「夢街道アジア」

「夢街道アジア」(日比野宏/講談社文庫)絶版

→日比野宏さんのアジア放浪ものは大好きなので、これが最後だと思うとさみしい。
いまは経済発展のせいでどんどんアジアもインドもつまらなくなっていそうだが、
それでも若者には海外無鉄砲ひとり旅をおっさんはおすすめしたいのである。
旅とは人生であるとは偉い人がよく言っているが、
言葉の通じないところをひとりで旅すると
いろいろ人生についてわかったような錯覚が得られるのがいい。
ひとりで未開発の国を旅をするとなにがわかるのか?

1.旅(=人生)は決して思うようにならないがそこにこそ楽しみがあることがわかる。
2.ピンチになっても思いがけないことが起こり「なんとかなる」ことが実感としてわかる。
3.人は見かけによらないことが軽い痛みをともないながらわかる。

インドなんて近づいてくるのは大半が詐欺師だから騙されるいい勉強になる。
騙されてもせいぜい千円くらいのものだから、勉強料としては激安である。
(言うまでもなく、もっと悪質なものもありますが、ほとんどがせこい騙しです)
わたしも世界各地で(というほどの旅はしていませんけれど)いろいろ騙されたが、
結局人は見かけによらないのだ。
思いきり怪しそうな人が困ったときに助けてくれて感動したこともある。
ひとりで旅をしていると旅行者同士で助け合わなければならないことも少なくない。
そういうときに相手を信頼できるかどうか判断する勘も旅で磨くことができよう。

「行きずりの旅行者となんらかのきっかけで話す場合、
まずお互いに名を名乗らない。職業を明かさない。つぎにプライベートな話をしない。
二度と会わないであろう旅行者同士の、自然にそなわった知恵でもある」(P11)


旅行初心者ほど相手の身分を聞いて騙されるようなところがあるのだ。
どうして日本人の甘ちゃんは相手が本当のことを話すと思うのだろう。
ひとり旅では、相手のことをなにも知らずに、信頼できるかどうか賭けなければならない。
名刺交換などいっさいないのである。そこが楽しい。
ひとり旅ほど楽しいものないのではないか。
ひとり旅を描いた本書もとてもよかった。
冷静に考えると共通言語のない現地人と著者がふつうに会話しているのが噓くさいが、
実際に海外ひとり旅をしたことがあるものならば、
言葉が通じなくてもそれなりの会話ができることはみな経験しているはずである。
なにより万事において、日本のやり方が絶対的に正しいわけではないことがわかるところが
海外ひとり旅のよさであり、またこういった旅行記を読む楽しさでもあろう。

COMMENT









 

TRACKBACK http://yondance.blog25.fc2.com/tb.php/3366-390bb9dc