「女の好きな10の言葉」

「女の好きな10の言葉」(中島義道/新潮社)

→中島義道博士はご専門の哲学書よりも(あったっけ?)ライトエッセイが楽しい。
えんえんと女の悪口を並べた本書もケタケタ笑いながら読ませていただいた。
中島哲学博士はこの本のなかで、女をめちゃくちゃ悪く言っているが、
どうして(わたしも含めて)人は露悪的なことを真実だと思いたがるのだろう。
なぜか露悪的なことを言ったほうが本当(真実)らしく聞こえるのである。
どんな偉人にも裏話というのがついてまわっており、
それを聞いて「ああ、やっぱりね」なんて安心してからようやく
対象を愛せるような浅ましさが我われにはあるような気がする。
女は人間のクズというのが正しい一方で、女は母なる美しさを有しているのだと思う。
どちらも正しいのである。
中島博士やストリンドベリが言うように、女は人間のクズというのは真理である。
同様に女は人間の美しき結晶というのもまた同時に真理なのである。
もちろん、中島哲学博士もこんなことくらいは知っているのだが、偉大なる氏は、
真理なぞは退屈で悪口こそおもしろいという人間の下劣さにも天才的に通じておられる。
さすがは中島博士、あっぱれでありますぞ。

「偏見であり下品であることを覚悟で言いますと、
ひどいブスでも、隣にひどいブサメンの夫がいて、そのあいだに両方に似た
そろいもそろって醜い顔を晒した子供たちをぞろぞろ連れていると、
ほのぼのした気分になってくる。
彼女を選んだ男がいて、彼が彼女を妊娠させたと思うと、
なんだか「安心する」のです」(P16)


中島義道博士の悪口のうまさには舌を巻く。この文章は笑いがとまらなくなった。
小説家よりもある意味、文章がうまいと思う。

「小説家とは、たとえどんな周囲の者が苦しんでも、自殺さえしても、
それでも書いてしまう、という悪魔性を持たねばやっていけないのかもしれません」(P51)


でもさ、博士、本当に吉行淳之介の小説がおもしろかったですか?

「女は自分で評価するということが限りなく苦手であって、
「みんな」の憧れる人が好きであって、「みんな」の無関心な人に無関心であって、
「みんな」の軽蔑する人を軽蔑する。
だから、残酷なことに、「男の偏差値」はほぼ客観的に決まってしまうのです。
それにしても、少女のころから軽薄な有名人に夢中になってキャーキャー騒ぎ、
(大の?)おばさんになっても、韓流スターを追いかける
あの凄まじさは恥も外聞もあったものではない」(P138)


一見もっともらしいですけれど、ここは女を人間に言い換えても文章は成立する。
女だけじゃなくて、人間なんてそんなものとも言える。
男だっていい歳をしたおっさんがAKB48とか、ねえ……。
同様、女を男に言い換えたら「女の偏差値」も客観的に決まることになる。
クラスの男連中でこっそり女の順位とかつけていたよね。
にもかかわらず、あれだけの数の男女がそれぞれの偏差値に応じて
みなさん結婚しているのは心底から立派だと思う。
ブスとブサメンの夫婦、子供連れを見るとなにか和むという、
最初引用した中島博士の下品発言にも通じる当方の感慨であります。
悪口っておもしろいね♪

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