旅行記を読むとよくわかる。
思ったようにはならないということをたしかめるのが旅という行為なのかもしれない。
これは下川裕治氏の複数の著作から教わったことである。

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